誰でもできる、売上が倍増する目標の作り方⑪~経営者の勘と経験で作るKPI

勘と経験でKeyを見つける
最初から完璧なKPIは作れません。まずは業務工程を良く考え、細かく分解することが大事です。業務工程が確定したら、工程から工程に移る確率(歩留まり率)を大まかで良いので書き込みます。
次にそれらの業務工程の中から、経営者の勘や経験に基づいて、販売や契約のKeyとなるものを確定します。
Keyが見つかれば、目標とする数字(売上や契約金額)を達成するために、Keyの行動がどのぐらいの量必要になるかを計算します。販売や契約1件を獲得するために、Keyとなる行動が何回必要かを歩留まり率から逆算し、KPIを設定します。
KPIは行動すれば達成できるもの1つだけ
KPIはKeyとなるものの行動量です。Keyが複数あって絞れないような場合は、達成しやすい単純な行動をKeyにして下さい。
業務工程を分解すると、たくさんのKPIを設定したくなりますが、まずは1つだけ設定するようにして下さい。経営者が「最重要」となる行動指標を考え抜き、目標とすることが重要です。KPIの設定は経営者の責任です。良く考えず、いい加減に設定したKPIならば、社員も目標達成に真剣にはなりません。
KPIを達成しても販売や契約金額の目標が未達となってしまう場合は、そのKPIは正しくありません。その場合は修正が必要となります。
目標やKPIの設定責任は経営者にあります。もちろん最初から的確なKPIの設定はできないかもしれませんが、経営者はKeyの発見とKPIの設定に、社員はその達成に向けて真剣に挑んで下さい。
ところで、Keyとした行動に確信がなかったり、バッファを持ちたいという理由で、数字を多めに設定する経営者がいますが、これは絶対辞めて下さい。
そうした姿勢は、目標を達成する社員の士気や意識に影響します。最初は上手く行っても、そのうち経営者が出す数字を真面目に目指そうとはしなくなります。定価販売を辞めてディスカウントしているといつの間にか何が定価かわからなくなってしまうのと同じです。
目標はひとつです。足すことも引くこともせず、全員で達成を目指して下さい。
KPIは作って修正してまた作る
Keyを見つけてKPIを作ることが出来ました。ここまでできれば、もう売上倍増は9割は達成です。最後の1割は、KPIの修正と再設定になります。(図表)
図表は企業が目的に基づいた目標を設定し、如何に達成して売上をUPさせるかを描いたものです。
Step1
まずは事業の「目的(経営ビジョンのようなもの)」が達成できる「目標」を設定します。
Step2
経営者の経験と勘に基づいてKeyを決め、目標を達成するためのKPIを設定します。
Step3
設定したKPIに基づいて営業活動を実施します。
Step4
営業活動で得たデータを蓄積し検証します。
Step5
検証の結果に基づき、必要があればKPIを修正します。
おまけ
最後に、KPIを達成するためには、強い意志と努力が必要です。(気合と根性で目標達成を目指します)
図表:KPIの作成とその運用方法

Step3で、KPIを設定して営業活動を行うと、さまざまなデータが集まります。
例えば、顧客訪問をKPIとしていた場合、1件の受注を獲得するための顧客訪問件数を26件と仮定していたものの、実際に営業活動をした結果、26件ではなく30件だった、或いは15件で良かったというようなケースがでてきます。
また、業務工程自体に洩れがあり、それを加えると別のKeyが見つかることもあります。
こうした事態が起こるたびにKPIを修正し、新しいKPIに基づいてまた営業活動を繰り返す。この繰り返しによってKPIの精度が高まり、目標達成に近づきます。
KPIの修正は社員に任せる
最初にKPIを設定するのは経営者ですが、データを収集し、KeyやKPIを修正するのは、社員と一緒に行って下さい。KPIの修正の繰り返しに社員が関わることで、社員の考える力が向上し、自分たちが決めた目標達成への意欲が高まります。
更に、「実績数字を検証し次の戦略を考える」という仕事をリーダー格となる社員に任せれば、経営への参加意識やモチベーションが高まります。次世代のリーダーを育成するために、この作業は非常に効果的ですから、是非実践してみて下さい。
最後に、図表に赤字で「気合と根性」と書きました。目標達成に気合と根性は必要です。それは闇雲に頑張るだけではなく、自分たちが納得できる目標を決め、その達成に向けて頑張る時に必要です。
例えば、月に50件の顧客往訪という目標を立てたのに、月末近くになっても、まだ40件しか往訪できていなかったとします。この際、残りの数日でどうやって10件を回るか、しっかりと考え、強い意志を持って実行する。そこには気合と根性が必要になります。
社員がこうして数字にこだわるようになれば、経営者が黙っていても、売上は増加します。
売上目標を業務工程として分解し、KPIを作ることで、社員は目指すモノが具体的にわかるようになります。「行動すれば必ず達成できるKPI」をクリアすることで、社員の目標に対する意識と達成感は高まります。
目標を設定し、その達成を目指して行動し、達成した時の達成感を何度も経験した社員は、将来、必ず優秀な幹部となります。
管理職のための KPIと財務【入門編】
↑↑↑Amazonのサイトはこちらから(Click )
経営者や管理職は、攻めと守りの数字を理解する必要があります。「今月の売上目標は〇〇百万円を死守!」と気合を入れるだけでは目標は達成できません。目標を達成するためには、「何が達成の鍵で、それを何回ぐらい行えば目標に達するか」を理論的に数値としてはじき出す必要があります。
そして行動計画を作成する際は、その行動が利益につながるものなのか、かけるべきコストかどうか等財務や管理会計の基礎を理解しておく必要があります。
本書では、売上目標を達成するためのKSF(Key Success Factor)の見つけ方、行動計画への落とし込み方といった「攻めの数字」と、赤字でも販売すべき場合とはどのような場合なのか、大口の受注はどこまで値下げして受けるべきか等の「守りの数字(管理会計)」について経営者や管理職が押さえておくべき点を学ぶことができます。
“誰でもできる、売上が倍増する目標の作り方⑪~経営者の勘と経験で作るKPI” に対して1件のコメントがあります。