採用・不採用を分けるモノ

全ては相手との相性
最近、就活中の学生や転職を考えている方からの相談が増えています。市場の状況がガラッと変わってしまった中での活動は確かに不安だと思います。
私は、銀行時代はリクルーター、それ以降は企業の役員として、数多くの新卒・中途採用の面談を行ってきました。
キャリアコンサルタントではありませんから、「面接の極意」を伝授することはできません、しかし、ひとつだけ言えることがあります。
それは、採用されるかどうかは企業との相性次第ということです。
面接での受け答えがどうだったかとか、能力や経歴がどうだとかいうわけでなく、候補者と企業の社風、リクルーターや面接官との相性で決まります。
もっと言うと、第一印象で、「この人なんか良いなあ、好きだなあ」と思われるかどうかです。
第一印象で?と思われるかもしれません。
しかし、実際にはそんなことで採用か不採用が決まります。
あなたはその企業をどうして受けようと思ったのでしょうか?
有名だから、給料が良い、海外に行ける、なんとなく、、、理由は色々かもしれませんが、「良いなあ」と思ったから受けてみようと思ったはずです。
そして、最初は何となく「良いなあ」と思った企業を調べたり、勤めているOBに会ったりしてみて「やっぱり良いなあ」と思えばチャレンジしたくなるし、「それほどでもないか」となれば次に移ります。
採用する企業も同じです。この人感じ良いなあと思うか思わないか。もちろん第一印象が全てではないですが、8~9割は第一印象が良い人が採用されます。つまり、第一印象が悪い人はまず採用されません。
書類選考や試験を通過して面接するので、候補者は企業が求める基本的な能力は満たしています。
あとは、「人柄が良い」、「面白くて良い」、「気が弱そうで良い」、「ちょっと抜けてるから良い」
兎に角、相手に良いなあと思われれば採用されます。
先日、人気YouTuberのフワちゃんが、自らのアルバイト遍歴を話していました。彼女は試食を勝手に食べてしまったり、ミスを多発してしまい、数々のアルバイト先をクビになったそうです。しかし、そんな彼女を採用し、失敗してもクビにせずに雇い続けてくれた店長がいたそうです。
この店長の話を聞いていて、「この人、フワちゃんの人柄が好きだったんだろうな」と思いました。
会社の合併や買収を行う場合も同じです。
M&Aでは、両社長の最初の面談がとても大事です。海外ではM&Aでお互いの相性が合うことを、「Chemistryが合う」と言うのですが、「相手の社長、なんか良いかも」と思うと話は進み、「ちょっとなあ」と思われれば大抵そこで案件は終わります。
そして、Chemistryが合うかどうかは、第一印象で決まる部分が多いです。「なんか嫌だな」と思った人とうまく行くことは、まずありません。
相性だから仕方ない
就活や転職の面接で、結果がついてこなければ落ち込みます。
しかし、面接で上手く行かなかった理由は、候補者に能力がなかったからでも、志望理由をうまく答えられなかったからでもありません。
単に面接官との相性が合わなかったからです。
素晴らしい経歴を持ち、立て板に水のように質問に答えるさわやかな学生でも、「あまり好きじゃない」と思われれば採用はされません。
成績があまり良くなかったり、ハキハキ話せなかったとしても、面接官に「朴訥で、なんか良いねえ」と思われれば採用されます。
面接官は候補者の能力だけでなく、性格や考え方、雰囲気が社風に合うか、「あの人良いねえ」と社員に思ってもらえそうかどうかを見ています。
面接で採用されないということは、企業と候補者の相性が合わないということです。面接の受け答えや技術は関係ありません。そもそも「なんとなく良いねえ」と思われなければ何をしても無駄です。
私の場合も、仕事を受ける時、面接のようにさまざまな立場の人と話をします。特に相手が投資ファンドの場合、担当者からトップまで基本的にラインの人間全てに会います。そして彼ら全員から「この人に頼みたい」と思われなければ仕事はもらえません。
投資ファンドや大企業との面談の場合は、お互いに感性が合うのか、ほとんど断られたことはありません。しかしこれが公的機関になると全く異なります。
公的機関の場合は、書類選考で通ると面接に呼ばれます。この面接、多い時は一度に10名、少なくとも3名の人が座っています。面接時間は20分ほど、しかも20分の面談の1/3はその業務を引き受けた場合の報酬や注意事項の確認です。
わずか10分程度で相手を見抜くことなどできませんから、やはり第一印象や雰囲気で、自分たちの組織や仕組みにマッチするかどうかをある程度判断しているのでしょう。
おかげで公的機関の面接ではよく落とされます。ただそれは、自分の能力が否定されたわけでなく、職場に合わないと判断されただけと思っています。
就活を初めて行う学生は、そうした判断ができず、ダメなら落ち込むかもしれません。でも面接なんてその程度のことで決まるのです。
だから、ダメだったらさっさと次を探しましょう。あなたの能力や人間性が会社に否定されたわけではありません。
「良いなあ、あなたと一緒に働きたいなあ」と思ってくれる企業、探せばきっと出会えます。
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