PEファンド投資先の経営に携わる②

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次々と退社する帰国者

ニューヨークやロンドンといった拠点で華やかな仕事をしてきた人たちが、自分のスキルや経験がほとんど活かせない泥臭い営業部門に戻されて、「使えねえなあ」とか言われながら仕事をしなければならない。ばかばかしくてやっていられないと思う気持ちはわかります。

本当に次々と海外からの帰国者が辞めていきました。

そんな中、私が辞めなかった理由は、まず、エリートではなかったこと(笑)。30年前のインドネシアは、誰も積極的に行きたがらないような場所でした。そもそも私自身も駐在地が「ジャカルタ」と聞いて、一瞬ジャマイカ?と思ったぐらいです。

妻と一緒に出席した駐在員向けのセミナーでは、他の地域に駐在する奥様たちから、「インドネシア大変ね~」と憐れまれたほど。ですから、海外駐在といってもエリート意識など皆無です。

次に、精神的にも肉体的にも当時はタフだったこと、なんといっても体育会採用です(笑)。そして最後に、配属された支店には外資系企業が多かったにも関わらず、英語が話せる職員は全くいなかったことです。そういう意味で私は重宝されました。

ただ、帰国した当初は「これはちょっと無理かな」と思いました。

海外に戻れるまでに何年かかるのか。

3年で海外に戻れなければ辞めようと思いながらも、1年1年仕事を続けていました。しかし、3年が過ぎても全く海外に戻してもらえそうもありません。

「このままでは海外に出られない。」

兎に角、担当顧客の課題をひとつずつ片付けないと異動できない。そう思った私は、取引先の問題や課題をひとつひとつ片付け、最後に残った問題先が、PEファンドを活用してMBOを仕掛けた人材関連サービスの会社でした。

ひょんなことから

そのファンドとは、MBOを実施するために、結局5年間も一緒に仕事をしました。ファンドの責任者は同じ銀行の先輩でしたが、顧客との交渉やLBOファイナンスの方法、資金を提供するための社内調整は基本的に私が行っていたため、ファンドはディールのストラクチャーを考えて銀行ではできないリスクマネーを提供してくれる「業者さん」のような感覚でした。

今日では、地方銀行がM&A仲介会社から仕事をもらっているように、メガバンクとファンドの関係もかなり変化してきたように感じますが、当時は、銀行の力がかなり強く、銀行がNOと言えば、ファンドはディールを実行する術がありませでした。そんな力関係ですから、自分がそのファンドのビジネスに関わることになるとは考えたこともありませんでした。

そしてMBOが実行でき、商業銀行としてはありえないような多額の手数料をファンドからもらったものの、それが理由で、さらに異動が遠のくことになりそうでした。そこで、ちょうど難しい顧客が手を離れたこのタイミングしかない!と思って突然部長に退職したいと申し出ます。

この時点で帰国してから、ほぼ8年が過ぎていました。銀行に勤めて19年、法人部門を束ねる次長という立場でありながら「辞めます」と言った私に、最初、部長は「えっ、ディールがダメになるの?」と驚きました。「いや私が会社を辞めるのです」と言っても信じてもらえませんでした。

そこからは、兎に角いろいろな人にお願いをせねばならず、その度に「馬鹿じゃないの?」と言われ続けたものの、最後は「引き留めても無理だな」と納得してもらいました。

それぐらい私は海外で仕事がしたかった私ですが、ひょんなことから、次の仕事をするまでの間、MBOを実施した企業の事業計画を手伝うこととなってしまいます。

更に、事業計画を作るだけでなく、「業界を再編する」という流れに巻き込まれ、その企業でCFOとして競合他社との企業統合をリードする立場になってしまいます。

 

⇦ PEファンド投資先の経営に携わる①

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