誰でもできる、売上が倍増する目標の作り方⑩~自分のKPIを作ってみよう

Keyとなるもの
KPIは目標を達成するために必要な行動(Key)の量です。
面談数や顧客フォロー数、専門家セミナー開催数等、Keyとなり得る行動を紹介しましたが、これ以外にも図表1のような行動が、売上や顧客を増やすKeyとなります。
図表1:Keyとなり得る行動

メルマガの登録者数やPV数、UU数については説明するまでもないと思いますが、展示会やセミナー、デモのように顧客が体験することや、資料請求、問い合わせといった、顧客がアプローチしてくることをKeyとしている企業も数多くあります。
C社(葬儀社)ように、専門家との連携や、同業他社との連携をKeyとするケースも増えてきています。
同業他社の紹介は、自社で解決しない問題を他社に解決してもらうということです。顧客の問題解決が業績向上につながると考える企業は、こうしたことをKeyとしています。
自社で解決できなければ、解決できそうな企業や人を積極的に紹介することで結果的に自社に対する信頼が高まることになるからです。町のお医者さんなどは正にこのような活動をしています。こうした活動は、顧客にとってのベストを本気で考える姿勢が根底になければできません。
顧客の困りごと解決をKeyにしている企業は増えてきています。「起業する時は、世の中の人が困っていることをまず考えろ」と言いますが、KPIの設定に際しても同じことが言えます。
自社のKPIを作ってみよう
KPIを作るためには、まず、事業を成長させるKeyとなるものを見つける必要があります。
既に事業を行っている場合は、経験から「これができれば売れる」とか「ここまでいければ契約になる」というような経営者の勘があると思います。
KPIをより正確に設定するためにはデータの蓄積が大事ですが、経営者の勘は潜在的なデータに基づくモノですので、最初は経営者の経験と勘からKeyとなるものを見つけて設定します。
そこで、ここまでの説明を思い出して、図表2に、自社の業務工程を分解して書いて下さい。
顧客との最初の接点となるコトが一番下の枠に入ります。そして、最終的な結果(受注や販売)を一番上の枠に書き込みます。
例えば、一番下が「面談」で、そこから一段ずつ「セミナー開催」や「WEBサイトへの記事投稿」等々の業務の工程を書き込み、最終的に「販売」や「受注」が一番上になります。この業務工程の分解はとても大事ですので、丁寧にひとつずつ分解して下さい。
実際に業務工程をひとつひとつ書いてみると、これまで気にしていなかった工程が見えてくるかもしれません。頭の整理をするという意味でも業務工程の分解はできるだけ細かくやってみて下さい。
図表2:自社の販売・契約までの業務工程を分解する

業務工程の分解ができれば、次はそれぞれの工程から次の工程に移る確率(歩留まり率)を書き込みます。図表2の箱と箱の間の%が歩留まり率を示しています。
例えば、一番下の箱が「(顧客との)アポイントメント」で、その上の箱が「面談」だとすると、「アポイントメント」から「面談」につながる確率を20%とか50%とか、過去の経験や勘に基づいて書き込みます。
もちろん、細かい数字でも良いのですが、最初は大まかな数字でOKです。大事なことは、販売や契約につながるKeyを探すことです。歩留まり率はデータが貯まってくれば必ず変わります。最初から完璧に作ろうと思わないで下さい。
さて、業務工程の分解と歩留まり率が決まれば、その業務工程の中で、何が販売や契約につながるKeyかを考えて下さい。Keyとなるものは行動量を増やすことによって、最終的な販売や契約数が増えるであろうものです。
Keyを見つけたら、そのKeyと歩留まり率を基にKPIを設定します。例えば面談回数をKeyとする場合、1件の受注を獲得するために、何回の面談回数が必要かを歩留まり率で割り戻して計算します。
図表3は面談回数をKeyとした場合のKPIの作り方です。面談回数をKPIにするケースはよくあります。わかりやすく行動しやすいことがその理由です。
まず、年間目標を①に記載します。次に、会社で扱っている商品やサービスの1件当たりの平均単価を②に記入します。
商品数が多い場合は、値段別や用途別等、いくつかのカテゴリーに分けて下さい。その上で、経営者の経験と勘で大まかに平均単価を記入して下さい。実際にデータを取っていくと、商品ごとにKPIが正しくなかったり、そもそものKeyを変えた方が良い場合が出てきます。ですから、最初はあまり神経質にならずにざっくりと記入して構いません。
次に③です。①の年間売上を②の平均単価で除します。これで、目標を達成するために必要となる販売件数がわかります。
目標達成に必要となる販売件数がわかれば、売上や契約1件を獲得するために必要な面談回数をその販売件数に掛けて目標達成に必要な面談回数を求めます。
例えば「面談」の次が「提案」、その次の工程が「見積もり」である場合、「面談」から「提案」の歩留まり率は30%、「提案」から「見積もり」への歩留まり率が40%だったとします。この場合、見積もり1件を顧客に提出するのに必要な面談回数は8.3件となります。(1件÷40%÷30%=8.3件)
最後は、経営者が会社全体のKPIを各営業員に割り振ります。
この計算方法についての詳細な説明は、誰でもできる、売上が倍増する目標の作り方⑦にありますので、そちらを参考にして下さい。
図表3:KPIの作り方

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