今さら聞けない財務と数字の話⑦~B/S(貸借対照表)とは

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B/S(貸借対照表)とは

 

決算書を構成する3つの表のうち、まずはB/Sについて説明します。図表1は、ある上場企業のB/Sです。細かい数字がたくさん書いてあるので、「見るだけで嫌!」という人もいるかもしれませんが、ざっくり捉えていきましょう。資産合計、流動負債、固定負債、純資産合計を赤枠で囲んでみました。今回はここだけを見て行きましょう。

あっ、その前に。

これまで説明しませんでしたが、数字を見る時に大事な点が図表1にあります。

それは単位です。右上に(単位:百万円)と書いてありますが、これはとても大事です。

当たり前と言えば当たり前ですが、数字をざっくり捉えるためには、単位をしっかり確認しておかねばなりません。またプレゼン等でざっくりした数字を記載する場合は、絶対に単位を忘れてはなりません。

私は、大学の簿記論の授業で、この単位を書かなかったばかりに試験の点数を減点されました。その時は、「何でこんなものがそんなに重要なんだ」と思っていましたが、単位がなければいくらかわからないので、当たり前ですが重要です。

たまに、単位が書いていないプレゼン資料を見かけます。本人は「単位を記載しなくてもわかるはず」と思っているのか、単に忘れたのかはわかりませんが、資料を作る場合は、単位を必ず明記することを忘れないで下さい。

図表1:B/S(貸借対照表)とは

このB/Sをざっくり作ると、図表2のようになります。これがB/Sの基本です。資産と負債、そして純資産。負債は流動負債と固定負債を足して計算しましたが、この3つがB/Sを構成する要素です。

 

図表2:B/Sをざっくり大きく捉える

  

例えば皆さんが、会社を設立して事業を始めようとする場合、まず会社を設立するためのお金が必要になります。会社を設立する際に、自分や一緒に事業を行う人が出すお金が「資本金」となります。資本金は図表2の純資産の中に含まれます。尚、この資本金を出した人は、株主と呼ばれます。

会社を設立する際、自分のお金だけではなく、銀行からお金を借り入れることもあります。こうしたお金は「負債」として、B/Sの右側に記載します。

事業を行う場合は、自分たちのお金の塊である「純資産」と、人から集めたお金の塊である「負債」で集めた資金をB/Sの左側に投資します。これが「資産」となります。

例えば、集めたお金で、商品を製造するための機械を買ったとします。その場合機械は「資産」としてB/Sの左側に記載されます。また、小売店が、ケーキを作る原材料である小麦を1か月分購入したとします。その場合も、小麦(原材料)は「資産」として左側に計上することになります。

B/Sの右側は「どこからお金を集めたか」を示し、左側は「集めたお金を何に使ったか」を示しています。

 

図表3:B/Sの構成内容

 

B/Sの右と左の違い、理解できたでしょうか。基本的に、右側にはお金の集め方、左側は集めたお金で買ったものが記載されます。

B/Sの右側をもう少し見てみます。先ほど、会社を設立するために自らが提供したお金は資本金として純資産に計上されると言いました。この資本金は、経営者や投資家が会社を作るために集めたお金ですから、誰にも返済する必要がないお金です。事業が上手く行かなければ、このお金は無くなりますが、その時は、友達やパートナーが出したお金であっても返済する義務はありません。

純資産の中味については後ほど説明しますが、ここでは「純資産は投資家から集めた返す必要がないお金」であることを覚えておいてください。

これに対して、「負債」は返す必要があるお金です。

銀行からの借入はここに含まれます。なぜなら、「負債」は事業を運営する際に必要となるお金を他人から集めたものです。他人から集めたお金は返さなければなりません。

この「負債」には銀行からの借入や、取引先からの「掛け払い」が含まれます。

「掛け払い」とは、商品を購入する先、購入した都度、支払うのはお互いに手間がかかるので、例えば、「今月購入したものは翌月の10日にまとめて払う」といった約束のことです。一般的には、「掛け払い」や「手形払い」と言い、会計用語では「買掛金(カイカケキン)」、「支払手形(シハライテガタ)」等でB/Sに表されます。

今月買ったものを翌月10日に払うとなると、商品を購入してから代金を支払うまでに一定の期間が発生します。このように、先に商品を手に入れたのに支払いがされていないようなお金は、当然将来払う義務があるお金なので、「負債」としてB/Sの右側に記載されます。

 

図表4:負債と純資産の違い

 
本日のまとめです。

B/Sの右側には、自分で会社に提供したお金と、銀行や取引先等、他人から提供してもらったお金が記載されます。自分が提供したお金はそもそも返済義務がないので「純資産」に、他人から提供してもらった返済義務があるお金は「負債」に計上されます。

B/Sの左側には、「純資産」や「負債」で集めたお金をどのように使ったのか、何を買ったのかが「資産」として記載されます。

 

⇨ 今さら聞けない財務と数字の話⑧~B/Sの中味

⇦ 今さら聞けない財務と数字の話⑥~決算書の構成

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