赤字事業を辞めれば損益は改善するのか

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全ての事業が儲かっていれば良いのですが、実際にはなかなかそうはいきません。多くの製造業には、儲かっていない赤字の製品もあります。顧客の要望に応えて作っているものの、全く儲からない事業。経営者なら辞めたくなりますよね。

そのような時、単に赤字製品の製造をストップすれば問題は解決するのでしょうか?
次の問題を考えてみて下さい。

 【問題】

 

この問題を考える時も、まず変動費と固定費をはっきりさせる必要があります。問題文にある通り、X社では、製品AとBを同じ工場の同じ設備を使って作っています。当然従業員も同じです。

そうすると、変動費は材料費、固定費は人件費と設備関連費となりますので、下記図のように分解することができます。

 

  

そこで、製品Aだけを製造した場合と、現在同様、AとBを製造する場合を比べてみます。X社が製品Aだけを製造する場合は、売上も減りますが、その分、変動費も減ります。しかし、固定費は減りません。何故なら、製品Bを作るための工場設備や従業員は、製品Aも作っていたので、Bがなくなったからと言って、設備を売却したり、人員整理ができるわけではないからです。

さて、 製品AとBを販売する場合と、製品Aのみを販売する場合を表にしたものが下記になります。AとBを販売していた際は、損益はゼロでしたが、赤字の製品Bを辞め、Aだけを販売した際の損益は▲350千円の損となってしまいます。その理由がわかりますか?

  

 

それは、固定費が変わらないからです。同じ設備と人員を使ってAとBを製造しているわけですから、Bを辞めても、材料費である変動費は減りますが、人件費や設備にかかる様々なコスト(固定費)は減りません。

前回、「この取引、応じるべきでしょうか」では、大口の注文を半額で受注するかどうかについて、限界利益の考え方を説明しました。

損益が赤字であっても、限界利益がプラスの製品であれば、少なくとも固定費は賄われていることになります。製品Bの固定費(450千円)の内、350千円は製品Bを製造販売し続けることで賄うことができます。しかし、Bを辞めると、このコストをAが負担しなければならなくなります。

同じ設備や人員でAとBを製造販売している場合、どちらかを中止すれば、辞めた製品の変動費はなくなりますが、固定費の900千円はなくなりません。製品Aだけを販売するならばAがその固定費900千円を全て負担することになります。

 

もちろん、だからと言ってこのまま製品Bの販売を続けることが良いわけではありません。値上げを行う、販売数を増やす、変動費や固定費のコストを下げる、等々の施策を取らなければなりません。

例えば、下記のように、Bを辞める代わりに、Aを増産(1千個→2千個)すると、Bでカバーしていた固定費を賄うことができ、更に損益面でもプラスにすることができるようになります。

ここでは単純に1千個を2千個にしていますが、変動比率と固定費額から損益分岐点売上が計算できれば、製品Aを何個作れば損益がプラスになるかも計算することができます。 

 

 このように、管理会計を理解できるようになれば、いや、もっと簡単に言うと、変動費と固定費が分けられるようになるだけで、数字の根拠をもって経営を行うことができるようになります。もちろんそれだけで経営を行うわけではありませんが、勘と経験、そして決断力を持つ経営者が、数字を理解できるようになれば、鬼に金棒です。

興味がある方はぜひ「いまさら聞けない財務と数字の話」のシリーズをご覧下さい。

 

⇨  最適のプロダクトミックスを考える

⇦  この取引、応じるべきでしょうか

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