管理職の転職~職務経歴書に何を書くか

職務経歴書に何を書く?
前回お話しした通り、「会社の立て直しを手伝いますよ」と企業にアプローチをしたものの、けんもほろろに断られた私は、経営の立て直しができそうな案件を探すために、仕方なく、転職サイトやエージェントを利用することにしました。
サイトやエージェントに登録する際は履歴書と職務経歴書が必要となります。
履歴書が、学歴や職歴、保有する資格といった人物の基本的な状況を記しているのに対し、職務経歴書は、その人がこれまでどのような仕事(役割)で、どのような成果を出してきたかがわかるように記載した資料です。
私は職務経歴書を毎年更新しているため、登録する際はあまり苦労しませんが、50代まで転職を考えたことがない人にとって、職務経歴書を書くのは結構大変です。
30年間同じ会社で働く人に、「職務経歴書を書いてください」と言うと、入社した時から、現在の仕事まで全てきっちり書こうとするはずです。その内容は履歴書とあまり変わりありません。履歴書と異なるのは、主な仕事の内容、マネジメントした部下の数、そして営業成果が付け足してあるぐらいでしょうか。
職務経歴書を作る際には、まず自分がこれからどんな仕事をしたいかをよく考える必要があります。自分がなぜその仕事をやりたいのか、自分のどんな経歴が役に立ち、なぜそうした仕事ができるのかを、自分自身がはっきり理解している必要があります。
こうしたこともよく考えず、「中小企業ならば部長としてやれるのではないか」程度の考えで職務経歴書を書くと、何の面白みも感じられない経歴書となってしまいます。
やりたいこと、できること、求められること
創業セミナーに参加すると、「やりたいこと」、「できること」、「求められること」の3つの輪が重なった領域で起業を考えて下さいという話をされます。
転職に際しても同じようなことが言えます。
転職の場合は、「求められること」は決まっています。企業が求めていることに対し、あなたの「やりたいこと」、「できること」がマッチするかどうかが大事です。
企業が「求めているもの」に、あなたのこれまでの経験や実績から「できること」がマッチするのか、そもそもそれがあなたの「やりたいこと」なのかを重ねていくわけです。

転職したいという人の中には、「このまま会社に残っても後輩の下で働くだけで面白くないから辞めたい」と話す人もいます。そこで、「ではどんなことをやりたいと思われているのですか」と聞くと、「特にやりたいことはない」と答える人が少なくありません。
「特にやりたいことがない」のであれば、今の会社を辞めない方が絶対に良いです。おそらく辞めて良いことはあまりないと思います。
会社を辞めることを想像すると、何となく今よりも楽しい職場が待っているような気がするかもしれません。しかし残念ながら、転職先では今の職場よりも大変で面白くないことがたくさん起こります。
実際に私の周りで特にやりたいこともないのに転職した人の中で、転職して良かったと言っている人は、ある程度自分でやりたいことがあって、そのために転職先で年収が下がったり、会社の規模が小さくなることを受け入れる覚悟をしていた人たちです。
そういう覚悟や、そもそもやりたいことがないのであれば、役職定年後は会社が決めた出向先で働き、転籍してそのまま定年を迎えるのが幸せだと思うわけです。
私は転職エージェントで勤めていた時から、転職に関してはあまり肯定的ではありませんでした。基本的には、入った企業で自分が満足できる何かを達成でき、長く働くことが一番良いと思っています。
楽しい職場の仲間ができ、そして役職定年後は後進のサポートにまわる。定年退職したら、昔一緒に働いた人とゴルフをしたり旅行に行ったり、会食したり。そういう人生を送れることは素晴らしいと思いますし、銀行を19年で退社したためOBとして認められない私にとって、そうした人生は羨ましくもあります。
しかし、役職定年を目の前にしても、「まだ第一線で働きたい」とか「新しいことに挑戦したい」という人や、「リストラされて行き場がない」という人もいるわけです。そういう人のために少しでも役立つ情報を提供したいと思ってこのブログを書いています。
ちょっと話が横に逸れてしまいましたので戻します。
会社の業績が悪くリストラされる場合や、不本意な出向や転籍を受け入れるよりも、自分の経験を活かせる仕事を探したいと思っている場合は、「自分はこういう仕事を続けたいと思っている。それを続けられる新たな職場を探している」等の、新たな職場で成し遂げたいことを明確にする必要があります。
例えば、海外での新規顧客開拓チームのリーダーであれば、海外市場をこれから開拓したい地方企業や中堅企業に求められる可能性は高いと思われます。また、長年総務のスペシャリストとして株主総会やIR、工場の労務管理等の仕事をしてきた人も、中堅中小企業だけでなく、これから上場を目指すベンチャー企業等には必要な人材です。
職務経歴書は、「私には、企業が求めるこんな経験や実績がありますよ」ということを、相手にイメージさせ、こんな人に会ってみたいと思わせなければなりません。ですから、まずは自分が「何がやりたいのか」を再考し、「何ができるのか」を洗い出しながら、作成する必要があります。
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