正しく評価するためではなく、成長を図るために行う人事評価

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人事評価を適正に行うことはとても難しいことです。

評価基準となるものにはさまざまな要因がありますから、何を持って正当に人の能力を評価したと言えるのか良く分からないところもあります。

主観的な評価要素が多くなる日本企業では、評価が良い方向に偏りがちという現象が起こります。

メーカーで仕事をしていた時、人事評価を実施する度にこの現象が起こっていました。

上司(マネージャー)が部下(メンバー)の評価をする際、余程問題がなければ、標準以下の評価はしません。

特に管理部門では、殆どのスタッフが普通、或いは普通よりもやや良いという評価をします。

これには、管理部門の仕事の数値化が難しいという側面があります。

しかし、営業部門でも、担当する顧客や地域によって有利不利がありますから、本来はそうした環境を全て勘案した上で評価が行わなければ正しい人事評価とはいえません。

この会社ではさまざまな人事評価方法を試し、マネージャーに対する評価研修を行いましたが、どれもあまりうまくは行きませんでした。

製造業のように段取りが決まっている会社で、経験豊富なマネージャーに評価研修を行っても、メンバーや仕事に対する評価基準はなかなか変わりません。誰か一人が決められた通りの評価をしたとしても、他の人が自分勝手な基準で評価をすれば相対的にそれは正しい人事評価ではなくなってしまいます。

この基準のすり合わせを、人事部がしっかり行っている企業は上場企業であっても少ないと思います。

ですから、私は中小企業が「正しい人事評価」をしようとすることにあまり意味を感じません。そもそも「正しい人事評価」とは何なのかも良く分かりません。

大事なことは正しい評価ではなく、評価された人が評価を受けたことで前向きになれることだと思います。

前向きになれるものが報酬なのか、昇格なのか、話を聴いてくれることなのか、やり方は企業によって異なって構いません。それこそ経営者が判断すれば良いと思います。

中小企業の場合は、社長が社員を良く把握しています。ですから、あまり「一般的な評価システム」にはこだわらない方が良いと思います。

それよりも、評価された側が言われたことを理解し前向きになるために、上司が部下の話をよく聞く、部下に会社や自身の考えや期待を伝える機会を持つことが大事です。

人材サービス会社にいた時には、1対1のミーティング(1on1)を月に2回行っていました。この会社は若手人材が多かったため、部署によってはほぼ毎週、マネージャーが部下と面談を行っています。

業務で日々問題が起こる様な成長企業では、若手に対するこうした面談がとても効果的でした。

営業部門のマネージャーなどは、面談の最後は必ず「大丈夫、お前ならできる」とか「やってみよう」とか、メンバーに対する期待を示し、どちらかというと熱意や気持ちを前向きにしようとしていました。

ちょっと間違えるとカルト集団みたいな感じですが(笑)まあそれはそれで経営者が良いと思っているならば、続ければ良いのではないかと思います。

この企業では、1on1はマネージャーの欲求を満たす場ではなく、メンバーの成長や育成を図る場として考えられていました。そして、その繰り返しの結果が年度の人事評価となっていました。

別の会社でも1on1を活用している会社はありましたが、マネージャーがメンバーの話を聴く場としてこれを活用している企業は比較的運営がうまく行っているようです。

反対にマネージャーがメンバーにやって欲しいことを伝える場、前回の指示をやったかどうか確認する場として利用している場合はあまりうまく行っていませんでした。

相手の話を聴くことがコミュニケーションを上手く行かせるコツのようです。

1on1のような面談を行う際、マネージャーはひたすらメンバーの話を聴く役に徹してみると良いです。

つい色々と言いたくなるかもしれませんが、そこはグッと我慢です。

聴いてもらえたというだけで、メンバーの気持ちに変化があります。

もちろんマネージャーは話を聞くだけでなく、次のステップに向けたアドバイス等も必要ですが、まずはメンバーの話をじっくり聴いてみて下さい。

それができて初めてメンバーとのコミュニケーションが可能になります。

1on1はメンバーだけでなく、経営者やマネージャーとしての成長を図る場でもあります。

 

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