Missionが先か、Visionが先か~小さい会社がVisionを作る方法

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Missionが先かVisionが先か

前回の続きです。Y社は、「健康で素敵な気持ちになれるお届けものを最高の笑顔で運ぶこと」という Missionを創りました。次はそのMissionを遂行するためのVisionとValueです。

Missionの語源は、キリスト教を世界中に布教するために、宣教師や伝道師(エバンジェリスト)が 福音教義を説いて回った活動に起因すると言われています。イエス・キリストから、福音を広く世界の人々に伝えるようにという使命を与えらた彼らは、世界の果てまで命を懸けてキリスト教を広めるために飛び回ったわけです。

経営の世界では、マネジメントを生んだP.F.ドラッカーがMission、Vision、Valueを提唱したものと言われています。ドラッカーによると、Missionは自社が社会で実現したいことで、VisionとはMissionが実現した時の状態としています。その上でドラッカーは、「Visionがなければ事業とはなりえない。人の群れがあるだけである。」と言います。

ドラッカーはMission、Vision、Valueという並びにしていますが、この並び順についてはMissionが先と言う人と、Visionが先と言う人がいます。私自身はMissionを「実現するには遠い道のりであるが、企業が目指し続けるべき、いわば北極星のようなもの」と捉えているため、Missionから始まると考えています。しかし、ドラッカーが「Visionがなければ事業とはなりえない」と言うように、企業の経営に当たってはVisionを一番上に持ってくる企業もあります。また、ドラッカーの信奉者でもある柳井正氏が会長兼社長を務めるファーストリテイリングでは、企業理念の一番上に「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」という言葉を「Statement」として掲げ、その次にMission、Valueと続いています。

Mission、Vision、Valueについては、色々な考え方があるので、こうでなければならないということはありません。何を先にするのかについては、企業が何を目指して活動しているのか、そのために企業として何を掲げたいのかを経営者がよく考えて、決めれば良いと思います。

Visionの作り方

さて、前回Missionを策定した時と同じように、Visionを創る際も下記の2つの質問を自らに投げかけてみて下さい。

① Missionを遂行する時、自社はお客様にとってどのような存在か
② Missionが達成できた時、自社にはどのような素晴らしいことが起こるか
 

①は社外向け、②は社内向けのVisionです。

牛乳配達業のY社のMissionは、「健康で素敵な気持ちになれるお届けものを最高の笑顔で運ぶこと」でした。このMissionを遂行している時、Y社の社員には 「お客様が健康で長生きし、毎日気持ちよく牛乳を飲み続けてくれる未来」 が見えているかもしれません。

②の、自社にどんな素晴らしいことが起こるかについては、定量的な状態を考えてみて下さい。因みにY社は、売上1億円、従業員20名の時点で 「売上10億円、従業員数300名の企業になる」という、現状からすると考えられないような売上や企業規模をイメージして、Visionとしました。健康で素敵な牛乳を、一人でも多くのお客様に笑顔で届けるというMissionを達成するためには、今よりももっと多くの人と一緒に働き、車で行ける範囲全てのお客様に笑顔を届けたいという想いがこの数字になって現れています。

ドラッカーはVisionをMissionが実現できた時の姿と定義しましたが、実際にはMissionを、「実現されることはまず不可能に近い、それでもそれに向かって進み続ける」もののように捉えている企業も多いと思います。例えば、前述のファーストリテイリングのMissionは、「本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します」となっていますが、「世界中のあらゆる人々に幸せや満足を提供する」ということは、限りなく不可能に近い目標のように感じられるのではないでしょうか。 さらに同社はこのMissionを達成するために、「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」というStatementを掲げています。

前述のY社が掲げた売上数字には、「できる限り多くのお客様に自社から牛乳を届けたい」という想いが詰まっています。他人が見ればとんでもない数字なのかもしれませんが、Y社はこのVisionをいつの日か達成し、Missionという最終目的を果たすべく努力していきます。

私は、VisionをMissionに辿り着くための道標のようなものと考えています。ですからVisionを創る際には、いつまでに何をやるかを決め、それを達成するための具体的な手法やKPI等を定めます。「牛乳屋さんにこんな数字ができるわけないだろう」と思うかもしれませんが、他人が何を言っても気にしないことです。Y社のMissionを目指すのは、その人たちではありません。自分が目指すMissionに到達するためには、最高のVisionが必要です。そこに達成できる可能性はほんの一握りかもしれません。しかし、目的を持ち目標を立てなければ、そこに辿り着くことはできません。

 

図表:Visionの創り方

 

⇨ 小規模事業者のValue

⇦ 小規模事業者にMissionは必要か

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