コロナ禍に於けるランチ営業は実施すべきか~限界利益の考え方

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さて少し戻って、もう一度限界利益について考えてみたいと思います。

東京都が飲食店に対して行っている時短営業の要請も延長されてしまいました。ここまで、従業員を解雇せずに頑張ってきた飲食店にとっては非常に厳しい状況が続いています。

人を雇っている限り人件費が発生しますし、店舗は閉店していても賃料がかかります。

売上が大きく落ち込んだ中小企業者に対しては、休業や時間短縮営業を行っている場合は雇用調整助成金、家賃に関しては家賃支援給付金等を申請することができますが、金額にも限りがあります。

こうした状況下でどのような経営判断をするか、下記の設問で考えてみたいと思います。

 

【設問】

和食の店「T」がランチの開始を検討しています。通常6千円で提供している懐石ランチを、4千円に値引きして1か月提供するものです。コロナ禍の影響で、店舗の受け入れは1日10名に限定し、さまざまな対策費として、備品等、新たな経費が100千円追加で必要となります。

今回の取り組みによる損益は下記のようになる予定です。通常月であれば、夜も営業しているため、損益は毎月1,160千円の黒字になりますが、今回の取り組みでは、場所柄、夜の集客は期待できないため、損益は1,971千円の赤字を見込んでいます。

あなたはこの取り組みを行うべきだと思いますか。

 

【解答】

この和食店のP/Lは下記のように分解することができます。確かに損益は赤字ですが、限界利益は582千円の黒字になります。つまり、1か月という短期間であれば、固定費を稼ぐためにも少しでもビジネスを行った方が良いという判断になります。

何もしなくても賃料や人件費といった固定費はキャッシュアウトします。ですから、格安ランチ営業だけでも行って、少しでも限界利益を稼ぐことができれば、賃料の700千円の一部の582千円はこの利益で賄えることになります。

コロナ禍に於いても、ランチ営業やテイクアウトを行う理由はこうした固定費を少しでも賄うための施策なわけです。

但し、一度値段を下げてしまうと、その価格を元に戻すことが難しくなります。嘗てマクドナルドが100円バーガーを販売した際、一時的に売上は大きく伸びたものの、その施策がマクドナルドハンバーガーのブランド価値を大きく棄損し、その後長らく同社の業績が低迷する原因となりました。

値下げという決断を行う際は、数字以外の影響を考慮して、メニューを通常とは別の仕様にする等、商品・サービス価値を棄損しない対策を考える必要があります。

 

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