起業したいと思ったら①~開店資金を借入するための創業計画の書き方 Part1

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ビジネスモデルと事業計画

起業相談で多いのは借入についてです。起業を考えているほとんどの人は、銀行からお金を借りたことはありません。借りたことがあったとしても住宅ローン程度のはずです。

住宅ローンの場合は、本人の収入や年齢、物件の評価額でローン金額が決まりますが、起業の場合はそう簡単にはいきません。ビジネスモデルが決まっていて、事業計画がしっかりとできていることが大事です。

誰がリスクを負うのかでも触れましたが、銀行に借入を依頼するということは、一部のリスクを銀行に負わせるということです。

ですから、銀行は、起業する人が信頼に値する人物かどうか、ビジネスモデルや事業計画が妥当かどうか、そして事業が上手くいかなかった場合でも、貸したお金が回収できるかどうかを考えてこのリスクを負担します。

ビジネスモデルや事業計画と聞くと、腰が引けてしまう人も多いかもしれません。しかし、そう難しく考える必要はありません。ビジネスモデルというのは、どんな商売で、誰からどのようにお金をもらうのかという仕組みです。その仕組みに基づいて、初年度と翌年ぐらいまでの皮算用が事業計画となります。

例えば日本政策金融公庫の創業資金を借入る場合であれば、それほどすごい計画を立てなくても構いません。同行のHPではさまざまな書式がダウンロードできます。HPにある創業計画書を見ると、ごく当たり前のことを記載するようになっています。

申込書には何をどう書く?

まず、なぜこの事業をやろうと思ったのか、経営者はどんな経歴で、新しい事業を行うために必要な技術やノウハウがあるのかを記載します。

この欄を書かせる意味は、起業する人がどんな思いでこの事業をやろうとしているのか、そしてその事業を苦労してもやり続けられるだけの想いやノウハウがあるのかということを知るためです。実際にこれまで企業で行ってきた仕事で起業する人や、趣味として行っていたことで起業する人にとっては、この欄は書きやすいのではないでしょうか。

創業の動機や経営者の略歴にかなり多くのことを記載する人もいます。特にシニア起業のような場合、実際に起業には関係ない略歴まで事細かに書かれる人もいます。色々な想いはあるでしょうが、ここは簡素にまとめ、実際に融資を申し込む際に、銀行員にいろいろと話をすれば良いと思います。起業する人が文章として書ききれなかった点も銀行員が汲み取ってくれるはずです。

そこが終わると商品サービスの内容とどんな先に販売する予定なのかを記載します。起業してどのような商品やサービスを扱うのか、販売ターゲットや市場・競合の動向はどうなのか、自社製品は他社製品と比較してどのような点が優れているのか。

実際に、競合先や市場の話については、書けない人がほとんどだと思います。例えばイタリアンレストランを始める人が、店の周りにどんなイタリアンがあって、自社との違いは何かと言われてもなかなかわからないですよね。

ですからここは、自分が知っている一般的なことでも構いません。イタリア料理の店であれば、イタリアンだけに拘らず、一般的なレストランを取り巻く環境、自社はどういった客層を取り込むつもりなのか、価格帯はどの辺を目指すのか等々。

但し、自社製品やサービスのセールスポイントや販売ターゲットと戦略については、しっかりと書かなければなりません。何を売りにして、どういう顧客を取り込み、リピーターを増やしていくのか。

こうしたことは、起業する人であれば、当然よく考えているべきものです。もしここで自分の考えがまだまとまっていないことに気づいたならば、店舗や事務所を借りる前にもう一度よく事業の組み立てを考えてみて下さい。

そして、販売先や仕入れ先の概要を説明します。主要販売先はどこで、売上に占める割合はどの程度なのか、資金の回収条件はどのようになっているか等々。販売先は売上の根拠に、販売と仕入れの資金回収条件は運転資金の根拠になります。

銀行に借入する際は、なぜその金額が必要なのかを説明しなければなりません。設備資金は比較的簡単ですが、運転資金は販売先からの回収と仕入れ先への支払いのギャップと売上の増加ペースによって決まります。

運転資金の仕組みが良くわからない場合は、拙書「いまさら聞けない財務と数字の話 」をご覧いただくか、このブログの中の 今さら聞けない財務と数字の話㉓~取引先の財務状況を見極める① 以降をご覧下さい。

 

⇨ 起業したいと思ったら~開店資金を借入するための創業計画の書き方 Part2

⇦ New Normal時代の海外拠点経営

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