3日、3週間、3か月、3年~投資先の経営者という仕事

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企業は目的を掲げ、その目的に向かって目標を作ります。「目的」は組織のミッションや存在意義であり、「目標」はビジョンみたいなものでしょうか。企業のリーダーは、ミッションやビジョンを掲げ、その達成に全力を尽くします。

売却が前提となるファンドの投資先で経営を行う場合でも、ミッションやビジョンは大切です。たとえ短期間で株主が代わるとしても、企業の目的を見据え、それに則った経営目標が達成できる仕組みをつくる。社員をまとめ、同じ方向に向かわせるためにはまずそこから始める必要があります。

ファンドは3~5年でExitすることを前提に投資を行います。そこで雇われる経営者は、この期間で企業価値を株主の意向通り向上させることを請け負います。創業社長や上場企業の経営陣ではないため、ファンドがExitして契約が終われば、基本的に企業や社員との関わりはなくなります。

そんな仕事ですから、自分がいる間だけ業績が拡大すれば良いという考えの経営者やファンドの責任者もいます。しかし、請け負う経営者にとっては、自分が去った後にまた元の会社に戻ってしまっては意味がありません。任された期間の業績を改善することと同時に、経営を引き継いだ後も企業が成長できるような土台を作ることが重要です。そのためには企業のMissionやVisionは大事ですし、社員が目指すべき目的がなければ、短期間で業績を向上させることもできません。

ファンドの場合は3~5年後に、投資時点に比べて3倍の企業価値になることが求められます。もちろんそれは3年後に営業利益が3倍ということではありません。その先に企業が間違いなく成長するような土台(コスト削減や新規事業、組織や人等)を作り、それを次の投資家に評価してもらってIPOやM&Aにつなげることが大事なわけです。

バイアウトファンドは基本的に成熟企業に投資します。良い商品やサービスを持っているものの、さまざまな理由でそれが売れなくなったり経営が緩んでしまったりして、負債が大きくなったような企業が投資先となります。

当然、そうした企業は傷んでいます。

そして、傷んだ企業は何もしなければどんどん悪くなります。その進行を止め、成長に転換させるためには、できるだけ早く問題を発見し解決策を実行する必要があります。

3年間という短い期間で、こうした企業を建て直し、「土台」をつくるためには、意思決定のスピードが重要です。いかに早く問題を発見し、その解決の手段を見つけ、実行して結果を出すかが勝負です。

ですから経営を任されると、まず問題のあたりをつけ、現場を見たり、インタビューを通じて検証を行いながら、会社の中で手を貸してくれそうな人や優秀な人を探します。そして彼らやファンドと共に企業が目指す目的と目標をまず決めます。

3年間という短い期間で、こうした企業を建て直し、「土台」をつくるためには、意思決定のスピードが重要です。いかに早く問題を発見し、その解決の手段を見つけ、実行して結果を出すかが勝負です。

ですから経営を任されると、まず問題のあたりをつけ、現場を見たり、インタビューを通じて検証を行いながら、会社の中で手を貸してくれそうな人や優秀な人を探します。そして彼らと企業の目的を決めることがまずは最初のステップです。

私は仕事の際、「3日、3週間、3か月、3年」で考えるようにしています。「大体3日で問題の当たりをつけ、3週間かけて現場や人を見て問題を把握し、3か月でその問題を解決し企業が目指すべき目的と目標を決めます。そして3年で結果を出す」こんなスピード感で経営を行います。これぐらいでなければ3年で企業価値を3倍にはできません。

「業界や会社のこともわからないのに、そんなことできるのか?」と言われますが、どんな業種であっても、経営上の問題点はそれほど変わりません。

例えば半導体の設計や製造販売に関してはド素人ですが、業界全体のトレンドやその中での会社の位置づけ、そして会社の製品や事業戦略等々を理解しながら、現場を見て社員の話を繰り返し聞くことはできます。

そうすると、たくさんの事実から企業の人事、組織やサプライチェーン上の問題点が見えてきます。それらを縦横斜めからみて、足したりそぎ落としたりすると、本質的な問題に辿り着きます。

それを、会社の中で力を貸してくれそうな人、優秀なプロたちの協力を得て解決していくわけです。どんな会社でもやることはそれほど変わりません。だから、どのような業種であっても、ある時はCFO、ある時はCOO、ある時はCEOといった役割ができるわけです。

会社の中で手を貸してくれそうな人と書きましたが、ファンドが投資する先は基本的に昔は業績が良かった会社や、大手企業の一部門だったわけです。働いている人には大企業の一員としてのプライドを持っている人や、優秀な人が数多くいます。

そういう人たちが、業界のことも会社のこともよくわかっていない人間に指示されるのは決して面白いことではありません。そんな中から、一緒に手伝ってくれそうな人を見極めて、短期間で仕組みを作っていく仕事は結構大変です。

自分の力を認めさせるには、自ら道を切り拓く姿を見せなければなりません。しかし、何れは去って行く身ですし、経営を引き継いだ後も企業が成長できる土台を作ることが一番の仕事なので、自分でばかりやっていては土台は作れません。ある程度社内で信頼され、人がついてくるようになれば、一歩引いて組織を見渡し、自分の代わりができる人に任せていきながら、組織や仕組みといった企業の土台を作っていきます。

請け負った仕事が終わる頃には、重要な仕事はすべて誰かに任せて、自分がいなくても回る組織になっていることが理想です。そうすることで、最後は目立つことなく去って行くことができます。退社した後は、会社の人と個人的に関わることは避けてきました。

「いつまでも自分がやらなきゃ」ではなく、自分がいなくても他の誰かに早く任せて自分は去る。そして何年かして、「昔はそんなこともあったなあ」と社員が振り返ることができる会社。そんな仕事ができれば良いなあと思っています。

こうした仕事のやり方が経営者として理想かどうかは別として、「どんな局面でも最善の意思決定を行い、チームを目標の達成に導くための努力」はしてきたと思います。

「最後は目立つことなく去って行き、辞めたらそこでおしまい」というのは正直寂しいです。しかし、これも自分の仕事のやり方だと思っているわけです。

 

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