経営者には「やらない我慢」が大事

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前回は「考える社員を育成したければ、経営者は我慢して経営の一部を社員に任せ続けることが必要」というお話をしました。

経営者には、社員に任せるよりも自分が手を動かした方が早いため、任せることを面倒に感じたり、誰に何をどこまで任せれば良いのかわからないという方が多くいます。

「任せる」ということは、経営者が「やらない」ことです。

ある企業では、部署の連携を強化するためには情報共有を重要視していました。全ての社員は、日報やさまざまな情報を社長や関連部署にメールで共有します。

このため、社長の受信箱には業務日報や様々なメールが朝から山のように届き、それに対して社長が指示やコメントを直接返信していました。当然、承諾をもらいたい案件や「これを社長に?」という報告までもが直接届きます。

この会社には200人以上の社員がいましたので、社長がメールを見るだけでも大変です。あまりに多くの情報が届く中で、本当に必要な情報が埋もれてしまい、社長が考える時間がなくなってしまうのではないかと危惧しました。

そこで、社長にメールを受信しないという我慢をしてもらいました。

社員からの業務日報は、各部長に届くようにし、必要だと思った報告事項を部長が社長に報告します。また社内を飛び交うメールには基本的にCCを入れることを禁止して、必要な部署には全てToで送付するように徹底しました。

ルールを決めても社員は不安なため、最初は社長に多くのメールが届きましたが、社長はこれには返信せず、そのメールを部長に転送してもらいました。

暫くすると、社長へのメールは本当に重要なものだけになり、各部の部長と社長のコミュニケーションの頻度も上がるようになりました。

今までは全て社長が把握していたため、部長はメールが来ても殆どアクションを取る必要はなかったのですが、今は全て自分が決断しなければならないので、かなりの負担感を感じているようです。また、社員も誰にメールを送るべきかを考えてメール配信するようになり、メールを受け取った人も責任を持って対応するようになりました。

逆に社長は、社内のメールに返信する時間を社外の人とのコミュニケーションや、社内をうろうろしながら考える時間に使えるようになりました。

こうして社長が我慢して、全社の情報を個別に把握しようとしなくなるだけで、管理職や社員は考えるようになります。

もちろんすぐに完璧にはなりません。最初のうちは、本来必要な情報が共有されなかったり、報告が漏れてしまったりします。

しかしそこは我慢です。我慢を重ねることで、幹部や社員は少しずつ自分で考えて処理する様になります。

この会社では、社長が「やらない」と決めただけで、入ってくる情報が整理され、本当にやるべきことに割く時間が増やせるようになりました。今では若手が率先してプロジェクトチームを作るようになっています。

社長が我慢をすることはとても大変です。しかし我慢の先に組織と社員の成長があると信じて是非やってみて、、、いや、やらないようにしてみて下さい。

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