社員を生産性とアウトプットで評価するために

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仕事の生産性とは

日本企業には「総合職」と言われる管理職候補であっても、報酬を決める要素を「労働時間と勤続年数」と考えている人が存在します。しかし、欧米や東南アジアでは、報酬を決めるのは自分の能力と成果と考えるのが一般的です。

日本企業では、時間をかけてでも仕事を完遂することが美徳とされる風潮がありますが、海外の企業では、時間内にどれだけの成果を上げたかという「アウトプット」で社員が評価されます。

評価軸の違いを見ただけでも、日本の生産性がOECD諸国の中で下位に位置する理由が理解できます。

30年前、新入社員として銀行の支店に勤めていた時の話です。

私は自分の仕事が終われば上司や同僚が仕事をしていてもさっさと帰っていました。「さっさと」と言っても夜の8時、9時の話です。

暫くは「お疲れ様」と言われただけだったのですが、ある日課長に「君は同僚や上司が仕事をしているのになぜ平気で帰れるんだ。自分の仕事が早く終わったのなら皆の仕事を手伝うべきだろ。」と叱責されました。

当時の先輩たちは、課長が帰るまで残業をしていました。しかし、昼間は喫茶店に集まり、1時間以上も時間を潰していたのです。まだ若かった私は、そんな先輩たちの仕事を手伝う必要がなぜあるのかと随分憤慨したものです。

それから25年が経ち、

機械メーカーで役員をしていた時、労働組合の委員長から、ある部署の残業と休日出勤を改善して欲しいという要望を受けました。

その部署の仕事は確かに効率的とは言えませんでしたが、社員が休日に出社しなければならないほどの仕事量はありませんでした。そこで調べてみると、部署を統括している役員や管理職が、休日も出勤していることがわかりました。

「なるほど、上司が出てくるから部下も付き合わざるを得ず、残業や休日出勤が多いのか。可哀そうに。」と最初は思いました。

しかし、その部署の人たちは役員や管理職の被害者ではありませんでした。管理職や一部のスタッフは、休日出勤や残業代によって手取り給料が増えるため、ある意味自発的に出社していたのです。(管理職であっても休日出勤手当は出ます) 

残業が多い企業は、このように役員や管理職が仕事の生産性を考えず、社員にも時間や生産性と給料の関係が明確になっていないのだと思います。

極端な言い方をすると、「会社にいればお金がもらえる」と考える人がまだ多いということでしょう。 まさに「サラリーマン」です。

生産性が低い企業に良い人材は来ない

30年前の銀行の話と休日出勤をしていたメーカーの話、同じような内容ですが、根底はちょっと違います。

銀行のケースは、今風に言えば “One for All, All for One” という感じでしょうか。

残業代稼ぎで夜遅くまで仕事していたのではなく、本当に仕事量が多かったのです。因みに当時は何時間残業しても、実際に申告できるのは月間20時間程度でした。ですから、昼間に喫茶店で時間を潰そうが、夜遅くまで働いていようが個人の給料は変わりません。

課長が「みんなの仕事を手伝え」と言ったのは、仕事量が多い仲間の手伝いをして、チームが仕事を少しでも早く終われるようにしようということでした。まあ、だったら喫茶店で時間つぶさないでよとは思いますが。。。

これに対し、メーカーのケースは、自分の給料が増えるから管理職も社員も休日出勤していたわけです。

日本企業、特に中小企業では、いまだに休日出勤や長時間残業することを美化している経営者もいます。しかし、長時間働けば業績が上がったのは過去の話です。

「人材が採用できないので、一人当たりの仕事量が増えてしまう」と言う経営者もいます。しかし、そういう職場だから人材が寄り付かないのです。経営者が採用できないツケを社員に払わせるような企業は存続できません。

社員が適正な労働時間で効率良く働き、出した結果で評価される仕組みにするためには、トップが率先して働き方を変えることも大事ですが、その前に、企業の目的や目標がしっかりと社員に浸透しているかどうかを見直す必要があります。

何をどのように評価するか

企業の目的や目標が、なぜ社員の生産性とアウトプットの適正な評価につながるのでしょうか。

そもそも経営者は、企業の目的(企業の存在意義)を掲げ、その目的に辿り着くための目標(道しるべ)を設定する必要があります。企業の目的は、経営理念やMissionのような形で示されます。企業がこの目的と目標を社員に浸透させれば、社員は自分たちが、いつまでに何をすべきかを理解します。

企業の目的や目標を社員に理解・浸透させずに、毎月の数字達成を叱咤激励しても、社員は自分の仕事が企業の成長につながっていることを理解できません。そうなると、社員は自分の生活(お金)だけのために働くようになります。

企業の目的が何で、そこに辿り着くための目標は何か、社員にどのような役割やアウトプットを期待しているのか、そして、期待に応えた時にはどんな素敵なことが待っているのか。それを全社に明確に伝え、浸透させることで、社員は自分の役割や求められる成果を理解します。

社員がそれを本当に理解し、個人の目標として掲げるようになれば、付き合い残業や、残業代目当ての休日出勤はなくなります。

リモートワークが一般的になり、働き方に対する考え方が変わってきました。目的や目標が社員に浸透していない企業では、「社員は本当に働いているのだろうか、家で遊んでないだろうか」「出勤時間をきっちりと管理するにはどうすればよいのか」と言ったことに悩み、余計な費用を支出する羽目になります。

企業の目的(存在意義)は何か、その中で社員一人一人が何を求められ、どういうアウトプットを出すべきなのか、そして、期待通りのアウトプットを出せば、どのような素敵なことが企業と自分に起こるのか。

生産性とアウトプットで評価できる仕組みは、経営者と社員が、これらを考え抜いた先にあります。

 

⇨ 理想のリーダー像

⇨ 中小企業が「考える社員」を育成するために

⇦ 中小企業に於ける組織図の重要性

  

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