今さら聞けない財務と数字の話②~数字はなぜ区切るのか

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区切らないと数えにくい

多くの企業の決算書の数字は普段見たこともないような金額になります。1万円、10万円ではなく、1千万円、10億円、100億円、上場企業になれば1兆円と、一体ゼロがいくつあるんだ?というほど、ゼロの桁数が増えていきます。

こうした数字をひとつひとつ数えていると嫌になってしまいます。そこで、本題に入る前に、まず数字の数え方について考えてみたいと思います。

図表1の数字、それぞれいくらになるかわかりますか。

 

図表1:この数字はいくらでしょうか

 

答えは図表2の通りです。3桁目以降は一つ一つ数えた人もいるのではないでしょうか。数字を一桁目から数えていくと大変です。

 

図表2:この数字はいくらでしょうか(回答)

 

数字には必ずカンマをつける様にして下さい。

プレゼンで大きな数字を見せる時や、数字が羅列されている場合はカンマで区切れば一瞬で数を数えることができます。

例えば図表3のように、3桁ずつカンマで区切ります。1桁目から数えて最初のカンマが千円、次が百万円、その次は十億円です。

 

図表3:数字は3桁ずつ区切る

 

英語で数えやすいように

「千」「百万」「十億」と言われると違和感を持つ人もいるかもしれません。日本では「千」の次は「万」、「万」の次は「億」で表示されることが多いからです。なぜ3桁で区切るのでしょうか。

それは、普段使っている1や0といった数字は英数字だからです。英語で数えると、千はThousand(サウザンド)、百万はMillion(ミリオン)、十億はBillion(ビリオン)という数え方になります。千、百万、十億という単位の区切りでカンマの数が変わるわけです。

例えば、千円は「1thousand yen」ですが、1万円は「10 thousand yen」になり、10万円は、「100 thousand yen」となります。そして、100万円になるとゼロが6個になるので、桁が変わり「1million」になります。

1千万円は「10 million yen」、1億円は「100 million yen」、そしてゼロが9個になる10億円でまた単位が変わり「1 billion yen」となります。 【図表4】

 

図表4:英語の単位とカンマは一致する

 

もちろん、数字を英語で覚える必要はありません。1千万円は「10百万円」、1億円は「100百万円」というように単位を千、百万を基準にした方がカンマとの関係でわかりやすいということです。

金融機関ではこのような数え方をします。数字をたくさん扱う場合に、カンマと単位があっていた方がわかりやすいということなのでしょう。数字は3桁ずつ区切り、千、百万、十億になるということを覚えておくと、どんなに桁数が多い数字でもすぐ数えることができます。

この感覚が身に着くと、数字がたくさん出てきても拒絶する気持ちが少なくなります。また、この書き方に慣れてくると、事業計画等を作る際、大きな単位で数字を考えられるようになります。

大企業の決算書は百万円単位になっているところが多く、「12,823,576,689円」が、「12,824」と書かれていて(単位:百万円)になっています。これは数えやすいですよね。

決算数字が苦手という人には真面目な人が多くいます。財務が苦手な人は、数字をきっちり書こうとする意識が強い人が多いので、数えていると嫌になってしまうのだと思います。逆に数字に慣れている人は、こした方法で数字を省略してざっくり捉えます。

先ほどの 「12,823,576,689円」或いは「12,824百万円」であれば、「128億23百万576千円」ではなく、「128億円」とか「128億23百万円」とざっくり捉えます。

あまり細かい数字に拘ると、全体感がつかめなくなってしまうからです。こうした数字の書き方に慣れてくると、数字に対する抵抗感が少なくなっていくと思います。

試しに、図表5の数字を漢数字に直して右の枠の中に書いてみて下さい。

 

図表5:数字にカンマを付け、右枠に漢数字で表記して下さい。次回の「今さら聞けない財務と数字の話③~数字はざっくり数えよう」で答え合わせをしてみて下さい。

 

カンマを理解すれば、数字嫌いや財務の苦手意識が克服できるかもしれません。

 

⇨ 今さら聞けない財務と数字の話③~数字はざっくり数えよう

⇦ 今さら聞けない財務と数字の話①~営業員や管理職、銀行員も?

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今さら聞けない財務と数字の話②~数字はなぜ区切るのか” に対して1件のコメントがあります。

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