地方・中小企業が海外で成功するために 第10回

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日本企業の海外子会社を現地化するには「日本企業が信頼できる現地人材の育成」が最も大事です。

海外子会社の現地幹部は、どれだけ優秀でも途中からムラに入ってきた異質な存在です。日本企業に受け入れられるためには、まっさらな状態、つまり新卒でその企業に入社することが重要です。

そこで、現地の大学で、新卒学生を将来の幹部候補として採用してみてはどうでしょうか。

もちろん、アジアでは日本語が話せる優秀な大学生は引っ張りだこです。理工系の優秀な大学生は地元、外資系企業問わず日本の新卒採用以上の争奪戦です。

しかしそれ以外の学生、例えば文学部や理系でもマイナーな学部の学生は、成績が良くても就職率はあまり良くありません。

殆どの学生が卒業後しばらくしてから就職先を探します。

ただ、それは彼らが優秀ではないからではありません。

現地のトップ校に入学した学生は、どの学部であっても難関試験を突破してきた優秀な人材です。学ぶことに対する意欲は高く、何に対しても熱心に取り組みます。

むしろ、卒業の1年も前に就職が決まる様な日本の新卒市場が異常なだけです。欧州や米国、アジアの殆どの国では学生は卒業までに就職が決まっている学生の方が少ないと思います。

日本の企業が国内で採用を行う場合でも、特に文系の学生であればあまり学部に拘らないと思います。学生に求めるスキルはせいぜい語学力ぐらいではないでしょうか。

それよりも入社してから努力し、学び、周りと上手くコミュニケーションが取れそうな、地頭が良く、社風に合った人材を採用しているはずです。そういう基準で採用された学生が企業で一から育成され、「ムラ社会のインサイダー」となり、グローバルに仕事をするようになります。


ですから、海外で採用された優秀な学生であっても、日本語さえ問題がなければ十分インサイダーになれるはずです。

海外で新卒を採用する方法としては、まず子会社がある国で、優秀な大学の新卒を募集します。

現地のトップ行5校程度をターゲットとし、学部や日本語の可否は問わず、GPA3.0以上を応募基準とします。大学の成績が良いという点は大事です。

実際には人物を重視するため、GPA2.5ぐらいまでの学生は許容して良いと思いますが、基本的には大学でしっかり勉強した人材を採用すべきです。

募集については、最初は現地の人材紹介会社に依頼します。最近ではアジアに日系の人材紹介会社が進出していますので、そういう会社を選ぶのも良いでしょう。

そして初年度に何名か採用できれば、2年目からは採用した社員を中心として大学が主催する就活イベントに参加します。大学のイベントでブースを設けて、若い現地社員が学生に就活のプレゼンテーションを行います。

このイベントが上手く行けば、人材紹介会社を利用しなくても、参加した学生から直接レジュメが数多く届きます。

イベントで上手くできるかどうか心配する必要はありません。初年度に採用した優秀な若い社員に任せれば、きっとうまく行きます。

但し、現地の日本人は口を出さない方が良いと思います。日本でもそうですが、現地の感覚を持っている人に任せるべきです。

そうやって採用した学生には、現地で業務を行いながら、日本語をしっかり勉強させます。

そして日本語能力試験2級(N2)に合格すれば日本に派遣して、日本本社採用の新卒社員と同じ研修を受けさせます。

企業の研修期間によって異なりますが、1~3か月間、同じ年度に入社した仲間と同じ釜の飯を食い、時には朝まで酒を酌み交わす。この新人研修が、外国人新卒社員がムラ社会の「インサイダー」として認められる第一歩となります。

次に、その外国人新卒社員と日本人新卒社員の中で英語が一定以上の人材に、将来のグローバル幹部候補としての教育を行います。

日本本社の製造、営業、管理の各部門をローテーションしながら、3年程度の業務を行わせます。この期間は営業や製造部門だけでなく、将来グローバル経営に携わる幹部候補として必要な、財務、人事管理、経営企画等についての教育をしっかりと行います。

トレーニング終了後は、彼らを海外子会社に送り戻し、日本人社長のサポート役とします。

海外子会社の社長を務める日本人には経営に携わった経験を持たない人が多くいます。駐在する子会社の規模にもよりますが、海外に社長として派遣される人材は、営業や製造部門の管理職が殆どです。

組織のマネジメントは、営業や製造のスキルとは全く異なります。日本人を日本語でマネジメントすることすら難しいのに、その経験もない人が、言語や生活様式、習慣や法律が違う国で組織をマネジメントするのは至難の業です。

しかし、海外子会社の社長は、営業や製造の状況を見るのが精一杯で、管理までは手が回りません。元々日本でも管理は本社が勝手にやってくれるものと思っていたはずです。

決算書もこれまで見たことはあると思いますが、詳しい中味や、それが作られる工程は良く分りません。

そうなると、現地の社長は売上や製品品質は気にしても、管理面については現地従業員と本社に任せてしまうことがどうしても多くなります。

人事・財務経理・総務、ITといったリスクコントロールを行う経営管理部門は大事です。

売上や製造だけにしか興味を持たず、管理を疎かにすると、リスクコントロールができなくなり、とてつもない損失が発生します。

日本でも、近年CFOの重要性が認識されてきましたが、本来、管理の責任者が信用できる人材でなければ、社長は安心して企業運営などできません。

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