誰でもできる、売上が倍増する目標の作り方④~目的と目標

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目的、目標、強い想い

昨年行われたラグビーのワールドカップで、日本は見事にベスト8に進みました。

4年前のワールドカップで南アフリカを破り、一気に盛り上がったラグビー人気もだんだんと冷めかけていたところでの日本開催。日本戦以外の試合では閑古鳥が鳴くのではという心配をよそに、大成功したことは記憶に新しいと思います。

今回、初めてラグビーを真剣に見たという方も多かったかもしれませんが、ラグビーをある程度ご存知の方でも、戦前は「日本は決勝トーナメントに進めないだろう」、「世界1位(当時)のアイルランド戦は捨て試合、勝負はスコットランド戦」といった声が多くありました。

実際にアイルランドに勝てると予想した人は殆どいなかったのではないでしょうか。しかし、日本代表チームのメンバー全員は本気で勝つ気でいました。だからこそ目標を達成できたのです。

日本ラグビーフットボール協会のホームページには、「ラグビーファミリーを国内外に増大させ、日本ラグビーの国際力を高める」というミッションが載っています。そして日本のラグビー文化を豊かなものにするということを大きな目的として掲げています。

この協会のミッション(目的)に基づいて、今回のワールドカップの目標が設定されました。それがベスト8進出だったわけです。

代表チームは、日本のラグビー文化を豊かなものにする、日本にラグビーを根付かせるという壮大な目的に向け、今回の目標達成はMustであると信じ、様々なことを犠牲にして練習を積み、戦い、見事に目標を達成しました。

 

 図表1:日本ラグビーフットボール協会のミッションと今大会の目標

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社会的意義のある明確な目的を持ち、その目的に共感する人たちが集まり、誰もが無理だと思えるような目標を掲げ、一丸となって達成する。
日本ラグビー協会の取り組みは、素晴らしいお手本です。

企業の目的と目標を突き詰める企業の中には、その思いが強すぎて、ある意味、狂信的に見える企業もあります。しかし、強い想いを全員が持てば、目的を達成する可能性はそれだけ高まります。反対に、組織に目的がなく、そこに集まった人に目指すモノがわからなければ、強い組織にはなりません。

目的は企業によってさまざまです。そしてその目的に達成するための方法もそれぞれです。

例えば旅行する際、目的地にどのような方法でいつまでに到達したいかは、旅行する人が何を重視するのかによって異なります。

スピードを重視するのか、費用か、環境への配慮が大事なのか。その旅行について行く人がいた場合、その人が重視するものが同じであれば旅行に同行しますし、重視するモノが異なれば一緒には行きません。

企業も同じです。目的地が同じで、同行する人が増えるほど、つまり、企業規模が大きくなればなるほど、目標の設定が大切になります。

 

  図表2:目的によって到達する方法は異なる

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目標とは何か

企業にとっての目的とは、その企業が存在する意味や価値であり、北極星のような道標になるものでした。顧客に喜ばれ、事業者も喜ぶモノやサービスを、どのように提供し何を成し遂げたいか、それが企業の目的となります。

そして目標は、目的を達成するために、いつまでにどういう状態になっているかを決めることです。企業の目的を果すため、例えば3年後にどのような業績を達成するか、そのために今月は何をするか等々を決めること、それが目標です。

では質問です。下記のうち目標といえるものはどれでしょうか? 

1.売上1億円を達成する
2.日本中のスーパーに商品を置いてもらう
3.年内に新規顧客を10件獲得する
4.社員全員が5時までに帰れる職場にする
5.2050年までに世界一の会社になる

 

 

答えは、3です。

1の「売上1億円を達成する」は「いつまでに」という期限がありません。目標は目的に向かう途中のポイントです。「何を」「いつまでに」行うかが明確でなければなりません。

2の「日本中のスーパーに商品を置いてもらう」、も1と同様に期限がありません。これは、目標というより目的に近いかもしれません。

3の「年内に新規顧客を10件獲得する」は目標です。何を、いつまでに、がはっきりしています。

4の「社員全員が5時までに帰れる職場にする」は5時という時間が入っていますが、目標ではありません。「5時までに帰れる職場」をいつ迄に作るのか、期限を決めれば目標となります。   

最後の「2050年までに世界一の会社になる」は、「何を」がはっきりしないので目標とはいえません。ただ、「2050年までに〇〇の分野で世界一の会社になる」としても、30年先では、目標とするには遠すぎます。

多くの企業が中期経営計画の目標を3年程度に設定しています。昔は5年でしたが、5年先となると環境が大きく変わるので、3年になりました。目標設定は、長くても5年後ぐらいにした方が良いと思います。

また、世界一というよりも、具体的に売上〇〇百万円とか、シェア〇〇%といったように、数字で明確に示した方が目標としてはわかりやすいです。 

企業が目的を社員に浸透させ、目的達成に向けた具体的な目標を掲げれば、社員は自分たちの仕事との繋がりが理解でき、企業の理想と現実との乖離幅も意識することができます。

この理想と現実のギャップを埋めるため、目標とKPIは常に見直すことが必要となります。 

 

⇨ 誰でもできる、売上が倍増する目標の作り方⑤

⇦ 誰でもできる、売上が倍増する目標の作り方③

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経営者や管理職は、攻めと守りの数字を理解する必要があります。「今月の売上目標は〇〇百万円を死守!」と気合を入れるだけでは目標は達成できません。目標を達成するためには、「何が達成の鍵で、それを何回ぐらい行えば目標に達するか」を理論的に数値としてはじき出す必要があります。

そして行動計画を作成する際は、その行動が利益につながるものなのか、かけるべきコストかどうか等財務や管理会計の基礎を理解しておく必要があります。

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