今さら聞けない財務と数字の話㉚~原価割れでも販売するか?

原価割れでも販売するか?
費用を変動費と固定費に分けて捉えることができると、取引を行うべきかどうかを、より正確に判断することができます。限界利益は「売上-変動費」や「固定費+営業利益」で表すことができます。前回のブログで説明した通り、航空会社がチケットの安売りをしてまで搭乗者数を増やす理由は、少しでも固定費を回収するためでした。
事業では利益が最も大事です。ただそれは、製品別のP/Lで営業利益や当期利益を見ていてもわかりにくい部分があります。
例えば、値引きすることを条件に大量の注文が入ることもあります。利益が少しでも確保できれば良いかもしれませんが、コストを下回った要請を受けることもあるでしょう。
下記の図表を見て下さい。
洋菓子店のA社に、取引先のホテルから大量の注文が入りました。通常A社のショートケーキは1個800円で販売していますが、これを500円に下げてくれれば5千個を発注するとホテルの担当者は言っています。
販売価格とコストは図表の通りです。A社は今期決算の目標であった12千個のケーキを既に製造しています。ただ、工場の年間生産能力は18千個なので、5千個を追加で製造することは可能な状態です。
さて、A社はこのオーダーを受けるべきでしょうか。答えは次回説明しますので、一緒に考えてみて下さい。
図表:A社はオーダーを受けるべきか否か

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経営者や管理職は、攻めと守りの数字を理解する必要があります。「今月の売上目標は〇〇百万円を死守!」と気合を入れるだけでは目標は達成できません。目標を達成するためには、「何が達成の鍵で、それを何回ぐらい行えば目標に達するか」を理論的に数値としてはじき出す必要があります。
そして行動計画を作成する際は、その行動が利益につながるものなのか、かけるべきコストかどうか等財務や管理会計の基礎を理解しておく必要があります。
本書では、売上目標を達成するためのKSF(Key Success Factor)の見つけ方、行動計画への落とし込み方といった「攻めの数字」と、赤字でも販売すべき場合とはどのような場合なのか、大口の受注はどこまで値下げして受けるべきか等の「守りの数字(管理会計)」について経営者や管理職が押さえておくべき点を学ぶことができます。
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