日本に於ける小規模M&Aビジネスの可能性②~フランス商工会議所の取り組み

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支援者を増やすこと

今後、小規模M&Aを日本で広めていくには、単にWEBサイトでマッチングを行うだけではなく、事業を譲渡する側と事業を譲り受ける側に対する研修が必要になると考えます。

フランスでは商工会議所が、一定年齢以上の経営者に対して連絡を取り、将来の譲渡について考えるセミナーを開催しています。

また、承継希望者向けにも、公認会計士や弁護士等の専門家が120時間に及ぶ実践的な事業承継の研修から、仲介会社との交渉を行うための必要最小限の3日間の研修迄、さまざまな研修メニューを提供されています。(村上義昭「フランスの事業承継と事業承継支援策」『国民生活金融公庫 調査季報』第84号[2008])

日本でも、小規模事業者や、今後事業を買収したい個人のために、「企業の将来価値を上げる方法」、「引退までに行うこと」、「実践的な小規模M&A」等の研修を広く行い、小規模事業の売買を啓蒙できる機会を増やすべきだと考えます。

それと同時に、小規模企業の事業承継を支援する中小企業診断士等の支援者が、M&Aのスキルを身につけ、経験を積むことも重要ではないでしょうか。

現在はM&Aの支援を行う人材はM&A仲介会社や弁護士、税理士が主となっています。しかし今後は、単にM&Aの手法や税務面、法務面だけを支援するのではなく、中小企業経営の支援を行う専門家こそが企業のM&Aを支援する必要があると考えます。

そのためにも、事業の拡大に伴って「事業を譲渡する者」、「譲り受ける者」、「支援する者」それぞれに対する研修も事業ラインナップのひとつとしてビジネスになり得るのではないでしょうか。

事業再生に関しては、売上3億円以上の企業がターゲットになると考えます。本来、事業再生にかかるコスト(手数料等)が負担できる顧客は、売上が一桁上となるかもしれません。また、小規模案件をM&Aで売却するに当たっては、事前に事業の再生を行った上で売却した方が良いケース等もあると思います。

筆者は、様々な国や業界で企業の立て直しを行ってきましたが、中小企業では、「当たり前」なことが行われておらず、管理会計の概念もないため、非効率で儲からない経営を続けている企業が数多くあります。

しかしこれらの企業は、やり方を知らないだけであり、少しアドバイスをするだけで、業績が大きく変わることもあり得るのです。経営を支援する人材が、そのようなアドバイスを顧客に提供することができれば、M&A仲介会社や税理士との差別化が図れるのではないでしょうか。

PMI支援については、大手企業でも支援者は限られています。しかし今後、中堅・中小企業の第三者への事業承継の増加に伴い、PMI支援の需要は確実に増えると考えます。PMIの重要性は現状ではあまり認知されておらず、特に中小企業にその重要性が理解されるには、まだ時間がかかるでしょう。

この領域をビジネスにするには、海外現地法人のマネジメントや進出・撤退の支援等、問題や解決法がわかりやすいものを中心に提案すると良いかもしれません。

   

⇨ 小規模M&Aと事業再生のビジネスモデル①

⇦ 日本に於ける小規模M&Aビジネスの可能性①

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