中小企業のグローバル人材戦略 第12回

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日本と海外の新卒が起こす化学反応

Z社は現地での新卒採用と日本での育成を行った結果、それまで12名も派遣していた本社の日本人の数を、新卒社員が現地法人に配属された翌年(採用から4年目)には半分の6名に減らすことができました。先日、同社に確認したところ、現在では更に日本人駐在員は減って4名で子会社を運営しているとのことでした。
 
Z社の役員と現地の責任者は自らタイの大学を回って就職担当の先生と関係性を作り、少額ながらも寄付講座を持ったりインターンシップの受け入れを行ったりしながら大学との関係を強化してきました。この努力が実を結び、採用を始めた3年目には、工学系で有名なM大学から毎年3名の新卒学生を受け入れることが出来るようになるなど、地方の名もない中堅企業が着実に成果を出しています。

この結果を見る限り、日本での新卒採用、特にグローバル人材の採用が困難な地方企業や中堅・中小企業にとって、タイでの新卒採用は非常に効果的であると思われます。またこの取組は、日本採用の新卒や、日本本社で働く若手社員に刺激を与える良い機会にもなったようです。Z社は地方に本社があり、採用もその地方出身者が半数以上を占める非常にのんびりした企業でした。売上の半分以上は海外でしたが、社員は本社がある地域から外に出たがりません。

地味な地方の製造業には都会からは優秀な新卒は来てくれず、海外事業部門は常に人材不足に悩まされていました。しかし、実際にタイでの新卒採用・育成を実施したところ、日本採用の新卒社員が自分と同年齢のタイ人の優秀さに驚くと共に、彼らの学びに対する姿勢や成長意欲に大きな刺激を受けました。その結果、同期の新人の中から海外での仕事を希望する人材が出てきたのです。現在Z社は、この希望者たちに英語研修を行った後、インドネシア、タイ等のアジアの拠点にトレーニーとして送り出す若手の育成モデルを作って運営しています。

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