開店資金を借入したい!②

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必要資金(設備資金と運転資金)

前回に続いて、 日本政策金融公庫のHPにある創業計画書から、どのように書けば良いかを考えてみたいと思います。

創業計画書の5と6はそれぞれ従業員数や現在の借入状況を書くだけなので問題ないでしょう。借り入れ状況については、個人の住宅ローンや自動車ローン等を記載する必要があります。基本的に個人事業や中小企業の場合は、経営者の生活と事業は同じ財布とみなされます。

7の必要な資金と調達方法は、ちょっと悩む人が多いと思います。

まず、当たり前ですが、左側の必要な資金の合計と、右側の調達の方法の合計は同じ金額になります。これ結構、わかっていても間違える人が多いです。

左側の必要な資金は、設備資金と運転資金に分かれています。設備資金は簡単です。店舗や事務所を借りた場合、保証金や敷金が必要となります。その金額は家賃の半年から1年分にもなりますから、結構な金額です。

また、車両を購入した場合や機械設備を購入した場合も、この設備資金の欄に記載します。

設備資金は事業を行うために必要な設備を購入するための借入です。パン屋さんであれば、店舗だけでなく、パンを焼く機械やレジ等がないと事業が始められません。しかし、こうした設備を購入する資金は数か月で返済はできません。パン屋を続ける中で中長期的に得られる利益から返済します。例えば、設備資金として5百万円を借り入れたような場合、毎年1百万円を5年に渡って返済するようなイメージです。

これに対して運転資金とは、事業を円滑に運営するための借入です。本来、現金商売であれば運転資金は必要ありません。しかし、仕入れをしたものを販売して現金を回収する場合、販売した金額を回収する期間よりも、仕入れの商品代金を支払う期間の方が短ければ、売上のお金を回収するよりも早く仕入れ代金を払わなければなりません。

この事業を運営するのに必要な、一時的な資金を借入によって賄うこと。これが運転資金と言われるものです。

運転資金は、販売したモノやサービスの資金をどのぐらいの期間で回収できるか、仕入先にはモノを仕入れて支払うまでにどのぐらいの期間があるかによって変わってきます。基本的には販売した場合はできるだけ早く回収し、仕入れた代金の支払いはできるだけ遅く払うことで運転資金は小さくすることができます。運転資金の計算方法等については、このブログの「今さら聞けない財務と数字の話㉕~CCCとは」を参考にして下さい。

資金の調達方法

一般的に事業を創業する際の資金は、①自分で貯めたお金を使う、②家族からお金をもらう、或いは借りる、③銀行から借りる、のどれかで集めます。これ以外にも、クラウドファンディングや企業に出資してもらう等の調達方法もありますが、一般的な創業であれば、この3つが主な調達方法になります。

誰がリスクを負うのかでも説明しましたが、創業する際は、基本的に上記の①~③の順番でお金を用意すべきと考えられています。それは、全く新しい事業を始めるにはリスクが伴うからです。企業の実績も経験もない人が、自分では1円も出さずに人にお金を出してもらうことは難しいです。家族や友達ならまだしも、銀行は赤の他人です。ですから、銀行に借入を依頼しに行くと、まず「自己資金はいくらですか」と聞かれます。

起業のための借入をする際は、必要な資金の3割は自力で準備していなければ、基本的に銀行には相手にされません。

いきなり新しいビジネスを思い立ったのであれば話は別ですが、多くの人は、自分で事業を創業しようと思い、それを実現するまでには時間がかかります。夢を実現するための起業なのに、ほとんどお金を準備していないということでは、起業に対する本気度が足りないと判断されてしまいます。

3割あれば良いということではなく、少なくとも3割はもっていないと借りる資格がないということです。

もし自分で3割用意できなければ、家族や友達にお金を借りても構いません。要はちゃんと自分(達)でリスクをとっているかどうかを示すことが大事です。

そうは言っても、バイトを重ねても、日々の生活で精一杯という人もいるでしょう。奨学金で大学に通っているので、起業しようにも全くお金がないという若者もいるはずです。

お金がなければ、お金を出してくれる人を探す必要があります。それがクラウドファンディングやベンチャーキャピタル、一般の事業会社からの出資を募るという方法になります。ただその場合は、起業家のビジネスモデルや事業計画が投資する企業やエンジェル投資家にとって期待ができる優れたものでなければお金は集まりません。

しかし実際には、事業を始めるに人のビジネスモデルは、どこにでもある一般的な事業であり、事業計画も心もとないケースがほとんどだと思います。

起業相談を受けていると、兎に角、借入ありきという人も多いのですが、銀行からの借金を考える前に、いかに運転資金需要をなくすかを考えるべきです。

支払いまでの期間が回収期間よりも長ければ、手元の資金は潤沢になります。実際にiPhoneを製造しているAppleの運転資金はマイナス1か月弱です。つまり、仕入先への支払い期間の方が、販売金額の回収期間よりも1か月短いわけです。

お客さんのあまり入っていない飲食店でも事業を続けることができるのと同じです。食材の仕入れ先への支払いは1か月後なのに、お客さんからは現金で回収するので、自転車操業のように事業を続けることはできるわけです。

もちろん、単純にキャッシュが右から左に流れるだけですし、経費の分で赤字になっていれば、いつかはつぶれるのですが、それでもしばらくは事業を継続することができます。

銀行からお金を借りるには、しっかりと事業のお金の流れを把握しておく必要があります。単に銀行に「お金を貸して欲しい」と行くのではなく、事前に準備できることはしっかり行うことが、起業の成功につながります。

  

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