管理職の転職~エージェントによる求職者の囲い込み

外部の経営者が必要
さて、前回に引き続き、日経ビジネススクールのメルマガコラム「次世代リーダーの転職学」に関連する話です。
前回、『中小エージェントは「求人ありき」から「転職希望者ありき」に方針を転換し、「潜在求人」を探す「ジョブハンティング」に力を入れている』という視点を採り上げました。
その中で、潜在求人を探すジョブハンティング型と言うものの、それは中小のエージェントには人材のストックが乏しいために、求職者へのアプローチが必要だからという説明をしました。
PEファンドなどは、新しい投資先が見つかれば、経営人材が必要となります。例えばカーブアウト案件のような、上場企業の事業を外に切り出し、その企業に投資するような場合であれば、切り出される事業部の管理職には、優秀な人材がいることが多いため、事業推進部門の管理職はあまり必要ありません。
しかし昨今増えてきた、オーナー社長の高齢化によるファンドへの売却案件では、後継者となる経営陣をセットで送り込む案件も少なくありません。これらの企業では、役員や管理職であっても全て社長の指示によって動いてきた人たちばかりなので、社内には経営人材はいませんので、外部から経営人材を探すことになります。
実際にエグゼクティブ向けの転職サイトを見ていると、ファンドの案件らしきものが散見されますが、ファンドとしても、人材のプールがないため、このように都度外部から人を探す必要があるわけです。
そこで、転職エージェントは、こうした人材を紹介できるよう、潜在求人を探す「ジョブハンティング」を行います。ファンドの投資先経営陣に加われそうな人材を探し、事前にファンドに顔見世をします。
顔見世興行
独立したばかりの時、私もサーチファームのエージェントに、複数のファンドを紹介されました。たくさんのファンドを知っていることは仕事につながりますし、紹介された中で、実際に案件をオファーされたところもあります。
色々なファンドに連れて行かれるので、仕事を探している身としては有難いのですが、エージェントが私をファンドに紹介するのには理由があります。
エージェントは売れそうな人材の囲い込みをしているのです。私が売れそうだったかどうかは置いといて、ファンドが将来、エージェントから紹介された人材と案件の話をする際は、必ずエージェントを通さなければならないという契約をファンドとしています。
契約期間は1年間程度のようですが、その間に案件が出てきてファンドが紹介された人材にコンタクトして契約となれば、その人の報酬の30~35%程度を転職エージェントに払うことになります。
まあ、こちらに実害はありませんが、転職したい求職者ならば問題ないでしょうが、こちらは契約ベースの仕事を探しているわけです。口銭を取るなら、最初にその話をすべきだと思ってあまり良い気はしませんでした。
せめて紹介する前に、「先方と会うと、うちの会社を通してもらうことになります」という話ぐらいは欲しいなあと思うんですけどね。まあ、そんなこと当たり前なのかもしれませんが。
いずれにしても、このように、売れそうな求職者を事前に顧客に面談させることで将来の予約(囲い込み)をするわけです。こちらにとっては別に損はないのですが、なんとなく説明ぐらいして欲しいなあと思ってしまいます。
管理職のための KPIと財務【入門編】
↑↑↑Amazonのサイトはこちらから(Click )
経営者は攻めと守りの数字に強くなければなりません。
でも、「今月の売上目標は〇〇百万円を死守!」と気合を入れても目標は達成できません。目標を達成するためには、行動計画に落とし込む必要があります。本書では、売上を行動計画にまで落とし込む方法を簡単に解説します。
また、在庫が増えるとなぜ利益が増えるのか、赤字でも販売すべきなのか、大口の受注はどこまで値下げして受けるべきか等の管理会計の視点を説明します。
経営者や管理職に必要となる最低限の知識を、わかりやすくまとめていますので、新入社員や、これまで全く経営戦略や財務に関わってこなかった若手の営業員でも理解できる内容です。
これから経営に携わる方にご覧いただけると嬉しいです。
“管理職の転職~エージェントによる求職者の囲い込み” に対して1件のコメントがあります。