地方企業のグローバル人材戦略 第9回

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日本在外協会が実施したアンケート調査でも、日本企業にはグローバルベースの人事基準や制度を持つ企業が、まだ限られた数しかないことが理解できます。【図表 1】

【図表 1】日本企業に於けるグローバル人事基準・制度

(出典)『日系企業に於けるグローバル化に関するアンケート調査』
日本在外協会(2017年)

日本企業の8割は、グローバル経営を担える人材が足りないことを認識しています。

この課題を解決するためには、本社・子会社関係なく、優秀な人材が活躍できる人事基準や制度の整備が必要となります。

しかし、三菱の調査結果を見る限りでは、日本企業の多くは、その必要性をあまり感じていないようにも見受けられます。

三菱の調査では、「グローバル経営人材の確保のために優先して取り組むべきこと」という質問に対して「候補者の選定・育成の強化や育成計画や体系の策定・見直し」、「経営を担える人材が足りない」、「インフラの整備」等、さまざまな回答がありました。

一方で、優先して取り組むべきことに「中途採用の強化」を挙げた企業はわずか17%しかありませんでした。【図表 2】(三菱[2017])

【図表 2】グローバル経営人材の確保の為に優先して取り組むべきこと

(出典)『大企業に於けるグローバル経営人材の育成に関する実態調査』
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2018年)

 

グローバルな視点で経営を担える人材が足りず、グローバルベースで全社共通の人事基準や制度を持つ企業は20%に満たない。つまり殆どの企業はグローバルに経営を展開する土台がないわけです。

それにもかかわらず、これらの企業は中途採用を活用してグローバル経営ができる優秀な外部人材を強化するつもりはないと回答しています。

「社内にはグローバル経営を担える人材がおらず、人事基準も制度も、それらを作る体制もない。しかしそれができる外部の優秀な人材を中途採用するつもりはなく、一から社内で人材を育成したい。」という日本企業の「願望」が伺えます。

日本企業の社員採用は、基本的に新卒一括採用が中心です。大学を卒業して何の経験もスキルもない状態で企業に入社し、一緒に入った同学年の仲間と共に研修やOJTを通じ、同じ釜の飯を食いながら学び連帯感を強める。

そういう仲間と約40年、同じ組織で同じ時間を過ごす。会社仲間は最も気心が知れた信頼できる存在です。日本の工業製品が強いのも、これらの社内環境やそこで育まれた「すり合わせの技術」に代表されるような製造技術が、他国製品を凌駕しているからに他ならないと思われます。

こうした育成方針は長い間日本の強みでした。しかしこの育成方法によって構築された日本の企業は、世界の中では完全な「ムラ社会」です。ダイバーシティやグローバル化とは真逆の組織と言って良いかもしれません。

「それではだめ!グローバル化しなさい」と言われても、大企業の新卒採用を見てわかるように一朝一夕では変えられるものではないでしょう。

それではこの「ムラ社会」の中で、海外子会社幹部の現地化を図るために、企業はどのような経営や社員育成を行うべきなのでしょうか。

⇨ 地方企業のグローバル人材戦略 第10回

⇦ 地方企業のグローバル人材戦略 第8回

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