中小企業のグローバル人材戦略 第2回~現地化が進まない

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現地化が遅れる日系企業

一般的な日本企業では、欧州や米国の企業と比較して海外子会社幹部の現地化が進んでいません。Koppは1994年の研究で日本、欧州、米国の多国籍企業で、海外子会社幹部の現地化状況に関する比較研究を行いました。その結果、海外子会社の社長が本社からの駐在員で占められる比率は欧州企業が48%、米国企業が31%であるのに対し、日本企業では74%に達していることを指摘しています。【図1】

 

【図1】 日・欧・米の海外子会社における本国人材社長比率(1994年)

(出典)Kopp.R 「International Human Resource Policies in Japanese European, United States Multinational’s」Human Resource Management, Vol33(4)

Koppは、日本企業では幹部現地化の遅れが、現地従業員の昇進に対する不満や本社駐在員と現地従業員との摩擦・コミュニケーションの問題を引き起こしていることを統計的に示しました。そしてこの摩擦が、海外子会社に於けるホワイトカラーの採用、定着の問題につながっており、結果的に子会社の現地適応力の低下を招いていることを明らかにしています。

現地従業員からは「幹部が本国からの人材で占められており、現地の人間が昇進するチャンスは限られている」、「社長は経営経験が少なく方針も良く分らない」、「本社や他国のグループ会社の異動や交流機会がない」といった不満が多く見られます。一方で本社側にも、「任せられる現地従業員の不在」、「現地子会社が本社の経営方針を理解していない」、「現地の優秀な社員は次々と辞めていく」、「子会社の経営を安心して任せられる程の経験がある人材がいない」等の悩みや不満があるようです。

日本人駐在員が幹部となることで、昇進機会に限界を感じた優秀な現地子会社の従業員が離職するという事態はよく問題になりますが、こうした事象は、1990年代初期には日本だけではなく欧米の企業にも共通した悩みだったようです。

 

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