製品原価を把握していない会社は結構多い

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売上を増加させるための方策はさまざまです。新規顧客を増やそうとする前に、やるべきことがたくさんあります。

売上を増やす理由は、利益を出したいからです。

経営者の中には、売上を増やせば利益が上がると思っている人が多いかもしれません。

実際に上場企業の中にも個別の原価計算ができていないので、販売してもどの程度儲かってるか良く分かってない企業もあります。

これホントの話です。

会計的に原価計算はやっているものの、個別の製品の原価が明確ではない中堅の製造業ってかなり多いと思います。

私が支援した企業のひとつでも、長年赤字を抱えながら販売を続けている企業がありました。(事例No1

この企業には2つ問題がありました。

ひとつは、販売を代理店任せにしていて、市場の状況を把握しておらず、赤字だということがわかっていても、それを改善しようとしなかったこと。

これにはオーナー企業だったからとか、担当者がサラリーマンだったからとか、会社がそこそこ儲かっていたからとか、いろいろと理由はあるのですが。

もうひとつは、製品のあるべき価格を全く理解していなかったことです。

つまり、原価を把握していなかった(できなかった)ということです。

帳票で見る数字は標準原価ベースで計算されているのですが、実際にはその標準原価がかなりいい加減でした。見積原価も出してるのですが、こちらも実際原価と比較するとかなりかけ離れています。

部品の価格設定に関してはもっとひどい状況で、儲けが無くても構わないという価格設定でした。

この価格設定には、経営者に特段理念や方針があったわけではなく、単に部品の価格について考えていなかっただけでした。

この会社では、顧客の要求に応じて部品を提供するため、20年も前のモデルの部品を在庫として抱えていました。その部品の集積価格(販売部品を集めて製品に組み上げた時の価格)は本体の価格の1.2倍程度。

これでは儲かるはずもありません。

そこで大幅値上げをすることにしました。この詳細は「事例1」をご覧頂ければと思います。

このように、売上原価とや販売価格のロジックがしっかりできていない会社では、経営者や社員の利益に対する考え方もいい加減な会社が多くあります。

ちょっと脱線しますが、私が最も失敗したケースをご紹介します。

ある企業で中期経営計画を作成しました。そして、その計画を基に業績計画を作り、営業部門のKPIを設定しました。

1年目、2年目の業績は大きく伸びました。しかし、さすがに3年目になるとペースが落ちてきます。売上は何とか中期経営計画をクリアするレベルで推移していたのですが、利益が思ったように上がりません。

ある月に、とても大きな受注がありました。しかし、その月の営業利益が赤字になっていることが判明します。販売価格が原価を下回る金額となっていました。

当初は原価がUPした理由を追加で色々と顧客に要求されることが多くなったからだと聞いていたのですが、実際に一つ一つ調べてみると、そもそもの見積もりが安すぎて、最初から赤字になることが分かっていて受注していたことが判明しました。

実はこの会社の営業員が、売上を上げたいがために、見積もり原価を低くして、顧客に提供していたのです。見積の段階では、原価を黒字になるように見せかけていました。

当時私は、そんなごまかしをしてまで(しかもすぐにばれるのに)売上を上げようとする人がいるとは思っていなかったので驚きました。

その会社の社長には、「伊藤さんが売上、売上って言うから、社員が利益を度外視してしまったんだ」と叱られました。

こちらとしては、「売上だけ上げられれば利益はなんとかごまかせる」と考える人がいるとは思ってもいませんでした。

過去に経験した職場では絶対にありえないことだったのですが、中堅・中小企業の現場を数多く経験した今となっては、「そんなことも考えなかったとは、バカだったなあ」と恥ずかしく思います。

 

 新規顧客の開拓よりも値上げを検討すべき理由

 売上を増やす施策と優先順位

  

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