中小企業のM&A市場と活用され始めたPEファンド(投資ファンド)②

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ファンドとM&A仲介の関係

E社は欧州系のPEファンドです。1案件の投資額は150億円以上で、投資する業種は製造業からサービス業までさまざまです。

1年間に日本で実行されるバイアウト案件は、1千億円以上が3件、500億円が5~6件、100億円でも10件程度しかありません。このため、E社のようなファンドが取り扱える案件は非常に限られています。

最近は100億円以下でも扱う小口ファンドもかなり増えてきました。ファンドが銀行から資金調達することは、昔と比較して随分と楽になったため、今後も小口の案件を取り扱うファンドは増えていくはずです。

E社にも、M&A仲介会社からの案件持ち込まれます。従来は、金額が小さいものが多かったのですが、最近では大口の案件も持ち込まれるようになりました。

前回、D社からも同様の話がありましたが、M&A仲介会社は自社で取り扱えないような大きな案件や、MBOのように時間がかかる面倒なディールは取り扱わないで、こうしたファンドに持ち込むケースが増えているようです。

その意味で、M&A仲介会社はE社のようなPEファンドの競合先にはなり得ず、むしろ手数料はかかるものの案件を持ってくるブローカーのような位置付けて見ているとのことでした。

今後のビジネスチャンスはどこに?

比較的小型の案件も取り扱うD社と、大型案件が中心のE社というPEファンド2社のインタビューからわかったことは、M&A仲介会社は手離れが良い案件のみを取り扱い、時間がかかるものや自社では扱えないような大口案件や複雑な案件はPEファンドに持ち込んでいるということでした。

確かに年間600件以上の案件を取り扱うためには、時間がかかるMBO、EBOといったファイナンスが絡む面倒な案件を追うことは難しいでしょう。また、こうした案件を成就させるためには、ステイクホルダーとのコミュニケーション等に時間とかなりの労力がかかるため、そうした案件を仕上げることができる人材もM&A仲介会社には殆どいないのだと思われます。

仲介会社としては、何年もかけて大きな案件を仕上げるのではなく、手間がかからず、ある意味短期間で右から左に流すだけで手数料が取れる案件に集中し、大口や複雑で高度な案件は、PEファンドに紹介して紹介手数料をもらった方が効率的です。

M&A仲介会社が取り扱っている案件内容を見ていると、彼らが取り扱わない領域である、手離れの悪い再生案件や、費用対効果が良くない1億円未満の小型の案件に、ビジネスチャンスがある様な気がします。

もちろんそのビジネスが取り扱える人材の採用コストや育成コストとの見合いになりますが、この領域の市場は今後もっと大きくなると思われます。

また、地方銀行やM&A仲介会社が対応できない「経営者の相談相手」というコンセプトも、M&A仲介会社との差別化要因となる可能性もあると感じました。

 

⇨ PEファンドの買収後、経営者が急逝した食品製造業のF社

⇦ 中小企業のM&A市場と活用され始めた投資ファンド(PEファンド)①

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