企業は社風を変えられるのか(8)~従業員には意見を言わせ、経営者は我慢する

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手を挙げることは難しい

海辺でのワークショップに参加した社員は、嵐の海とは対照的で、積極的に意見しない人がほとんどです。しかし、実際はさまざまなことを考えているはず。そうした意見を議論で引き出すため、今回のワークショップには、各チームに管理部門のスタッフを事務局として加えました。

彼らは議論の活発化に貢献してくれましたが、大事なのは終わった後です。さまざまな部署の人たちが議論して生まれたものを、次のアクションにつなげなければなりません。そのためにもと、まずは事務局によるワークショップの反省会を開催しました。

今回、事務局には、事前に議論する内容や、議論を活性化させるためにどのような貢献をして欲しいかということを伝えていました。そうした内容を踏まえながら、ワークショップの進め方で良かった点や悪かった点、ファシリテーションのどの部分を改善すればもっと良くなると思うか、等々を指摘してもらうのが反省会の趣旨です。しかし、反省会というものに慣れていないからか、「プレゼンのどこが良くて、どこが良くなかったですか?次回修正した方が良いと思うことはどの辺?」と聞いても、なかなか意見が出てきません。上司に意見することに慣れていないこともあり、いきなり意見しろと言っても難しいのかもしれません。こうした「考え、意見する」ことの繰り返しが意識の改革につながっていきます。

人材関連会社でCFOとして決算説明会や投資家や証券会社への会社説明会を行っていた際、反省会では常にダメ出しをされていました。会見に臨む前、IR担当部署のメンバーとの準備で、発表の仕方や立ち振る舞いを厳しくチェック、修正されます。そして、終った後は、説明会の参加者に書いてもらったアンケート用紙を見ながらメンバー全員で反省会です。当時、私もCEOも40代前半でしたが、20代後半のリーダー率いるIRチームに、「事前準備で指摘したことが出来ていなかった」とか、「ああいう質問に対して、へらへらしていてはダメ」とか、もう好き勝手なことを言われるわけです。まあそれが当たっているのでグゥの音も出ないのですが。。。

銀行が異質なのかもしれませんが、こうした企業文化の違いに、大きなカルチャーショックを受けました。その反面、自分が任された仕事については、相手が誰であろうと自信と責任を持って対峙する彼らの姿勢は、非常に頼もしく見えたものです。

結局は経営者の姿勢と仕組み次第

多くの企業では、経営者から「これをやって」と指示されれば、従業員は指示された通りのことを行います。しかし、それが続くと、従業員は指示を待つようになり、自分で考え判断することや、仕事に対する責任感も薄れて行きます。ちょっと気を利かせて自分の領域以外の仕事を手伝うと、「じゃあ今後はあなたがそれをやって」と余計な仕事が増えてしまうので、従業員はますます言われたことしかやらなくなります。

このような悪循環を変えるためには、「考え、判断し、行動する」ことが社員にとってメリットがあると気づかせる必要があります。歴史ある企業、特にメーカーでは、従業員は真面目で、言われたことにはきっちり対応しますが、前述の反省会のように、会議で質問を求めても、手を挙げて意見する人もほとんどいません。余計なことを言っても自分にメリットがなく、下手すると仕事が増えてしまう等のデメリットばかりと思っているからかもしれません。

企業の風土を変えたければ、経営者は、従業員が自らの考えを発言できる環境を作り、意見を言うことが彼らにとってメリットがあると気づかせることが必要です。ただし、何十年も指示に従うことを(結果的にかもしれませんが)強いてきた社員に、「環境を作ったから今日から意見せよ」と言ってもできるはずがありません。考える機会を何度も与え、しっかりと意見を聞き、やらせてみる。それで失敗しても、同じプロセスを繰り返す。経営者には、そうした我慢が必要になります。

因みにこのブログの写真は3回目の合宿が行われた日の夕暮れです。前回の嵐の海辺とは打って変わって穏やかな気持ちの良い一日でした。

 

⇨ 企業は社風を変えられるのか(9)

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