今さら聞けない財務と数字の話⑰~減価償却とは

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減価償却とは

B/SとP/Lの説明を一通りしたところで、今回は経営者や営業員から、「よくわからない」と言われることが多い減価償却について考えてみたいと思います。

今さら聞けない財務と数字の話⑪~B/Sに書き込んでみようの中で説明したケースで考えてみましょう。

図表1の通りB/S上は車両運搬具として2,400千円が記載され、現金が同額減少しました。

この車両は顧客に販売するものではなく、例えば営業活動のため等、自社の売上を増やすために使う車です。売上を増やすために使うものは費用ですから、車両の取得は費用として計上しなければなりません。

 

図表1:2,400千円の車を現金で購入した

 

ここで減価償却の話は一旦横に置いて、B/SとP/Lの関係について考えてみます。

例えば今期売上を上げるために購入したモノが全て今期中になくなってしまうのであればB/Sに計上する必要はありません。

B/Sはどこからお金を調達して(左側)、それをどのように使ったか(右側)を示すモノでした。そして、そこに記載される金額は、P/Lのように、一定期間の累計数字ではなく、期末等、その時点の数字です。(☞ 今さら聞けない財務と数字の話⑥~決算書の構成

つまり、期末に「モノ」がなければB/Sには記載する必要はありません。

商品を仕入れて販売することで売上を立てているスーパーの様な小売業者の場合、仕入は売上原価としてP/Lに計上され、そこで残ったものは在庫(棚卸資産)としてB/Sに計上されます。

もし在庫が全く残らなければ、P/Lに売上原価を計上することになります。

また、このスーパーが、12月に1月から3月まで、3か月間新聞に広告を出す契約を広告代理店と行い、契約金を全額支払ったとします。このスーパーの決算期が2月だった場合、3月の広告宣伝費を前払いしていることになりますので、3月分の広告宣伝費は前払費用としてB/Sに計上しなければなりません。

3月までの支払いをしたからといって、P/Lに全額費用として計上することはできないのです。

もしP/Lに全額費用計上できたらどんなことが起こってしまうのでしょうか。

決算の数字を意図的に変えることが出来てしまうのです。具体的には、「今期儲かりすぎたから、来期行う予定の広告宣伝費用を今期中に計上してしまえ!」ということができてしまいます。

費用が増えるとその分利益が少なくなって支払う税金が減ります。また、今期は利益が苦しいから費用を来期に繰り延べしたいという場合、広告代理店に後払いを許容してもらえば、その費用が来期に計上することも出来てしまいます。

この点は、前回の今さら聞けない財務と数字の話⑯~費用と収益が対応しないとどうなるかで説明した売上と売上原価の関係と同じです。

モノを取得するために支払った額をその期で費用とするのではなく、使用する期間に応じて費用計上することで企業の業績を正しく捉えるようになる考え方「費用収益対応の原則」がここでも適用されます。

ちょっと脱線してしまいました。車両をどのように費用に計上するかに戻ります。

営業車を購入した場合、販管費に「車両運搬具購入費用 2,400千円」というような計上を行うことはできません。

車両は今期だけでなく、数年に渡って利用するものですから、その費用を1期で支払ってしまうことはできないのです。

そこで「減価償却(ゲンカショウキャク)」という概念が登場します。

 

  図表2:車両を購入した費用はどのように計上されるのか

 

減価償却とは、時間の経過や使用により価値が減少する固定資産を取得した際に、取得するための支払額を、その耐用年数に応じて費用計上していく会計処理のことを指します。

減価償却の対象となる固定資産に対しては、その資産ごとに法律で細かく耐用年数が定められています。 営業用の自動車であれば6年が耐用期間です。

車両だけでなく、建物や機械にもそれぞれ耐用年数が決められています。

例えば鉄筋コンクリートで作られた建物を事務所として使う場合は50年、飲食店であれば34年といった感じです。使用する用途によって耐用年数が変わっています。飲食店の方が事務所よりも痛みが早いということでしょう。

また、一般の印刷機械は10年ですが、デジタル印刷機器は4年が耐用年数です。デジタル印刷機器は通常の印刷機に比べ技術の進歩によって、使える期間が短いからだと思います。

もちろん、法定年数を超えて使用しても、法定年数以前に処分しても構わないのですが、会計上はこの法定年数に応じて費用計上が決まります。

 

図表3:車両を購入した費用は減価償却費としてP/Lに計上される
 

 

減価償却には法定期間内で定額を償却する定額法や定率で償却する定率法がありますが、ここでは、「長期に渡って使い続けるモノを購入した場合は、購入時点の金額をその使用期間に渡って配分する会計処理を行う」という概念だけを覚えておいて下さい。

 

⇨ 今さら聞けない財務と数字の話⑱~引当金とは

⇦ 今さら聞けない財務と数字の話⑯~費用と収益が対応しないとどうなるか

 

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