小規模M&Aと事業再生のビジネスモデルシミュレーション② ~M&Aアドバイザリー業務

M&Aサイトの活用
M&Aアドバイザリー事業は、主に、売上1億円未満で、経営者の年齢が60歳以上の個人事業者や小規模企業が対象です。従来、この規模の企業は後継者不在の場合は廃業することが殆どでした。しかし、事業引き継ぎ支援センターの設立以降、第三者に対する事業承継を検討する企業が増えています。
最近では、事業の売買をWEB上でマッチングするサイトが日本でも増えていることから、個人事業者や小規模企業にも事業の売却の可能性が広がってきています。
ただ実際に、中小企業の経営者がこうしたサイトに登録しても、何を基準に、どのような交渉を買い手とすれば良いかもわからないはずです。そもそも高齢の経営者が、自らM&Aサイトに登録して会社を売却しようとすることはほとんどないでしょう。
そこで本事業では、米国で小規模事業の売買を手掛けるビジネスブローカーを参考に、事業の売却をサポートするサービスを提供することとします。
事業売却のフローチャートは図表の通りです。
売却希望の企業に対し、売却の実現可能性を示した上で、希望があればリスティング契約を締結し売却準備を進めます。基本的に買い手はWEBサイトで探します。
買い手候補が現れれば候補先と交渉し、最終的に契約締結までをサポートします。最終契約を締結した時点で譲渡価格の10%の手数料を成功報酬として受け取るビジネスモデルです。
図表:事業売却のフローチャート

M&Aで最も手間のかかる買い手のサーチは基本的に全てWEBで行います。このため、着手金やリテーナーフィー[1]、中間金[2]は徴求しません。但し、売却の支援を行う場合には別途契約の上、企業価値査定や事業プロフィール作成にかかる費用を請求します。
交渉に際しては、買い手のデューデリジェンスへの対応や、契約書等に関する助言は行いますが、法的な手続きが必要な場合は専門家を紹介します。企業価値算定、事業プロフィール、財務診断ツール、契約書ひな形、デューデリジェンスへの対応等は統一フォーマットを利用し、基本的に個別対応は行いません。
このモデルでは、企業価値の算定、売価の決定、事業プロフィールの作成後、WEBに登録してマッチング相手を探すため、余計な手間やコストを掛けない運営が可能となります。
まず、関東圏にある事業引き継ぎ支援センターに民間支援機関として登録してみます。登録業者になれば、M&A仲介(橋渡し)を行うことができるようになります。
また各地の商工会議所、地方銀行・信金等で個人事業者・小規模企業を対象としたセミナーの実施や、税理士や事業承継の支援者向に、ブログ、ホームページ、その他メディア等で積極的に情報発信を行います。
買い手企業は基本的にTRANBI、SMART等のWEBサイトで探し、候補先との交渉、契約締結までのサポートを行います。その後ネットワークの広がりに伴い情報ルートが増えれば、サイト以外に売却先が広がると考えます。
ストライクでは、同社は自社が運営するWEBサイト「SMART」だけで、自社売却案件の内、3割のマッチングを行っているようですので、複数のWEBサイトを活用すれば、十分案件を成就させることが出来ると考えます。
また、大阪商工会議所のスモールM&A市場は、単にM&A仲介会社に案件を橋渡しするだけで相談件数に対し2割の成約率でした。このビジネスモデルならばWEBサイトで探した候補先と最終的にマッチングできる確率は、より高くなると考えます。
M&A仲介会社は、マッチング先の探索に最も多くのコストを掛けています。
しかし、WEBで相手を探しマッチングを成立させることができるようになれば、アドバイザーの負担も減り、顧客への安価なサービスが可能になるはずです。
⇨ 小規模M&Aと事業再生のビジネスモデルシミュレーション③ ~事業再生支援
⇦ 小規模M&Aと事業再生のビジネスモデルシミュレーション①
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[1] M&A仲介会社が必要経費を賄うための月額の手数料。交渉期間が延びるほど支払いが嵩む。
[2] M&Aの基本合意を締結した際に支払う手数料。成功報酬の10%程度が多い。
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