サラリーマンが300万円で会社を買うとどうなるか

Pocket

日本でも増加するM&Aサイト

日本でも、WEBでM&Aを仲介するサイトが増えています。各サイトは、それぞれ特徴がありますが、最近では、M&A仲介会社や大手会計コンサルタントだけでなく、人材関連サービス会社のような異業種や、ベンチャー企業も参入してくるようになりました。

しかし、どのサイトもまだサービスを開始してから日が浅く、掲載件数は米国のM&Aサイトと比較すると2桁違います。
 

図表: M&A仲介WEBサイト

(出典)TRANBI,SUCCEED,Batonz,Mafolva,M&A Cloudホームページより(2019年1月末現在)

 

サラリーマンに会社の購入を勧める書籍がヒットする等、日本でもM&Aに対する環境は変化しています。

コロナ禍の影響で営業に支障が出ている店舗や企業では、倒産するところも増えてきました。売上が増えなければ資金繰りは回りません。感染拡大の状況次第では、倒産や廃業する企業は、今後益々増えることでしょう。

このような事業者が増加している一方で、こうした事業者を買収しようと狙っている人や企業も存在します。

個人経営者や小規模企業の後継者不足による事業承継ニーズが高まるにつれて、M&Aサイトに掲載される案件数も増加してきましたが、コロナ禍の影響で、この流れが加速することも予想されます。

必要なのは300万円だけではない

これまで会社勤めをしていた人や主婦だった人が独立を考え、こうしたサイトで事業を購入できるようになったことは素晴らしいことです。日本でもフリーランスとして仕事をしたり起業する人がもっと増えれば、より豊かな社会になるはずです。

しかし、300万円で買った事業を経営するには、運転資金や設備資金が必要になります。

300万円で会社を買収して脱サラし、「今日から社長だあ!」と喜んだのもつかの間、従業員がいれば給与やバイト代の支払いが発生します。モノを仕入れる時には資金が必要です。

ネイルサロンや飲食店のオーナーとなっても、その道の専門家でなければ、ネイリストや調理師を雇わなければなりません。技術の高い人には高い報酬が必要ですし、良い人が雇えなければ、それが事業リスクとなります。立地や価格がどんなに好条件でも、繁盛するかどうかは働く人次第です。

300万円で企業を買うなら、そうしたリスクや費用を考える必要があります。

箱についてくるリスク

「販売はネットで行うので固定費はかかりません。事業には既に一定の顧客がいて、仕入れ先も決まっているので、素人でも明日から事業が始められます」というセールストークにつられてはいけません。

こうした事業は、確かに運転資金も設備投資も不要で、一人で経営できる良いビジネスに思えるかもしれません。しかし、300万円程度で買えるビジネスであれば顧客に大きな期待はできません。それよりも、法人という箱を買ってしまったばかりに隠れた負債等がついてくる方が怖いです。

だからと言って、M&Aアドバイザーや専門家に事業の内容精査を依頼すると、これまたバカ高い料金がかかります。

そういうことを考えると、300万円程度で買える事業規模ならば、自ら会社を立ち上げた方が私は良いと思います。「会社を買おう!」と思うなら、こうしたことをよく考えて資金を投じて下さい。

世の中、そんなに「うまい話」は転がっていません。

そうは言っても夢があるなら

ちょっと脅してしまいました、すみません。

「300万円程度で事業が買えるなら」という軽い気持ちでM&Aを考えている人には、事業を買収するということについて、基本的なリスクを知っておいていただきたいと思い説明しました。

但し、リスクに気を付けることは大事ですが、リスクばかり見ていては何もできません。起業するには、まずはやってみるという姿勢が必要です。

私は公的機関等で起業相談を受けていますが、起業(ここではスモールビジネス)で成功する人の共通点は、あまり深く考えていないということです。

「何も考えていない」ではなく、「あまり深く考えていない」です。事業に関わるリスクは、どれほど注意してもなくなるものではありません。

そもそもリスクがないところにリターンはありません。

起業に成功する人は、リスクをあまり深く考えずに、まずは自分がやりたいこと、できることに突き進んでいく人です。

「そんな計画で大丈夫?」と思えるぐらいでも(実際に大丈夫じゃなかったとしても)、少しぐらいの障害は吹き飛ばしていく人。年齢に関わりなく、そうした気持ちがある人が起業して成功しています。

起業セミナーなどに参加すると、「やりたいこと」「できること」「求められること」の3つの輪が重なった領域で起業せよと言われます。もちろんどれも大事なことですが、私は起業するには、「やりたいこと」が最も大事だと考えます。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-7-1024x452.png

どんな人にも「できること」はあります。会社に雇われていた人は、「求められること」で給料をもらってきたはずです。

自分がやりたい仕事かどうかに関わらず、雇われている人は、「できること」と「求められること」の2つで報酬を得ています。

しかし、「やりたいこと」がなければ起業は上手くいきません。「やりたい」という気持ちが強ければ強いほど、起業で成功する確率は高まります。

コロナ禍で失業したり、早期退職する人も増えています。こうした人がWEBでM&Aを行うことがクローズアップされ、「300万円で会社を買収できる」という特集がテレビで連日組まれています。

WEB上のM&Aは、買い手が圧倒的に多い市場です。1つの売却案件が出れば、普通は20~30人の事業者が応募します。これからは売り案件も増えてくるでしょうが、低価格で買収できる案件には十分注意が必要です。

M&Aは不動産とは異なり、どんな人でも仲介することができます。いい加減なM&A仲介会社も少なくありません。名刺にM&Aアドバイザーの肩書があるから安心などと思ってはいけません。その肩書は20万円程度を払って2日間の研修を受講すればほぼ誰でも取得できる資格です。(M&Aの資格に興味がある人は、こちらをご覧下さい)

WEBサイトで事業を買収しようと考えている人は、こうしたリスクがあるということを十分理解した上で、M&Aを検討してください。

まずは小規模M&Aを知りたいという人に

これから起業したいとか事業を買収したいと考えている方は、まずは地元の公的機関で相談することをお勧めします。例えば東京であれば東京創業ステーション、神奈川であれば、神奈川産業振興センター横浜企業経営支援財団の起業相談、小規模M&Aを取り扱う後継者バンク等があります。

昨今は行政が起業に非常に力を入れているため、都道府県だけでなく、市町村でも起業相談を受け付ける窓口があります。何度でも無料で相談できますので、起業についての知識がない方は、まずはこうした行政機関に相談することをお勧めします。

但し、こうした相談窓口では、あくまで相談しかできません。実際に会社の買収をする場合は、手続きを自分で行うか、M&Aアドバイザーや弁護士に依頼することになります。ですから、まずはご自身でM&Aとは何か、どんなことを行うのかをよく確認して取り組まれることをお勧めします。

ちょっと宣伝になりますが、私の著書「中小企業支援者のためのM&A・事業承継入門」では、M&Aや事業再生と承継についての実態や業界の構造が理解できます。小規模や中小企業の実情やこれから買収するに当たってどのような専門家に依頼すれば良いのか等を知るためにはお勧めです。Amazonのコンサルティング部門では常に上位に入っていますので、ご興味がある方は こちらからご覧下さい。

尚、著書に書いてある内容は、このブログの中にも掲載してありますので、面倒でなければそちらをご覧下さい。事業計画の作り方についても細かく説明してありますので参考になると思います。

 

⇨ 事業を継いでも大丈夫?①

⇦ 日本でも成長が見込まれるM&Aマッチングサイト

書籍のお知らせ

「中小企業支援者のためのM&A・事業承継入門」

お陰様で「中小企業支援者のためのM&A・事業承継入門」がamazonのコンサルティングカテゴリーで第1位となりました。

これはノウハウ本ではありません。税務や法務の話ではなく、数字や事実に基づきながら、実際に現場で起きていることとこれから中小企業のM&Aや事業承継の現場で起こるであろうこと、そこで必要とされるスキルや能力についてまとめています。

ファンドや事業会社、それぞれの立場から見た事業承継や事業再生の実態やこれからの小規模M&Aの可能性について、興味がある方は是非ご覧下さい。

尚、後半では、小規模M&Aのビジネスモデルに基づいた事業計画の作り方とその根拠を説明していますので、ご自身が事業計画を策定する際の参考にしてください。

↓↓↓(Click)

 

新刊『中小企業のための売り上げを増やすKPI』

目標達成には、何をどれだけやれば良いかという理屈が必要です。この理屈を世間ではKPI(Key Performance Indicator)と呼びます。
お客様にお買い上げ頂ける理由、「鍵(Key)」を見つければ、やるべきことが明確になり、社員は目標に向かって行動できます。
中小企業の経営者や事業責任者、将来、経営者や起業を考えている方で、KPIが「難しそう」と思っている方は是非ご覧下さい。

↓↓↓↓↓Amazonのサイトはこちらから(Click )

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です