今さら聞けない財務と数字の話①~営業員や管理職、銀行員も?

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事業年度が新しくなったので、テーマも新しく「営業員・管理職が今更聞けない数字の話」をしたいと思います。

私は大学卒業後、銀行に入ったのですが、その時点では、貸借対照表や損益計算表を全く理解していませんでした。一応大学では簿記論を履修しましたが、覚えているのは右側と左側は同じ数字になるということぐらいです。

そんな私が、入社後3ヵ月ぐらいで支店の融資課に配属されました。融資課といっても最初は住宅ローンの受付で書類を整理したりお客様の電話を取ったり程度の仕事です。

しかし、3ヶ月もすると、次第に調査カードというものに数字を入れる仕事をさせてもらえるようになりました。

おお、融資担当って感じがする(笑)とちょっと嬉しくなります。

調査カードというのは、銀行が融資する企業について、さまざまな情報が記入されているA3のシートです。昔は全て手書きでした。会社の歴史や株主構成、仕入れ先や販売先と支払いサイト等が細かく書いてあります。

もちろん中心は決算書の数字です。決算書を分析した数字がずらっと並んで、業績状況がひと目でわかるようになっています。

このカード、今はデータになっていますが、書いてあることは当時とあまり変わりません。

さて、そんな調査カードですが、いつも融資主任からは「この数字を調査カードに入れておいて」とか「数字だけ合わせておいて」とか言われて「はいはい」と引き受けていました。

そして8月。初めての夏休みをいただきます。

明日から夏休みという日の夕方。ウキウキしていると、融資課長から 「はい、夏休みの宿題。これを調査カードに転記してきてください」 と、会社の決算書のコピーを5通渡されました。夏休みの宿題です。

銀行は当時から1週間連続で休まなければなりませんでした。これは不正防止の為です。

社員が何か悪いことをしていても、1週間休んでいる間に、顧客から変な連絡があったり、担当者が管理している数字が合わなくなったりするようなボロが出てくることがあるのです。

新人にとっては初めての連続休暇。丸々9日間お休みです。普段、夜遅くまで残業させられているので漸く息抜きができます。
まあ、今から考えると、普段も大した仕事はしてないのですが(笑)

そんなわけで、夏休みの9日間はあっという間に過ぎ去り、明日からまた仕事という日の夜から宿題に取り掛かります。

この辺は小学生のころから全く変わっていません。

「決算書に書いてある数字を、こっちのシートに写せば良いだけ。楽勝!」と思っていたのですが、これが大間違いでした。

決算書には、貸借対照表と損益計算書というものがあります。

損益計算書はP/L(Profit &Loss Statement)と言うだけあって、売上、費用、そして最後に利益がどの程度出ているかがわかる資料です。

こちらは比較的分かりやすいと思います。問題は貸借対照表です。

貸借対照表はB/S(Balance Sheet)というぐらいですから、右と左の数字が同じにならないとダメということぐらいしかわかりません。

調査カードと決算書を比較すると、貸借対照表に書いてある科目明細と、調査カードに書いてある科目明細が少し違います。

いつも主任が渡してくれる数字は調査カードと同じなのに、何故だろう。

そう思って5社の決算書を見比べると、それぞれ流動資産や固定資産の中味が違います。

「車両運搬具ってどこに入るんだろう」「建設仮勘定って何」「資本準備金と利益準備金って何が違うんだろう」「この科目はどこに入れれば良いんだろう」

もうわけがわかりません。

大体、B/Sを見ても、借方、貸方とか言われてもどっちが借方なのかもわかっていません。「借方」という意味がそもそもわからない。
「借方ってことは借りる方ってことだからローンが書いてある右側が借方か?」というような感じで全く頓珍漢なわけです。

結局、朝方までやってはみたものの、右と左が全くバランスせず、とても中途半端な形で宿題提出となってしまいました。

この時初めて、主任が渡してくれた数字はお客様の決算書の内容を、調査カードの項目に合わせた上で渡してくれていたことを知りました。

そういう感じですから、私が偉そうに財務について語るのもおこがましいのですが、「そんな私でもこんなに簡単に財務数字が理解できるようになりました!」というほどまだ理解はできていません。

私は、銀行に19年間勤め、国内外で融資申請書を書き、インドネシアでは投資プロジェクトの説明をお客様と共に現地の投資庁に説明し、オーストラリアでは、現地の銀行と共に様々なプロジェクトファイナンスの分析もしました。MBOファイナンスを自ら企画し実行した経験もあります。

しかし、今考えるとぼんやりとしか数字が分かっていませんでした。恐らくその時誰かに「経理財務教えて」と言われてもまともに教えられなかったと思います。

実際に私が財務を理解し、業務に使えるようになったのは管理会計を理解できてからです。そこから過去に戻るように、「ああ、こういうことを最初に理解できればもっと違うアプローチができたのに。」と思った局面が多々あります。

そこで、

「財務ってなんかよくわからない」「損益計算書はわかるけど、貸借対照表をどう見て良いかわからない」というような初心者から、わかったつもりの過去の私の様な人にまで、財務や数字についてできるだけわかりやすくお伝えできればと思いこのシリーズを始めることとしました。

経理財務の視点ではなく、経営者や事業責任者、駆け出しの銀行員や営業員の方々のお役に少しでも立てれば幸いです。

 

⇨ 今さら聞けない財務と数字の話②~数字はなぜ区切るのか

⇦ 新規顧客の開拓よりも値上げを検討すべき理由

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