事業承継とM&A、やるべきことは変わらない

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事業承継の検討必要性を感じながらも、先送りにしている経営者は非常に多いと思います。「そろそろ事業を辞めたい」と思っていても後継者がいない会社や、後継者はいるものの現経営者からみるとまだ頼りなく、今の段階で従業員や取引先を任せられないと思っている会社もあるはずです。

しかし事業承継の検討を行うことは、現経営者がすぐに引退するための準備ではありません。

実際に事業を引き継ぐ際には、後継者選びと引継ぎの方法、そしてプランを実行して新たな経営者の下で会社を無事離陸させるために、相当の準備時間が必要になります。

中小企業庁の調べによると、後継者の育成にかかる期間について中規模企業では9割以上、小規模事業者では8割以上の者が後継者の育成には3年以上掛かると答えています。また中規模企業の約7割、小規模事業者の約6割が「育成に5年以上が必要」と答えています。【図表】

図表:後継者の育成期間

(出典)中小企業白書2017年(中小企業庁)

事業承継は経営者が引退する為のものではなく、会社が経営者から他の誰かに引き継がれた後も継続して事業を行うために必要な作業です。その意味では後継者が親族であったとしても、やるべきことは会社を売却する際と同じと考え、臨む必要があります。

M&Aで売買される会社は伸びる可能性がある企業です。将来伸びる可能性がない会社は買収対象にはなりません。その理由は現状維持しか見込めない会社を買収しても、事業の不確実性を考えると損をするリスクはあっても、得をすることはないからです。

このことを考えずに会社を承継すると事業そのものがうまく行かなくなってしまいます。経営者は子供に自分が創った事業を継いで欲しいと願い、多くの場合子供はそれを受け身で引き継ぎます。その際、引き継ぐ会社の状況や後継者の経営者としての資質はあまり重要視されません。

しかし、業界の状況が厳しい、財務内容そのものが良くない、或いは会社を引き継いだ後継者に経営を担う力がない等の場合は、さまざまな問題が発生します。会社の経営が混乱して業績が悪化する、従業員や顧客、取引先が離れてしまう、親族間で争いが発生する等の事態は事業承継の問題として、よく起こることなのです。

兄弟の仲が良く、協力して会社経営をしていても、次の世代ではそれぞれの子供がいとこ同士となるため親族の関係は今より遠くなります。その結果、経営に対する考え方に違いが出た場合には修正が難しく、親族内で争いが起こる可能性もあります。

そうなると発展どころか経営が悪化し、場合によっては事業の継続そのものが危うくなってしまいます。

会社は後継者に引き継がれた後も事業を継続していきます。会社で働く従業員、これまで支えてくれたお客様や取引先の為に、次の世代、又その次の世代に、どのように事業を引き継ぎ、発展させて行くかを慎重に考えて下さい。

Point
1.親族内承継であっても会社売却と同じ考え方で臨む必要があります。将来成長が期待できない事業を承継することは後継者の負担になります。

2.現時点で兄弟仲が良くても更に次の世代では関係は今より遠くなります。今の家族仲だけを考えた承継を行えば、将来問題が発生します。

3.事業をどう成長させ、発展させるかを考えた承継計画を立てて下さい。

 

⇨ なぜ中小企業の数は減るのか?①

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