独立したい普通のサラリーマンのために(5)~公的機関の募集人材

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独立後の営業は大変

60歳や65歳で定年を迎えた人や、20年以上企業で何らかの業務経験を積んだ人が独立しても、自分で仕事がとれるようになるまでには時間がかかると思います。

そもそも、これまでサラリーマンしか経験したことがないのであれば、独立してもどうやって仕事を取って良いのかわからないという人が殆どではないでしょうか。

私も、昔一緒にが働いていた銀行の上司や同期と会うと、「転職ですらイメージが湧かないのに、自分で独立して仕事することなんて、全く想像もつかない」と言われることが多いです。

会社勤めをしている人には、毎月決まった日に口座に給料が振り込まれます。金額が多い少ない、それぞれ文句はあるかもしれませんが、それでも決まった日に一定額が振り込まれる。更に業績がしっかりした会社であれば、年2回、ボーナスまでもらえます。

独立して唯一、サラリーマン時代は良かったなあと思うのはこの点です。

そういう生活を20年、30年続けた後に、独立することになった人が一番困るのが営業です。自分の仕事は自分で取って来なければならない。会社勤めの時のように役割が決まっていて、そこに仕事があるわけではありません。

「いやいや、会社では営業として第一線で働いていたし、営業部長としても優秀だったぞ」という人もいるでしょうが、それは企業の看板があったから。何のバックグラウンドもない人が、独立してゼロから仕事を取ってくるのは本当に大変です。

公的機関の仕事を足掛かりに

前回は、全く仕事がないところから仕事を探し出す方法のひとつとして、新現役交流会について説明しましたが、今回は公的機関の相談員やアドバイザーの募集に応募し、そこから仕事に繋げる方法をお伝えしたいと思います。

公的機関とは何かというと、例えば中小企業庁の中小企業基盤整備機構を筆頭に、東京都であれば東京都中小企業振興公社、横浜市であれば横浜企業経営支援財団といった、知事や市長から認定を受けた中小企業支援センターです。

働いている職員も、実際には公務員のようなもので、社員の中には都や市からの出向者も数多くいます。

こうした公的機関では、中小企業や起業家の支援を行うための窓口相談員や、企業に経営支援をする専門家を募集しています。相談員は月に1日~15日程度の勤務、専門家については企業からの支援依頼に基づき、公的機関が専門家を選び、1社に付10~15時間程度の支援を依頼するといった感じです。

各公社や財団のHPを見ていると、これらの人材の募集がお知らせに載っています。例えば、公益財団法人大田区産業振興協会のHPでは、 現在、「次世代産業創造コーディネーター」を募集しています。この仕事は、高度な技術や知財を有する大学や企業の研究機関等と、大田区の中小企業をマッチングさせ、大学や企業が研究のために作成する新しい技術開発部品を大田区の企業が手伝うことをコーディネートする仕事です。「下町ボブスレー」の話をご存知の方もいると思いますが、あのプロジェクトも、こうしたマッチングから始まったようです。

このように募集される相談員やコーディネーターは、企業に長年勤め、知識と経験がある人や、中小企業診断士や税理士、社労士といった士業の人が求められることが多いです。

因みに先程の大田区のコーディネーターの応募資格は下記のようになっています。

  1. メーカーまたは商社などに於いて設計、開発、エンジニアリング、製造、生産技術、資材調達、営業、技術サービス等の経験がある方で図面(特に機械系・電気系)が読める方
  2. 大田区の中小企業に寄り添い、同じ目線で各種支援を遂行できる方
  3. 大田区中小企業の研究開発や取引拡大に貢献する意欲がある方
  4. ワード・エクセル・パワーポイント・Eメールで報告書等の作成ができる方
  5. 情報管理について当協会の規定を順守できる方
  6. 他のコーディネーターと協調・連携して業務を推進できる方

以下はあれば尚可

  • 英語など外国語での業務遂行が可能な方
  • 自動車運転免許をお持ちの方
  • 自転車に乗ることが可能な方(大田区企業の巡回時に使用することができます)

報酬は1時間当たり3,150円です。定年後のアルバイトとしては、そこそこ良い時給ですね。こうした公的機関の仕事は、大体1日15,000円~20,000円程度のことが多いようです。

このような採用情報は、各公社や財団のHPに掲載されていますが、ひとつずつチェックするのは大変でという人は、中小機構のJ-Net21というサイトの公募情報の中にある「専門家向け公募」という欄をチェックしてください。 全国の公的機関のさまざまな情報がまとめて掲載されています。関東地方にお住いの方は、ここで東京都や比較的大きな区の公社、或いは近県や市の案件を探すには便利だと思います。

さて、このような募集に応募して採用されても、それは単に転職したようなものです。

こうした仕事が、起業した人にとってどのように自らの仕事につながるのかについて、次回以降お伝えしていきたいと思います。

 

⇨ 独立したい普通のサラリーマンのために(6)

⇦ 独立したい普通のサラリーマンのために(4)

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