事業承継に於ける経営ビジョンの重要性と創り方

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目に見えない資産の承継

事業承継は後継者に対し、肩書や資産を承継させるだけではうまく行きません。大事なことは会社の経営理念やブランドや信用力といった「目に見えない資産」をしっかりと引き継ぐことです。

中小企業の従業員と話をすると、「会社の経営方針がわからない」という意見を数多く耳にします。経営者の想いや方針を従業員が理解していなければ従業員の意識も生産性も上がりません。

そこで後継者が事業を承継する第一歩として、新たに経営ビジョンを創ることを勧めています。

経営ビジョンは「誰にどんな価値を提供することが我々の使命なのか」、「お客様にとって、自分達の存在意義は何なのか」を考えながら作成します。下記は一般的な経営ビジョンの作り方ですので参考にしてみて下さい。

尚、実際に自社の経営ビジョンを創る場合は、「最高」「断トツ」のMissionを考える最高で断トツなMissionを達成するためのVisionとValueをご覧いただくと、より具体的な経営ビジョンの作り方がイメージできると思いますので、そちらも参考にして下さい。

 ① 誰がお客様なのか
 ② どういう価値をお客様に提供できるのか
 ③ なぜその価値を提供するのか
 ④ どのような方法で価値を提供するのか
 ⑤ 他社と比較して貴社が誇れるものは何か
 ⑥ 社会に対してどのような価値を提供できるのか
 ⑦ 価値を提供する従業員にどのような姿勢で接するのか

次にお客様の気持ちになって、下記の2つの質問に答えてみて下さい。

 ① なぜ自分は貴社のお客様になったのか、なぜ貴社を選んだのか
 ② 貴社の顧客になって、どのような良いことがあったか

この答えが、例えば「他社にはできない高い技術を持っているから」、「仕事が丁寧で納期は必ず守ってくれるから」、「長年の付き合いで信頼できる社長と従業員だから」等であった場合、どのような経営ビジョンが浮かんでくるでしょうか。

単に「他にはできない仕事をすること」や「お客様に信頼されること」といった抽象的なものではなく、「お客様の期待を超える高い技術と品質で修理した製品を納期通りにお届けする」というような表し方ができるのかもしれません。

【図表1】は、実際に私が支援した、ある自動車整備工場の経営者とそのご子息に考えて頂いたものです。

「お客様はなぜ自分の会社を選び、どのような価値を得ている(感じている)のか」、その答えから導かれる自社の存在意義が経営ビジョンの基本となります。企業によっては、これを「Mission」と呼ぶところもあります。

 

図表1:後継者と共に考える経営ビジョン()

ビジョンをより具体的なものに

経営ビジョンの基本(Mission)を考えた後に、下記の3つの質問を自問自答します。

① ビジョンに基づいた経営を行なう自社は、お客様にとってどのような存在か
② 自社の役割を果たし続ければ、お客様の未来にはどんな結果がもたらされるか
③ その未来に於いて、自社はどのような状態であるべきであるか

①と②は社外向け、③は社内向けです。

前述の自動車整備工場の例でいえば、①では、お客様にとって「高い技術力があり、仕事が丁寧で納期を必ず守ってくれる会社」という存在になります。そして②については、「お客様が大事にしている貴重な名車に長く快適に乗ることができる」という姿が見えてくるかもしれません。

③では、「売上は変わらずとも、利益は30百万円、従業員数20名」等の具体的な数字をイメージし、それを具体的に何年後に達成するかまでを決めて言葉として明示します。

経営ビジョンは単なる目標ではなく、企業の存在意義(Mission)であり、その存在意義を果すための道標のようなものです。ですから、「目的を果たすために、いつまでにこのような姿になっていたい」という想い(数値的な目標)が経営ビジョンに入っていることが重要です。

ここでは、「経営ビジョン」と一言で言ってしまいましたが、企業の存在意義をMission、そこに到達するための道標をVisionと分けて考える企業も多いです。

何れにしても、事業を承継する際には、改めて、企業が目指すもの、そこにたどり着くための当面の目標を是非作り、経営者と従業員其々が何の為に事業や仕事をするのかを再確認する機会を持つことが重要です。

 

図表2: 後継者と共に考える経営ビジョン(Mission&Vision)

 

⇨ 「強烈」に「素晴らしい」Mission、Vision、Value①

⇦ ESとCS、権限と責任

事業承継に於ける経営ビジョンの重要性と創り方” に対して1件のコメントがあります。

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