今さら聞けない財務と数字の話⑬~P/Lを構成するもの

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今回からP/Lの説明に入ります。 P/LとはProfit and Loss Statementの略で、事業活動によって得られた利益と損失を計算したものです。日本語では損益計算書と言います。

まず図表1を見て下さい、これはある上場企業のP/Lです。 細かい数字がたくさん書いてありますが、P/Lの構成をみるために売上高から営業利益を水色、営業外収益からその他までを緑色、当期利益を黄色で囲みました。

水色で囲んだ部分(売上高~営業利益)がA社の事業の結果を示す数字となります。経営陣や管理職、営業員が最も気にするのがこの部分です。

緑色で囲った部分(営業外収益~その他)は事業活動以外の収入や費用です。営業外収益・費用、特別利益・損失という2つが主なものになります。

「営業外収益・費用」には例えば預金や借入の金利などが計上されます。

「特別利益・損失」にはその年だけにあった特別な利益や損失が計上されます。例えば昔から持っている土地を売却して利益が出たような場合には、その利益を特別利益、損を出した場合には特別損失として計上します。

税金まで支払って最後に残るのが黄色の枠で囲った当期純利益です。損を出した場合、ここがマイナスになります。 
 

図表1:A社の損益計算書(P/L)

図表2は売上高から営業利益までをざっくり分けた図になります。

B/Sと同じで、右側が集めたお金、左側はそれをどう使ったかを示します。お客様から支払ってもらったお金の売上は右側に、販売するために使った費用は左側に計上し、その残りが左下に営業利益として計上しています。

費用のカッコ内にかいてある「原価」は「売上原価」 と「販管費」というのは「販売費及び一般管理費」のことです。

会社でも良く、「ゲンカ」とか「ハンカンヒ」という言葉が出て来るかもしれませんが、それは売上を計上する際にかかる費用のことです。これらの費用を売上から引けば、残りが営業利益になります。

図表2:P/Lを大きく捉える(営業利益まで)

売上原価(ウリアゲ ゲンカ)とは販売するために作った製品の作成に関わるコストや、販売のために仕入たモノが含まれます。例えば工場で製造する製品の原料費やお店で販売するために輸入したモノの仕入れは売上原価に含まれます。

売上から、この原価を引いた残りが売上総利益です。これはつまり、製造会社であればモノを作った時点での利益、小売店であればモノを仕入れた時点での利益になります。

販管費(ハンカンヒ)は、原価をかけて作った製品や仕入れたモノを販売するために使った費用や管理するためにかかる費用です。例えば営業員の人件費や経理部や人事部で働く人の人件費、広告に掛かるお金等もここに含まれます。

製造会社の場合は製造に関わるコスト以外は全てここに入る程度に考えておけば良いと思います。

また卸売や小売業の場合は、仕入れ以外の費用は全てこの販管費に計上されると考えてかまいません。   

製品を作った時点での利益である売上総利益から、作った製品を販売するための様々な費用を差し引いた残りが営業利益になります。

事業会社にとっては、この営業利益までが会社の事業が儲かっているかどうかを示すバロメーターになります。

「売上」-「売上原価」=「売上総利益」

「売上総利益」-「販売及び一般管理費」=「営業利益」

ここまではP/Lで最も大事な部分になりますので、関係性を覚えておいて下さい。

売上から最後の当期純利益まで全てを記載した表が図表3になります。

右側はお客様から集めたお金である売上、預金や投資で稼いだ利益を営業外収益、不動産の売却などで利益が出た分を計上する特別利益等があります。

左側は右側で稼いだお金をどの様に使ったかです。B/Sと同じで、右が集めたお金、お金を使った詳細です。

製造や販売に関わる原価と販管費、借入金利の支払い等の財務関連費用である営業外費用、土地の売却損や店舗の閉鎖に関わる損である特別損失(トクソンと言われることが多いです)、そして税金を支払って、最後に当期純利益が残ります。

図表3:P/Lの費用の内訳

  

売上から当期利益までどのように費用が掛かっているかを図にしたものが図表4です。この中でも、最も大事な部分は赤枠で囲った営業利益までです。

もちろん、最後にいくら利益が残ったかが重要なのですが、事業を継続させて行くためには、この赤枠の営業利益まででしっかりと利益が計上できていなければなりません。

実際に銀行で企業を査定する際、ポイントとなるのは営業利益とキャッシュ(いくら現金が残っているか)です。

もう少し財務の理解が深まれば説明しますが、例えば営業利益までは黒字だったものの、30年前に高い値段で買った不動産を売却したため特別損失を計上したような場合、当期利益が赤字になったとします。

しかし、実際にはその赤字は会計上の赤字であってお金を支払ったわけではありません。むしろB/Sの固定資産を売却して現金が手元に入ってくるので、会社の財務にとってはプラスと銀行は判断します。

中小企業の経営者と話していると、「何としても赤字にするわけにはいかない」と仰る方が多いのですが、それは営業利益までです。

不稼働資産を売却して特損を出したとか、赤字続きの不振店を閉店したというような場合であれば、「良い決断」と評価されると思います。ですから、単に赤字になることを恐れる必要はありません。

 

図表4:P/Lの構成図

 今さら聞けない財務と数字の話⑭~売上のルール

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