買収後の企業経営に関与しない飲料製造メーカー大手のI社

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I社は、国内トップの飲料製造会社です。茲許は海外でのM&Aに積極的ですが、社内にはほとんど海外の事情を知っている人材がおらず、海外企業を買収しても、基本的に日本から人は送らないとのことでした。

I社の人事担当役員に伺うと、現地の経営は、最も現地を良く知る現経営陣に任せた方が良いと考えているようです。実際に、買収した会社と同じ国に同社の拠点がある場合でも、基本的には買収した企業の経営には関与しないとのことでした。

マネジメントをどのようの融合するのかという質問に対しては、年に1度、社長が全世界の拠点を回って現地のトップと話をすることで徐々に信頼関係を構築しているとの回答がありました。

ここまで、事業会社のM&AやPMIに対する見方や対応を見てきました。F社のケースでは、バイアウトを実施した後、優秀な経営者を招聘できるかどうか、その経営者とファンドの責任者が、それぞれの役割をしっかりと果せるかが、成功の非常に大きな要因であることが理解できました。

またG社のケースは、中小企業が大手企業に買収されることに対し、関係者全員が非常にポジティブに捉え、満足したディールであったことがわかりました。買収される方だけでなく、買収した大手企業にとっても、新事業をゼロから立ち上げるより、M&Aによって経営者や従業員を一気に手に入れた方が、はるかに効率が良いことは理解できます。

G社のケースでも、日本電産の買収のように、人材の採用や物資の調達面で、規模のメリットを追求できる可能性も高く、買収後の業績も見込めるのではないでしょうか。

一方で、H社とI社については、典型的な「PMIの重要性を理解してない企業」という感じを受けました。

両社とも、グローバル人材が不足していることが、買収後も経営を現地に任せている理由でした。しかし、M&Aで買収した際に支払ったプレミアムを考えれば、シナジー効果を追求しない、単なるストックディールで満足していては意味がありません。それでは1+1=2以上になることはなく、場合によってはマネジメントに対するコミットメントが弱くなり、大きく足を引っ張る可能性もあるのではないかと危惧します。

現在は中小企業でも、海外に進出する企業が増えています。しかしH社とI社のような大企業ですら、海外事業、特に買収後のPMIが出来る人材が少ないのであれば、中小企業にはその様な人材を見つけることは非常に難しいと思います。

従来この領域は、大手コンサルティング会社の領域でしたが、今後は中小企業向けのグローバル組織経営の再構築やPMI支援が大きなビジネスチャンスとなる可能性を感じました。

  

⇨ 行政、ファンド、仲介会社、事業会社からみたM&AとPMI(まとめ)

⇦ 買収企業に若手を送る産業機械製造のH社

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