PEファンドの投資先経営者になるには①

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絶好の投資チャンスがやって来る

コロナ禍の影響で、多くの上場企業の決算が赤字や過去最悪になっていると発表されています。この様子だと、今後年末にかけて、事業が立ち行かなくなる企業が増加すると思われます。

新型コロナウイルス感染の拡大の影響で、世界経済は悪化の一方をたどり、株価も低迷していてますが、 投資ファンドにとっては、投資の絶好チャンスがやってきそうです。

米国の投資ファンド、カーライル・グループの日本代表である山田氏は、「良いビジネスは今業績が落ち込んでも必ず回復する。そのような案件を探すことが重要だ」として、日本でのバイアウト投資向け4号ファンドで2,580億円を調達したことを明らかにしています。(過去最高額で、3号ファンドの2倍の規模。)(ロイター 2020年3月24日)

日本企業を対象とするファンドは大小関係なく投資準備を着々と進めており、今後大企業のカーブアウト(事業部門の切り出し)や、中堅中小企業の事業承継に関わるMBO・EBO案件の増加が見込まれます。

投資ファンドは、出資する企業を探すだけでなく、その企業で経営に携わる人材も探さなければなりません。前述のカーライル・グループの4号ファンドは期間が6年です。つまり、その期間内で結果を出せる経営者を投資先の数だけ見つけなければなりません。

求められる経営者とは

ファンドが求める経営者とは、3~5年程度の期間で結果を出してくれる人です。ファンドは投資家から調達したお金を投資先に投資します。例えば前述のカーライルの4号ファンドであれば、2,580億円の調達をしたわけです。カーブアウト案件であれば1案件に付き300~500億円、事業承継案件であれば100~200億円程度を、そのファンドの中から投資します。

1案件当たりの投資額が250億円だとすると、今回調達したファンドでは、10件の投資先を探さなければなりません。つまり、10人の社長や経営陣を探す必要があるわけです。

もちろん1年間に10件の投資などできませんし、現在の社長がファンドに買収された後もそのまま社長として残ることもあります。しかし、PEファンドの数は、昨今タケノコのように増加しています。

私が知っているバイアウトファンドだけでもすでに50社以上になっています。(ファンドの種類等については ☞ステージによって異なるPEファンドの投資戦略を参照して下さい)

こうしたファンドが、小規模であれば売上20億円程度から、中堅企業になれば売上1千億円程度の会社に投資を行うわけです。一つのファンドが毎年1件投資したとしても、年間で50件以上の投資案件です。その内、経営者を必要とする企業が半数あれば25人のプロ社長と、それを支えるプロ経営陣が必要となるわけです。

こうした企業で経営に携わるためには、それなりのマネジメント経験が求められます。バイアウトファンドの場合、比較的Old Industryに属する業種が多く、従業員の年齢も高めですから、こうした企業をマネジメントできる人材としては、あまり若すぎない、40代後半~60代前半の経験者が好まれるようです。

企業規模やその企業の人材の状況によって求められる経歴は異なりますが、比較的大きな企業であれば、業界でそこそこの有名な人(顔が知られている人)、中堅以下であれば、(業種に関わらず)製造部門のマネジメントができる人や、同業種で営業のトップだった人などが好まれる案件が多いです。

私は、経営管理や海外事業戦略分野が強いのですが、私のような人材はCOOやCFO(又はCAO)として参画を求められるケースが多くなります。こうした役割はCEOを支える役割ですから、CEOが60代であれば50代のCFO、50代であれば40代のCFOというように、CEOよりもひと世代若い人材が好まれる傾向があります。

経営陣として求められる職種は、経理財務はもちろんですが、最近では、法務や人事部門の経験が長い人材を求める企業が増えているように感じます。

どのように案件を探せば良いのか

ファンドの投資先企業で経営陣として働きたい場合、かつてはファンドがサーチファームを使うことが多かったのですが、現在は、転職エージェントと言われる人たち④でも説明した通り、ファンドはリテーナーフィーを払わないため、そうした案件でも引き受けるエージェントが、ビズリーチキャリアカーバーのようなハイキャリア向けの求人サイトの登録者から人材を探すことが多くなっています。

こうしたサイトに登録すれば、登録内容の書き方や経歴にもよりますが、案件にマッチしそうな人を、転職エージェントが探し出し、直接スカウトメールを送って来ます。もちろん、サイトに登録して、自分から良さそうな案件を探し、エントリー(申し込み)しても構いません。

登録すればわかりますが、こうしたハイキャリア向けの転職サイトには、同じサイトに同じ案件がいくつも載っていることも少なくありません。また、違うサイトであっても同じ案件が載っています。

これは、エージェントも求職者との接点を少しでも増やしたいと思って複数のサイトに広告を出していることと、同じ案件をたくさんのエージェントが扱っていること(つまりファンドがたくさんのエージェントに案件を依頼している)が原因です。

いくつかのサイトを見て、同じ案件が載っていると、一つのサイトだけ見れば良いだろうと思うかもしれません。しかし、同じ求人募集であっても、その求人を取り扱っている転職エージェントは必ずしも同じではありません。エージェントによってJD(Job Description 募集する職務の内容)の細かさはかなり異なります。ですから、職務内容や条件面等の情報を集めるためには、基本的に可能性がありそうなサイトには数多く登録をした方が、スカウトされる可能性は高まります。

例えば40代以降でファンド投資先の経営に携わりたい人であれば、前述した ビズリーチキャリアカーバーの他に、enミドルの転職iX転職、新しいところでは、日経転職版ぐらいには登録をして案件を見ておいた方が良いと思います。転職エージェントはここに上げたサイトのどれか2つ程度に登録しているケースが多いようです。

ファンドの投資先だけではなく、一般事業会社の管理職案件も見たいという場合は、日経のエグゼクティブ転職にも管理職案件が多く掲載されています。同じ日経が運営するサイトですが、日経転職版とは掲載している企業ターゲットが異なるようです。

こうしたサイトを積極的には活用していないエージェントもあります。主に外資系のサーチファーム(いわゆるヘッドハンティング会社)です。

これらのファームは、基本的には紹介ベースで求職者にアプローチしますし、リテーナーフィーを払わないファンド案件はあまり取り扱っていないようですが、もし興味があるのであれば、ホームページからコンタクトすれば相談できますす。

また、日系のサーチファームですが、リクルートのハイキャリア人材専門の転職エージェントリクルートエグゼクティブエージェントには、米系大手のファンド案件を取り扱っています。こちらで取り扱っているファンド案件は、大手ファンド案件が中心になりますが、ファンド以外の経営人材案件も豊富ですから、興味があればHPからコンタクトしてみるのも良いと思います。

では、ファンドの投資先経営者には何が求められ、どのような報酬を得るのでしょうか。

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⇦ 転職エージェントと言われる人たち④

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