企業は社風を変えられるのか(14)~多様化が組織にもたらすもの

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女性活躍・ダイバーシティ推進

今朝、ラジオで30%クラブの活動を採り上げていました。30%クラブとは2010年に英国で創設された、取締役会を含む企業の重要意思決定機関に占める女性割合の向上を目的とした世界的キャンペーンです。現在は17ヵ国で展開されておりその国の数は増え続けています。

30%クラブは、企業の取締役会やマネージメントチーム等、意思決定機関において、健全なジェンダーバランスを保つことは、ガバナンス強化や企業の持続的成長の促進につながり、それが、日本企業の国際的競争力の向上、ひいては持続可能な日本社会の構築に寄与するものと考えています。30%クラブが創設された英国では、2010年のロンドン証券取引所のFTSEの女性役員比率は5.9%でしたが、これを2020年までに30%にすることを目標に掲げた結果、2018年には、30.6%(2018年)に急増しました。

日本では、2019年12月、経団連と30%クラブジャパンが、「日本企業における女性活躍・ダイバーシティの推進についての両者の協力に関する覚書」を締結しました。同覚書は、企業の重要意思決定機関における多様性の促進が重要であるとの共通認識の下、企業の持続的成長及び企業価値の中長期的向上を目指すものとしています。30%クラブジャパンは、TOPIX100の女性役員割合を2030年に 30%にすべく活動していますが、2020年7月末時点のTOPIX100 女性役員割合は、まだ12.9%に留まっています。

企業が女性役員の数を増やしジェンダーバランスを保つことは、組織の多様化の観点から非常に重要です。日本企業のトップであっても、当然その重要性は理解しています。しかし、未だに女性役員の割合が欧米のみならずアジア諸国の企業よりも低い理由は何でしょうか。

多くの日本企業は、いまだに新卒を一括大量採用して自社で育成しています。「新卒で入社し、同じ釜の飯を食った仲間」が、40年間共に働きます。昨今は中途採用も増えてきましたが、その数は全体の数からすると微々たるものです。こうして育成され、同じ価値観を持った社員が、「阿吽の呼吸」、「暗黙の了解」で仕事ができるのが、大量生産大量消費時代の日本企業の強みのひとつでした。

嘗ての大企業の採用方法は、社員を総合職と一般職(或いは地域限定社員等)のような形に分け、総合職として採用する社員は男性、一般職は女性というケースが殆どでした。しかし、1987年の雇用機会均等法の施行以降、企業は女性の総合職受け入れを開始した結果、35年経って漸く、大手上場企業にも内部昇格した女性役員が登場するようになりました。

少し古い記事になりますが、2018年4月8日付の日本経済新聞によると、日本の上場企業の取締役平均年齢は59.5歳らしいです。歴史の長い大企業では、内部昇格した取締役が長く勤める例が多いようで、キャノンや信越化学工業の平均年齢は70歳前後となっています。大企業で内部昇格をして取締役になるためには、入社してから40年以上の業務経験が必要とされるわけですから、1987年から、女性総合職を採用し始めた多くの日本の大企業に女性役員が少ないのも当然といえます。

こうした背景を考えると、大手企業が女性管理職30%という数字を早期に達成するには、新卒採用した社員を飛び級で昇格させるか、社外で活躍する女性に頼るしかありません。

持続的成長のために必要な「多様化」

実際に、ある大手メーカーの社外取締役をしている私の友人は、数多くの大手企業から社外取締役としての依頼があるらしく、「とても手が回らないので断りたいが、付き合いもあるので」とかなり苦労しているようです。どこの企業も、女性比率を上げようとして躍起になっているものの、取締役としての経験や能力を持っている人材が少ないため、彼女のような人材を社外取締役として取り込みたいということでしょう。企業側のこうした動きは、「健全なジェンダーバランスを保つことが、ガバナンス強化や企業の持続的成長の促進につながり、それが、日本企業の国際的競争力の向上、ひいては持続可能な日本社会の構築に寄与する」という30%クラブと同じ理念に基づいたものかどうかはわかりません。単に体裁だけを整えることを考えている企業もあるかもしれませんね。

それでも企業が女性管理職を増やすことは重要です。「健全なジェンダーバランスを保つ」努力をすることは、企業が多様化を促進することにつながるからです。同じ価値観の人たちが集まれば、「阿吽の呼吸」や「暗黙の了解」で仕事を行うことができます。しかし、事業がグローバル化する中で、「阿吽の呼吸」や「暗黙の了解」が通じるような、閉じられた世界での仕事のやり方は、もはや通用しません。

例えば、海外に進出しようとする企業や、これからインバウンド事業を拡大しようとする企業が、お客様となる外国人の視点を取り入れられなければ、その事業が成功することはないでしょう。そうした意味でも、「多様化」を受け入れ、促進することは、企業が事業を継続・成長させるためには絶対に必要なことなのです。

私は、過去の経験からも、あらゆる組織がその目的を達成するためには、「多様化」を受け入れることが最も重要だと思っています。次回は、「多様化」が組織にどんなことをもたらすのか、具体的にお伝えします。

 

⇨ 企業は社風を変えられるのか(15)~ダイバーシティ、インクルージョン

⇦ 中小企業が成長する組織図の作り方③~組織図を書く前に

⇦ 企業は社風を変えられるのか(13)~「もったいないお化け」を退治しよう

 

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