今さら聞けない財務と数字の話㉛~限界利益で判断する

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 図表:A社はこのオーダーを受けるべきか否か

 

販売価格800円に対し、コストは700円かかっています。ホテルからの注文は500円ですから、「1個当たり200円の損失になってしまう」と考えた方が多いかもしれません。

或いは、固定費に注目した方もいるでしょう。

現状では12千個を製造して1個当たりの固定費が400円だから、固定費の総額は12千個×400円=4,800千円。

生産量18千個までは現在の固定費で製造可能ということなので、今回の注文分(5千個)を増産しても固定費は変わらない。

ということは、固定費(4,800千円)÷17千個(12千個+5千個)≒282円となり、5千個を追加で製造することにより、当初予定していた1個当たり400円の固定費が282円に下がることになる。

ただそれでも固定費282円では、総コストが582円(材料費200+外注費100+固定費282)となってしまう。500円の販売価格では損失がでてしまうので、この注文は受けられないという結論になったかもしれません。

ここで固定費についてもう一度考えてみたいと思います。

A社の固定費は、年間18千個の生産を行うためのコストです。生産量が1千個であっても18千個であっても価格は変わりません。

ここで、限界利益について思い出してみて下さい。限界利益とは「売上-変動費」或いは「固定費+営業利益」でした。

A社のケーキの変動費は300円(材料費200円+外注加工費100円)です。今回500円で注文を受けても200円の限界利益が得られます(500円-300円)。

5千個の注文を受ければ、1,000千円(200円×5千個)の限界利益を稼ぐことができるので、この分が固定費を回収するための利益となります。

注文を受けなければ固定費を回収することはできませんが、注文を受ければ、営業利益は赤字になるかもしれませんが、固定費は回収できるわけです。

例えば現在のように、コロナ感染でお店が休んでいる場合、お店の賃料や社員の人件費を稼ぐためにお弁当を販売する理由は、この固定費を少しでも回収するためです。

限界利益がプラスになるかどうかは、経営の意思決定を行う際の目安になります。ホテルや飛行機会社だけでなく、製造業に於いても、営業赤字になってもなんとか固定費だけでも回収するという意思決定が行われる為、「安売り」が行われることがあります。

但し、値下げをする場合は、他の取引先との価格に影響を及ぼす場合がありますので、その点は注意が必要です。

またこの問題では、5千個が増加しても固定費は増加しないという前提にしていますが、急な作業に対応するための追加の人件費や設備、光熱費等が発生する場合は固定費自体が増えてしまうこともあります。

実際の経営現場では、このような点に十分勘案した上で経営判断をしなければなりません。

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