日本に於ける小規模M&Aビジネスの可能性①

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ここまで、公的機関、ファンド、M&A仲介会社、事業会社等、さまざまな立場からM&AやPMIの現状を見てきました。

これら全ての事業者の話から分かる通り、今後第三者への事業承継や、それを仲介するWEBサイトの数や利用者は増え続けるはずです。そして、WEBサイトを利用して事業承継を支援するビジネスも増加することが予想されます。

事業承継の当事者の年齢やパソコン利用率を考えれば、例えば、企業価値を算定し、売価を決め、事業プロフィールを作成するだけでも、ビジネスとして成り立つのではないかと考えます。

このようなビジネスであれば、WEB利用によって、相手を探す手間を最小にすることができるため、低コストの運営が行える点がM&A仲介業者との差別化のポイントとなるのではないでしょうか。

実際にアメリカでは、日本の約100倍の案件をWEBサイト上で検索できる市場があり、それらを利用するビジネスブローカーが小規模M&Aを数多く取り込んでいます。

またフランスでは、商工会議所等の公的機関に相談・登録された案件をデータベース化し、更にネットワーク化してBourse Nationale de la transmissionというサイト上で検索できる仕組みになっています。

大阪商業大学の村上義昭教授によると、Bourse Nationale de la transmissionに掲載される公的機関から集められた情報は一般に公開され、多くの人が自由にアクセスして検索し、情報提供元にコンタクトすることができるとのことです。(村上義昭「フランスの事業承継と事業承継支援策」『国民生活金融公庫 調査季報』第84号[2008])

2019年2月の段階では、49,848件の売却案件がこのサイトに掲載されています。

今後、日本でもWEBサイトに掲載されるM&Aの数が増えれば、マッチングのコストが下がり、小規模企業のM&Aが活発になることが期待できます。しかし日本では、公的機関のデータベース構築やその開示はフランスのように進んではいません。

現在、事業引き継ぎ支援センターでは、相談者のデータベースを一部登録者に開放しているものの、その登録内容は買い手に提示することを前提としたものではありません。

また、このデータベースの運用方法は都道府県によって異なっており、登録すればデータベースにアクセスできる地方のセンターもあれば、東京都のように、事務手続き量の増加を理由に、現在民間事業者の登録自体を休止しているセンターもあるのが現状です。

 

⇨ 日本に於ける小規模M&Aビジネスの可能性②  

⇦ 行政、ファンド、仲介会社、事業会社からみたM&AとPMI(まとめ)

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