転職して経営者になる?⑤~希望する報酬は特にない

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ここで言う経営者というのはいわゆる役員です。社員ではなく取締役や執行役員。経営に携わる人のこと全てを経営者と言っています。

以前少し書きましたが、社長になるには社長経験があることが求められることが多いです。会社の規模に関わらず、会社の最終意思決定者となった経験や、海外の現地法人の社長としての経験等が重要視されます。

私はメーカーを退職して独立することになったのですが、次はどうしようかと考える中で、とにかくいろいろな人の話を聞いてみようと思い、いくつかのエージェントを紹介してもらって話を聞くことにしました。

当たり前ですが、エージェントから「次はどのような仕事をされたいんですか」と聞かれます。しかし、これまで周りから「これをやって欲しい」と言われたことを「じゃあやりますか」と引き受けてきた私には、やりたい業種や規模があるわけではありません。そもそもそんなものがあれば、こんな仕事はしていません。

今は、企業経営のハンズオン支援を業として起業していますが、最初はこんな感じでした。起業の相談に来られる方に、『起業するには、「やりたいこと」「できること」「求められること」の3つが必要』という話をしている身としては、お恥ずかしい話ですが。。。

ただ、実際には「事業の再生や成長を目指す企業の支援がしたい」という想いは持っていました。そうした仕事は起業ではなく、どこかの企業に転職することだろうと思っていたわけです。

しかし、私の希望はエージェントが期待する答えではありません。

「どんな業種」、「どういう役職」、「どこの場所」、「希望する報酬は」、、、

何年もつきあいのあるエージェントであれば、こちらの考えがわかるのでしょうが、初めて会ったエージェントは、もやっとした答えでは困るようです。

こんな経験から、転職する人は「業種」を決めていることに、改めて気づきました。私はこれまで金融、人材サービス、製造と全く異なるキャリアを歩んできました。製造と言っても、産業機械、半導体、飲料と内容も全て異なるものばかりです。

そもそも財務がベースで、そこに経営企画やマーケティングといったキャリアですから、大抵の業種で働くことはできます。

希望する報酬金額というのも、よくわかりません。エージェントと話していると、必ず今の仕事の報酬を聞かれます。しかし、それは今の仕事であって、次の仕事の報酬は自分ではなく、その仕事を与える側が合理的に決めているはずです。

ある程度のレンジはあったとしても、候補者の年収をベースに決めるというのがどうも腹に落ちません。本来10百万円の仕事である役職に、候補者の前職の年収を考慮して15百万円を払うとなると、今勤めている人の報酬って本当に妥当なの?と思ってしまいます。

もっと言うと、本来20百万円の役職で募集した際、応募してきた人の前職の年収が15百万円だったとすると、「じゃあ17百万円位で良いですね」と言われても、求職者はそれが妥当かどうかわかりません。そういう決め方はやっぱり良くないと思いますね。

求職者にとっては、生活を考えて仕事を選ぶと、今よりも報酬が下がると困る場合があることは理解できます。ただそれはあくまで求職者の希望であって、仕事の報酬を決めるのはあくまで採用する企業や市場です。日本ではまだ雇用の流動化があまり進んでいないので、「この規模の会社で、こういう責任の仕事なら、報酬は大体このぐらい」という水準がありません。

そんなわけで、エージェントからこうした質問をされるたびに、「企業が出しても周りと軋轢が生じない金額で良いです」と言ってきました。

こちらとしては、いくらでも良いのですが、企業にとっての「いくらでも良い」ということではありません。お金は大事です。報酬はその人に対する評価ですから、高いことに越したことはありません。ただ、企業には基本的な報酬の水準があります。それを崩して採用をすると、双方に良いことはありません。

私の仕事は、企業の再生や成長が目的です。その目的を果たすためには、社内の人をうまく動かさなければなりません。

日本企業には、報酬がその人の能力評価の結果であるということを理解している人があまりいませんから、権限と責任の重さによって報酬が決まるということが理解されていません。そういう人たちと一緒に目的を達成しようとするなら、こうした、くだらないことにも気を遣う必要があると私は思っています。

そんな理由ですから、「周りと軋轢が生じない金額で良いです」と答えるわけです。

 

⇨ 中小企業の経営支援は難しい

⇦ 転職して経営者になる?④

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