今さら聞けない財務と数字の話⑭~売上のルール

売上のルール
今回は、図表1の赤枠で囲った部分の中の「売上」を採り上げてみたいと思います。
売上とはモノやサービスを提供し、その対価として受け取ったお金です。では、P/L上の売上はどのような基準で計上されるのでしょうか。
図表1:P/Lの構成図

売上は期中(例えば2019年4月~2020年3月といった決算期のどこかの時点)に販売した金額の合計です。何を「販売」として捉えるかというかというと、基本的には、「会社が提供した商品やサービスをお客様が受け取ったこと」を販売と考えます。モノやサービスが提供されたかどうかが大事であって、お金を払ったかどうかではありません。
図表2を見てみましょう。A社が車2台を顧客に届けた時点で売上が4,800千円計上されます。例えばA社の決算期が2020年3月だとしましょう。顧客がA社で車を購入することにして4,800千円を全額支払っていたとしても、車の引き渡しが翌期の2020年4月にずれ込んでしまえば、売却した4,800千円はA社の2020年3月期の売上としては計上されません。
図表2:売上計上のルール

これとは逆に、図表2のように、A社が車を2020年3月末に顧客に引き渡し、その代金を顧客が2020年の4月にA社に支払った場合、4,800千円はA社の2020年3月期の売上に計上されます。
何となく「お金をもらった時点で売上に計上するのでは」と考えてしまいがちですが、実際には、販売やサービスを顧客が受け取った時点で売上が計上されます。現金を受け取ったかどうかは関係ありません。
図表2:売上計上のルール(現金を先に受け取ったら)

これは一般的な売上計上の基準です。売上に計上する基準は業種や会社によって異なります。但し、異なる基準で計上している場合でも、一度決めた基準は特別な理由がない限り変更できません。会社が勝手に変更することができてしまうと、売上や利益を操作することが可能になってしまうからです。
「今さら聞けない財務と数字の話⑤~決算期とは何か」で説明した通り、決算書は株主や取引先、銀行や税務署等、会社に関わっている人たち(ステイクホルダーと言います)に説明するための資料です。基準を変えられてしまうと外部の関係者が、その会社の状態について正しい判断ができなくなってしまいます。
ここでは、「売上は販売したモノを顧客が受け取った時に計上する」という基本が理解できていれば大丈夫です。
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