企業のライフサイクルと組織の発展段階

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中小企業の成長が止まる理由

人と同じように企業にもいくつかの発展段階が存在します。多くの企業では発展段階に差し掛かると、組織がうまく機能しなくなります。そして状況を長く放置すると、経営に悪影響を及ぼします。

【図表】は1979年にラリー・グレイナー博士が唱えた企業の発展段階の図です。グレイナーによると、成長する企業は革命の段階と呼ばれる5つの発展段階を経る必要があります。

企業を創業して事業が成長すると、会社には創業時を知らない従業員が増加します。新しい従業員は、創業メンバーほど会社や会社の製品・サービスに強い想い入れはありません。このため、彼らとのコミュニケーションでは、創業メンバーとは異なる方法が必要になります。

また、組織が大きくなると財務や法務的な事態への対応、品質管理の問題他管理面の負担も大きくなります。クリエイティブな仕事で事業を成長させてきた創業者にも、組織のマネジメントが求められるようになります。

こうしたさまざまな発展の段階を示したものが、図表の組織の進化段階と革命段階です。図表の波線の部分である「革命の段階」は、新しい組織活動を模索する時期であり、この時期を乗り越えられた企業だけが、次の段階に進めるとグレイナーは言います。
 

図表 :組織の進化段階と革命段階

(出典)「企業成長のフシをどう乗り切るか」ラリー・グレイナー著

 

図表の一番左側にある第1段階からみてみましょう。企業を統率するためには、創業者が強いリーダーシップで組織マネジメントを自ら行う必要があります。この強いリーダーシップで企業を牽引することができるかどうかが第1段階の革命です。

そして、第1段階を乗り切った会社は、事業領域や販売地域が拡大していきます。これに伴い組織が大きくなるため、従業員とのコミュニケーション方法が多様化します。創業者は、今まで把握していた現場の状況や情報から遠くなり、その役割は各部門のリーダー的な人材に集中するようになります。同時に各部門のリーダーは、創業者の指示を待てば良いのか、それとも、自らが主導権を発揮すべきかに悩む局面も増えてきます。

この段階で、創業者がリーダーへの権限の委譲に踏み切れず、各部門のリーダーが自ら意思決定できない状況が続けば、「自主性の危機」といわれる第2段階の革命の段階が長引くことになります。この段階を乗り越えるためには、企業を職能別組織に組み替え、命令系統と各部門、リーダーの責任の所在を明らかにする必要があります。そして、創業者をトップとした、責任と権限の所在が明確な組織を構築しなければなりません。

多くの中小企業は、この図表の第1段階と第2段階の間にいます。

全ての業務はオーナー経営者の指揮命令下で行われますが、こうした文鎮型マネジメントから、権限委譲ができる体制に組織を変えていくことができるかどうかが中小企業の成長の鍵です。権限を委譲するためには経営者の我慢が必要となります。(⇨ 経営者には「やらない我慢」が大事

オーナーの能力が突出して優れている場合は、権限委譲をしなくても組織は大きくなります。しかし、それでもオーナーのキャパに達してしまうと、そこで企業の成長は止まります。オーナーは、成長が止まったことを理解しても、これまでのやり方を変えることはなかなかできません。

これが、多くのオーナー企業が第2段階の壁を乗り越えられない理由です。

中小企業が壁を乗り越えるためには

経営コンサルタントの大前研一氏は人が変わるには、

1.時間配分を変える
2.住む場所を変える
3.付き合う人を変える

という3つを実践する必要があると言います。

「わが社には意識改革が必要だ!」という経営者がいます。しかし、社員の意識は行動でしか変えられません。社員と同様、経営者の意識を変えるためには、経営者の行動や社内の環境を変える必要があります。

大前氏が提言するこの3つの変化を実践するために、外部の人材を経営陣に招聘する企業も増えてきました。

例えば、サントリーは新浪氏を社長に、ベネッセコーポレーションは元マクドナルドの原田氏を社長に招聘しました。(ベネッセは失敗したので、良い例ではありませんが)

会社の経営を外部人材に任せることは、オーナーにとっては大きな決断ですが、オーナーが置かれる環境や意思決定プロセスが変わることで、オーナーの意識そのものが大きく変わります。モノを言える社外の経営者が来ることで、オーナーは自分の経営スタイルを見直すきっかけになります。(外部人材がやりすぎると元も子もありませんが)

組織を発展させるために外部から人材を招聘することは、オーナー企業にとって殻を破る非常に良い機会となるのです。

 

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