「最高」「断トツ」のMissionを考える

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前回、一般的な「経営ビジョン」の作り方をお伝えしました。

事業を行う上の目的や自分たちの存在意義を掲げ、その達成を目指すチームを作るためには、経営ビジョン的なモノが必要であると思います。

ただ、経営者が掲げた経営ビジョンは、常に発信を続けなければ社員には伝わりません。最初は理想を掲げてそれを目指していたものの、いつの間にかその理想が、単に壁に貼られたスローガンのようなものになってしまう。

そういう企業がとても多いと感じます。

私が経営ビジョン的なものを創る支援を行う際は、経営理念やビジョンとひとくくりにするのではなく、Mission、Vision、Valueに分けて定めます。

Mission(存在意義)、Vision(Mission達成を目指す方法)、Value(そのための組織の価値感)に分け、単なるスローガンとしてではなく、自分たちが目指すモノは何で、どのようにそれを目指すのかを組織に明確に浸透させることが必要です。

ある地域で宅配を行う牛乳販売会社の支援から、このミッション、ビジョン、バリューを創る方法を説明します。

作り方自体は、前回と変わりません。みなさんも、牛乳販売会社の経営者になったつもりでちょっと考えてみてください。

ミッションは、“会社が社会に存在する意義”と言っても良いと思います。

「誰にどんな価値を提供することが我々の使命なのか」、「顧客にとっての自社の存在意義とは何なのか」を考えて作成していきます。社長一人で作成しても良いですが、同じ目的を目指す仲間(経営陣)で話し合いながら作っていく方が、出来上がったものに対するコミットメントが強くなるかもしれません。

自社の「使命」や「存在意義」を真剣に考えることはとても重要です。どんなに良い技術やアイディアを持っていたとしても、それをどのように世の中で活用してもらうべきなのかまでを考えなければ、作った製品やサービスが広がることはありません。

作成の際は、下記のような具体的な質問に答えていきます。

 ① 誰が顧客なのか
 ② どういう価値を顧客に提供できるのか
 ③ なぜその価値を提供するのか
 ④ どのような方法で価値を提供するのか
 ⑤ 他社と比較して貴社が誇れるものは何か
 ⑥ 社会に対してどのような価値を提供できるのか
 ⑦ 価値を提供する従業員にどのような姿勢で接するのか

上記7問の答えを考えた後は、自分たちが顧客であることを想定し、顧客の気持ちになって、次の2つの質問に答えてみて下さい。

 ① この会社の顧客になりたいと強烈に思った理由は何か
 ② この会社の顧客になった結果、どんな素晴らしい経験ができたか 

「思った」ではなく「強烈に思った」です。そして「良い経験」ではなく「素晴らしい経験」です。

経営者の「使命」と自社の「存在意義」を考えた上で、自分たちが社会に対して提供できると思っている価値と、顧客から見た時にその価値が今までの商品やサービスとは異なる強烈なインパクトのある、素晴らしいモノであるかを、この二つの質問を自問自答することで、検証してみるわけです。

前回は、作り方を知っていただくために一般的な作り方を説明しましたが、「強烈」で「断トツ」で「最高」なモノをイメージしてミッションを創った方が、より良い価値のモノを世に出せる可能性は高まります。

そうは言っても、宅配牛乳屋さんが配る牛乳は大手メーカーが作ったものです。

大手メーカーの牛乳を配達するだけなのに、「強烈」で「最高」、「断トツ」なことをどのように提供するのでしょうか。

そういう疑問は当然ありますが、どんな角度からでも良いので、自社が提供できる「強烈」で「最高」、「断トツ」なモノを徹底的に考えて欲しいのです。

単に「健康に良い美味しい商品を売ること」や「お客様の笑顔をつくること」といった抽象的なことでは、自社の「存在意義」としては弱いですよね。

皆さんならどんな「強烈」で「最高」、「断トツ」なミッションを創りますか?

支援した経営者は、「配達のスタッフが毎朝、最高の笑顔で牛乳を届けてくれるから」「牛乳を入れてくれるボックスがピカピカに磨かれていて朝から幸せな気分になれるから」「配達時に家族構成を考えた健康情報を届けてくれるのが楽しみだから」といった、自分が常に商品や顧客に対して「こうありたい」という“想い”や“素晴らしい経験”をミッションに掲げたいと考えました。

「その程度だと強烈でも最高でもないのでは」と思われるかもしれません。

しかし、当時この会社は、従業員は連絡もせずに勝手にさぼる、たばこを吸いながら商品を宅配する、宅配ボックスを掃除しない、事務所にいても電話に出ない等々、様々な問題を抱えていました。

もちろんそれは全て経営者の責任です。実際に、事業がこのような状況なので、経営者は自分の息子に事業を続けさせるかどうか悩み続けました。

自分たちはメーカーが作ったモノを運ぶだけ、自ら何かを作り出せるわけではない。従業員がたばこを吸っていようが、態度が悪かろうが、モノを届ければそれで仕事は終わり。そんな価値のない仕事だから儲かるはずもない。

そんな仕事に何の価値があるのか、そんな仕事を子供に継がせても良いのだろうか。

今まではそう考えていました。しかし、息子が「父親が始めた仕事を自分が引き継で大きくしたい」と言い始めたのです。

息子がこの仕事を続けてくれると決めたなら、この仕事の価値や社会的な意義を何としても見つけたい。

そうした想いから、顧客にとっての「最高」で「断トツ」な経験とは何かについて、真剣に考え始めたわけです。

支援者の立場ではミッションの創り方を伝えることはできても、何をミッションにするかを決めることはできません。ミッションは、自分で悩んで作らなければ意味がないからです。

しかし、経営者を支援してできたものは、どのようなミッションであっても、その経営者なりの「断トツ」で「最高」なものになっているはずです。

ミッションやビジョンは状況が変わってくればまたいつでも作り直せます。創ったものが今はその経営者にとって最高で断トツなものであったとしても、時が経ち、事業が成功した結果、それらが最高で断トツでなくなれば、その時にまた作り直せば良いのです。

「顧客はなぜ強烈に貴社を望み、貴社からどんな最高の価値を得ているのか」

この経営者が悩みに悩んで創ったミッションは、今の経営者にとっては、最高で強烈、そして断トツなモノになりました。

現在、この経営者と息子さんは、自分たちが創ったミッションを毎朝お互いに唱えながら、従業員を指導し、顧客を回って、その声を聞く活動を始めています。

 

図表 :ミッションの創り方

 

⇨ 最高で断トツなMissionを達成するためのVisionとValue

⇦ 経営ビジョンの創り方(2)

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