地方・中小企業が海外で成功するために 第6回

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1990年頃の日本人駐在員1名にかかるコストは、アメリカ人同僚と比較すると約1.4倍、イギリス人の2.9倍、台湾人の3.1倍、マレーシア人の4.9倍、そして、インドネシア人の10倍にも及んでいました。(安室憲一[1992] )

当時、現地従業員の報酬と日本人駐在員の報酬には大きな開きがありました。ただ、現地と日本とのマネジメントレベルには、まだ大きな違いがあったことも事実です。

そのような状況の現地に日本式経営を根付かせるには、どうしても日本人による立ち上げが必要だったという事情もあるはずです。実際に、当時現地に進出した日本企業には、「日本人駐在員はコストがかかりすぎるから減らそう」という考え方は殆どありませんでした。

むしろ外国人ビザの規制さえなければ、景気が悪く市場が縮小している日本から、成長著しいアジアにもっと多くの人材を出したいというのが企業の本音であったはずです。

海外子会社に於ける幹部の現地化は、コストやROIを考えると当然重要です。本国の社員の現地赴任は、コストだけでなく、さまざまな面で駐在員や家族にとって大きな負担となります。

実際に多くの欧米企業は、現地に本国人が駐在することは、その負担に見合うリターンが期待できないとして、幹部の現地化を推進してきました。しかし、日本企業は未だに幹部を現地化することに躊躇しています。 (Belderbos & Heijltjes [2005])

私がインドネシアに駐在した30年前と比較して、未だに海外子会社の幹部として日本人が数多く駐在していることには違和感があります。

台湾やシンガポールはもちろんのこと、タイやインドネシアにも欧米の名門大学院でMBAを取得した優秀な経営人材はたくさんいます。今では現地の日系工場で教育を受け、日本式の教育を受けた経営人材も数多く存在するはずです。

しかし、日本を代表する一部の大企業を除いて、現地人材がマネジメントとして活躍する企業はまだそれほど多くはないのが現実です。

日系企業が、海外子会社の幹部現地化を躊躇する理由は何でしょうか。アメリカや欧州、ロシアといった国々では、既に半数以上の日系企業が子会社の社長を現地化しています。

アジアの子会社は、その国自体をターゲット市場にするというよりも、子会社を輸出の製造拠点とする企業が多いことも現地化が遅れている理由かもしれません。

ROIの面だけでなく、現地従業員のモチベーションを向上するという面から考えても、子会社幹部の現地化推進は喫緊の課題であると言えます。

 

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安室憲一(1992)『グローバル経営論』千倉書房
Belderbos,A.,Heijltjes,G.(2005)Journal of International Business Studies(2005)36, p.341-354.

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