転職して経営者になる?④~PEファンド案件への求職者の囲い込み

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さて、前回に引き続き、日経ビジネススクールのメルマガコラム「次世代リーダーの転職学」に関連する話です。

前回、『中小エージェントは「求人ありき」から「転職希望者ありき」に方針を転換し、「潜在求人」を探す「ジョブハンティング」に力を入れている』という視点を採り上げました。

その中で、潜在求人を探すジョブハンティング型といっても、それは中小のエージェントには人材のストックが乏しいため、ストックを蓄えておくために、求職者へのアプローチが必要だからと説明しました。

PEファンドなどは、新しい投資先が見つかれば、経営人材が必要となります。例えばカーブアウト案件のような、上場企業の事業を外に切り出し、その企業に投資するような場合であれば、切り出される事業部のトップ等、優秀な経営人材がいることが多いため、あまり経営人材には困りません。

しかし昨今の投資先には、オーナーや社長が高齢になったために、ファンドに買収してもらって後継者も探して欲しいという事例が増えています。こうした企業はほとんどが中小企業で、役員や管理職であっても、基本的には全て社長の指示によって動く人たちばかりです。このため、社内には経営人材はいません。

そうなると外部から人を探してくることになります。実際にエグゼクティブ向けの転職サイトを見ていると、ファンドの案件らしきものが散見されますが、ファンドとしても、人材のプールがないため、このように都度外部から人を探す必要があるわけです。

そこで、転職エージェントは、こうした人材を紹介できるよう、潜在求人を探す「ジョブハンティング」を行います。ファンドの投資先経営陣に加われそうな人材を探し、事前にファンドに顔見世をします。

独立したばかりの時、私もサーチファームのエージェントに、複数のファンドを紹介されました。たくさんのファンドを知っていることは仕事につながりますし、紹介された中で、実際に案件をオファーされたところもあります。

この時は、いろいろなファンドに連れていかれるので、それなりに有難かったのですが、それから半年ほど経って、紹介してくれたファンドとコンタクトをした時、エージェントが私をファンドに紹介したからくりが理解できました。

エージェントは売れそうな人材の囲い込みをしていたのです。私が売れそうだったかどうかは置いといて、囲い込みという意味は、エージェントがファンドに紹介した人材と再度会って案件の話をする際は、必ずエージェントを通さなければならないという契約をしていたということです。

契約期間は1年間、その間に案件が出てきてファンドが紹介された人材にコンタクトする際は、直接話したとしても、例えば経営陣に加わることになれば、報酬の30%程度を転職エージェントに払うというものでした。

まあ、こちらに実害はないとはいうものの、あまり良い気はしません。だってそういう話は一切こちらには説明されませんから。

もちろん私は、事前にそういう話をしてくれれば、紹介してくれたエージェントを飛ばしたりはしません。しかし、何の縛りもないと思って会った人と、エージェントが勝手にそういう取り決めをしていたとなると、何かの関係でその人の案件について話す機会が当たっときに、初めて取り決めの内容がわかるわけです。これはあまり良い気持ちがしません。せめて紹介する前に、「先方と会うと、うちの会社を通してもらうことになります」という話ぐらいは欲しいなあと思うわけです。

そもそも、そういう縛りがあるなら、そのエージェントには依頼せず、別のルートで面談をアレンジしてもらおうことを私が選択するかもしれないわけですから。

いずれにしても、エージェントはこのような形で人材を囲おうとしています。まあ、それが悪いわけではないですが、ちょっとコンプライアンス上どうなのよ?とも思ってしまいます。

 

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