マネジメント難易度が高い買収企業に若手を派遣~産業機械製造のH社

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欧州で目指すシェア拡大

ここからは、大手企業のPMIの状況を確認してみたいと思います。

まずは、産業機械製造業H社のお話です。H社は、世界50か国に自社の拠点と販売網を持つ東証一部の中堅企業です。業歴は90年近くになり、取締役には外国人も数名いるグローバルメーカーです。

M&Aを数多く行っているわけではありませんが、この5年間で欧米とインドで3社の企業買収を実施しました。社長のお話によると、買収した企業の経営は、元々の経営陣に任せているようです。

インドで買収した企業には、一時日本人副社長を駐在させていましたが、赤字決算が続いたために、人件費を削減する必要があって日本人を帰国させ、現地人のみでオペレーションを行いました。

しかし、その後も業績は回復せず、建て直しが必要となったために、現在は中堅社員を出張ベースで派遣して業績改善を図っている最中のようです。

また、欧州で買収した企業は、非常に歴史がある企業で地域に根差しているため、マネジメントが難しいようです。このためH社は、製造部門にいるシニア人材を派遣するよりも若手を勉強も兼ねて派遣した方が良いと考え、入社5年目の人材を一人で同社に派遣しました。

当然まだ何もわからない状況ですが、ゆくゆくはこの若手社員が欧州での責任者に育ってくれれば良いと考えているようでした。

ただ、H社は欧州では市場シェアがまだ小さく、これまであまり成功しているとは言えません。

特に欧州は、EUとはいっても国によって文化も歴史も人の性格も異なるため、マネジメントの難易度は非常に高いことを理解しながら若手を送り込む理由が今一つはっきりしませんでした。

本当に社内に派遣できる人がいないため、状況だけでも伝えてくれる日本人が必要という理由で送り込んだような気もします。

  

⇨ 買収後の企業経営に関与しない飲料製造メーカー大手のI社

⇦ 後継者不在で上場企業に売却した家事代行業のG社

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