企業の風土を変える(9)

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まずは信頼関係の構築

「企業の風土を変える」などという大げさなタイトルで書いてきたものの、文章にすると、どうも薄っぺらいものになってしまいます。企業が置かれた環境、これまでの業績や歴史等々によって、その方法は大きく異なるため、「一般的な話を書いてもたいして参考にはならないよなあ」と思いながら、1カ月間、先に進めませんでした。

そもそも、「社風を変えたい」とか、「コミュニケーションを活性化させたい」という企業では、経営者と社員の信頼関係が構築できていないことがほとんどです。組織や人が、従前の考え方を変えるには、「時間配分」、「場所」、「付き合う人」を変えることは有効ですが、その前提として、マネジメントと社員の間には、ある程度の信頼関係がなければなりません。

経営者や管理職が部下のことを全く知らなかったり、部下が経営者と話したこともないような企業が、コミュニケーション活性化のために1on1のような仕組みを導入しても、かえってお互いの信頼関係を損なうことになりかねません。(1on1については、中小企業の1on1ミーティングを参照下さい)

経営者が「風土を変えたい」と願う理由は、経営者や社員が同じ方向に向かい、事業を成長させたいと思っているからです。そのためには、まず経営者・管理職は、社員との間に信頼関係を構築することから始めなければなりません。上司が部下に、かなり無理なお願いをした場合、上司と部下のコミュニケーションが良い職場では、部下は「そんなことできませんよ」と言うかもしれません。しかし、風通しの悪い職場では、 「そんなことできるわけないじゃないか」と思っても、部下は「わかりました」と言います。そもそもできないと思っているので、部下が行動を起こすことはありません。その結果、経営者は「うちの社員は“わかった”とは言うけど、何にもわかってないんだよ。」と嘆くことになります。

こうした経験がある経営者は、まずは社員の話をよく聴くことから始めるべきです。社員が何をどう感じているのか、何に悩んでいるのか。もし自分がわからなければ、素直に「わからない」と伝えることから始めてみて下さい。相手が考えるだけでなく、自分も一緒に考える。こうして関係を少しずつ築いていくことで、自由に意見が言い合える関係に近づきます。

経営者と社員の間に信頼関係が構築できなければ、「同じ方向に向かって協力する」関係は築けません。信頼関係が構築され、同じ方向に向かって協力する関係ができた先に、漸く、社員が自由に意見を言える環境ができます。経営陣と社員が自由に意見をぶつけ合える関係ができれば、社員は「できません」というだけでなく、どうすればできるかを考え、発信するようになります。そこから初めて、さまざまなことに挑戦する組織が見えてきます。

ただ、信頼関係を築くことはそんなに簡単ではありません。長年それができていない企業には、できない理由があります。経営者は、自分が社員を理解し、社員に経営者の考えを理解させる努力をしているか、信頼関係がどの程度構築されているかを振り返ってください。それをせずに、コンサルタントに問題を丸投げしても、企業の風土を変えることはできません。

 

⇨ 「帝国ニュース11月号に寄稿しました」

⇦ 企業の風土を変える(8)

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