中小企業のグローバル人材戦略 第14回

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人材育成方法を変革し、企業の成長につなげる

ここまで13回にわたり外国人材の採用と育成による中小企業のグローバル化についてお伝えしてきました。

アジアで採用した新卒人材を育成し、海外子会社や本社の幹部候補生として活躍してもらうこと。それによって、中小企業が活気に溢れ、地方に活気が戻る。大小関わらず、企業の人事戦略の変革が、その企業の成長につながること、それが目的です。

日本企業はいつまで経っても海外に日本人を送り続けています。社長や幹部社員を送られ、彼らが数年で帰国すると、また新たな日本人がやってきます。銀行時代にインドネシアに赴任し、日系企業の進出をサポートしてから30年、再度訪れたアジアの国々では相変わらず数多くの日本人が駐在していました。何故いつまで経ってもアジアの子会社は現地化できないのか?それを突き詰めると、海外に於ける日本人のマネジメント方法や現地社員に対する信頼といった問題点に行きつきます。

現地化が推進できない問題が、コミュニケーションや現地社員に対する信頼度にあるならば、現地の社員を日本本社に組み入れることが必要となります。その過程で日本本社の意識を変えながら、少しずつ企業に合った制度を作る。こうした取り組みが海外子会社の幹部現地化につながり、更には企業のグローバル事業の拡大につながると考えます。

大学生の就職は相変わらずの売り手市場です。そして日本の優秀な大学生の多くは大企業志向です。日本の大企業は世界でも例がない「新卒一括採用方式」で、学生を囲い込みます。こうした市場環境で、地方の中堅企業が、「海外で働いてくれる人材」や「将来の国際事業をけん引できる人材」をどのように獲得すれば良いのか。海外展開を行う企業やインバウンドを伸ばそうとしている企業にとっては、頭の痛い問題です。

どんなに素晴らしい製品やサービスを持つ企業でも、それを販売する人が必要です。人がいても、仕事を信頼して任せることができなければ、海外の拠点運営は危機に陥ります。

海外子会社に駐在する社長は、営業や製造のプロが多く、管理についてはそれほど詳しくありません。管理部門の仕事は業績の向上に直結しないため、あまり重要視されていないはずです。しかし、管理部門が機能しなければ海外子会社や企業の崩壊にもつながります。現地の優秀な人材を採用し、インサイダーとして教育することで、この危機に陥らないようにすることができます。アジアの人件費は日本以上に高騰しています。例えばタイで日本語が話せる優秀な経理のマネージャーを採用しようと思えば、人によっては日本で経理課長を採用する以上の報酬が必要となります。しかも、せっかく優秀で信頼できる人材を採用することができたとしても、受け入れる企業に、適正な人事制度や本社の理解がなければ、その人材はすぐに会社を去ってしまいます。

海外と日本の新卒社員が、同じ研修を受け、同じ釜の飯を食い、時には酒を酌み交わす。言葉は完璧でなくても、そうやって長い時間を共に過ごせば「絆」ができ、本社で交流した多くの人から信頼が得られ、日本採用の新卒と同じ「インサイダー」になれるはずです。その人材が海外の経営を担うようになれば、現地の経営は必ず今よりも安定します。

新たな文化を迎え入れた本社には、変化と活気が生まれます。このような変化をもたらすことができる海外新卒の効果は企業の成長にとって非常に大きいものとなります。 是非、皆さんの会社でもこの取り組みに挑戦して下さい。必ず良い変化が起こると思います。

 

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 中小企業のグローバル人材戦略 第13回

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