小規模M&Aと事業再生のビジネスモデルシミュレーション③ ~事業再生支援

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事業再生支援については、売上3億円以上の中堅・中小企業を対象顧客とします。これらの企業は地方銀行を主力行とするケースが多いと思いますが、地方金融機関には、事業再生のノウハウや経営に関するスキルが殆どないことがヒアリングで確認できています。

【図表1】は中小企業庁が試算した事業再生が必要な企業の試算です。このビジネスモデルで対象とするのは、主に再生支援協議会[1]による支援が行われる企業やその予備軍です。日本銀行によると、2013年以降2017年までに再生支援協議会が支援した企業数は7,754社となっていますので、毎年1,500件程度を支援していることになります。(日本銀行[2018])

   

図表1:事業再生を必要とする企業数のイメージ

(出典)中小企業庁『中小企業。小規模事業者経営改善支援について』[2013]


【図表2】は中小企業再生支援協議会への相談件数の推移です。2012年度から2014年度までは政策パッケージ[2]対応期間であったため、金融機関からの相談が非常に多くなっていますが、2015年度から2017年度の3年間は、全体相談数が1,700件前後で推移しています。これらの数字から、ビジネスのターゲットとなる事業再生支援が必要な企業は、全国で年間1,500社から1,700社程度あると想定します。

 

図表2:相談経路別窓口相談対応件数の推移

(出典)中小企業庁『認定支援機関の中小企業再生支援業務に関する事業評価報告書』[2018]
 

このビジネスで対象とするのは【図表3】のAとCの領域にある顧客とします。

Aの領域は、業績は順調であるものの、過去に不動産投資や新規事業の失敗等による過大な借入でバランスシートが傷んでいる等の企業です。

Cの領域は、過去の事業利益の蓄積により、バランスシートは健全なものの、時代の変化に対応できずに、売上・利益が伸び悩んでいる企業です。

因みにBの領域は、業績もバランスシートも健全な企業です。事業承継の問題は資産の承継だけとなるため顧問税理士で対応が可能でしょう。事業を売却する場合でも支援者を見つける為の問題はないはずです。

Dの領域は、法的整理が必要な領域です。この領域にも対応ができる専門の企業や士業が存在するため、ビジネスの対象領域とはしません。

 

図表3:事業再生のターゲット領域

 

事業承継が困難な理由は、事業に将来性がないことです。しかし、そのような企業でも、従業員、取引先や顧客がおり、経営者は銀行に個人保証をしているため、簡単に廃業や清算を行うことは難しいのが実状です。

事業再生を業としている企業には、金融機関から、自行の取引先の債務者格付を上げるために支援を要請されることも多いとのことですので、金融機関からの依頼も期待できると考えます。

事業再生案件を受注した場合の業務フローは【図表4】の通りです。まず対象企業のデューデリジェンスを行った上で、事業の再生計画を策定し、経営の専門家が企業に駐在する形で経営代行や経営サポートを行います。支援する期間は基本的に3年間とし、第三者への売却、或いは後継者への事業引き継ぎによるExitを目指します。 

 

図表4:事業再生のフロー

 

  

⇨ 小規模M&Aと事業再生のビジネスモデルシミュレーション④ ~PMI支援

⇦ 小規模M&Aと事業再生のビジネスモデルシミュレーション② ~M&Aアドバイザリー


[1] 事業の収益性はあるが、債務超過等の財務上の問題を抱えている中小企業・小規模事業者に 対して、窓口相談や金融機関との調整を含めた再生計画の策定支援を行っている中小企業基盤整備機構の事業。

[2]  2012年4月、中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえ、中小企業の経営改善や事業再生を 促すために策定されたもの。

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