管理職の転職~職務経歴書に書くべきこと、書かなくて良いこと

職務経歴書に何を書く?
サイトやエージェントに登録する際は履歴書と職務経歴書が必要となります。
履歴書が、学歴や職歴、保有する資格といった求職者の基本的な状況を記しているのに対し、職務経歴書は、その人がこれまでどのような仕事(役割)で、どのような成果を出してきたを記載したものです。
転職を考えたことがない人にとって、職務経歴書を書くのは結構大変です。
20年も30年も同じ会社で働いてきた人に、「職務経歴書を書いてください」と言うと、多くの人が何をどのように書いてよいのかわからず悩みます。そして、入社した時から現在の仕事までの職務内容を羅列するだけで履歴書とほとんど変わらないものが出来上がります。
職務経歴書は、応募しようとしている仕事に、自分のどんな経歴が役に立ち、なぜそうした仕事ができるのかを伝えるツールです。そのためには、自分自身がどんなことをやってきて、何ができるのかをはっきり理解していなければなりません。
やりたいこと、できること、求められること
創業セミナーに参加すると、「“やりたいこと”、“できること”、“求められること”の3つの輪が重なった領域で起業を考えて下さい」といわれます。
転職でも同じです。
転職の場合「求められること」は決まっています。企業が求めていることに対し、あなたの「やりたいこと」、「できること」がマッチするかどうかが大事です。
企業が「求めているもの」に、あなたのこれまでの経験や実績から「できること」がマッチするのか、そもそもそれがあなたの「やりたいこと」なのか、経歴書を読んだ相手に、それが伝わるように書くことが必要です。

「会社に残って後輩の下で働くのは嫌なので辞めたい」ということを理由にする方もいます。気持ちはわかりますが、やりたいことがないのであれば、職場で嫌な目に合っていない限り、会社を辞めない方が良いことの方が多いです。新しい職場に移っても、そこには自分よりもできの悪い上司やコンプライアンスの欠片もない社長がいます。
転職を考える時は、次はきっと楽しい職場が待っている!と思いたくなります。しかし残念ながら、転職先では今の職場よりも、もっと大変で面白くないことがたくさん起こります。
転職して良かったと言える人は、ある程度自分でやりたいことがあり、年収や会社の規模、役職がどうなろうと拘らない人です。「年収はこれぐらいじゃないと困る」とか「やっぱり部長の肩書は欲しい」というような人は、役職定年となっても、会社が決めた出向先に転籍し、そのまま定年を迎えるのが幸せです。
私は人材紹介会社で経営に携わっていましたが、転職に関しては肯定的ではありませんでした。転職とはその人に合った場所を探すための手段です。新卒で入社した企業で満足して働けるなら、それが一番です。
やりたいことが特にないのであれば、役職定年になったら後進のサポートにまわり、定年後は、会社の仲間とゴルフや旅行、会食をした楽しく暮らす。そういう人生も素晴らしいと思います。
何ができて何ができなかったのか
それでも、「業績悪化でリストラされた」、「不本意な出向や転籍を通達された」等の理由で辞めざるを得ない人もいるでしょう。
そういう人は、例えやりたいことがなくても、「自分はこういう仕事を続けたい。新たな職場でこれを実現したい」ということを明確し、その想いを職務経歴書に記載する必要があります。
例えば、海外での新規顧客開拓チームのリーダーであった人が、海外営業の責任者を求めている企業に転職しようとするなら、職務経歴書には、自分が当該業務のリーダーとして行ったことを具体的かつ簡素に記載します。
リーダーとしてマネジメントした人数、自分のミッション、業績目標とその達成度、達成できなかった理由とそこから何を学んだか。更に、業務に対する姿勢や目標を達成するために大事にしたことを簡素に書けると良いでしょう。
失敗したことを職務経歴書に書かなくても良いですが、仕事に対する情熱や取組み方が読み取れる失敗談もたまにあります。
江戸時代、平戸藩主で剣術の達人でもあった松浦静山は、「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」という言葉を残しました。ヤクルトスワローズや楽天イーグルスで監督を務めた野村克也氏の座右の銘としても有名ですよね。
業績が達成できたかどうかは、かなりの部分で「運」が影響します。担当していた地域や顧客、市場の伸び、優秀な部下。こうしたさまざまな要因が結果につながります。まさに「不思議」な勝ちも多いわけです。
それに対し、業績が達成できなかった理由は明確です。もちろん運にも左右されるでしょうが、それよりも戦略や戦術、メンタルな部分を含め、負けた理由を明確に挙げることができるはずです。
失敗した理由は、自分に何かが足りなかったから。それを経歴書に簡素に書く場合は、間違っても部下や上司、仕事環境のせいにしてはいけません。
職務経歴書は、「私には、企業が求めるこんな経験や実績がありますよ」ということを記すだけでなく、どんなことを考え仕事をする人なのかを相手にイメージさせ、この人に会ってみたいと思わせる必要があります。
自分が「何をやりたいのか」、「何ができるのか」をしっかりと考えて経歴書を作成してください。
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