事業再生会社の事業承継に対する問題意識

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C社は元々資産のコンサルティング会社でしたが、今では事業の再生と承継支援を中心に、M&A仲介、経営幹部紹介から資産活用までを行っています。登録している専門家(中小企業診断士、税理士・弁護士等)は170名弱です。

ターゲットとする顧客は、売上5-10億円の中小企業で、年間取扱企業数は約40社、これまで累計で440社の取組実績があります。顧客は金融機関からの紹介がほとんどで、法的整理にならない企業の再生を手掛けています。以下C社責任者の話です。

「資産の承継」と、「経営の承継」のコンサルティングスキルは全く別物です。

つまり、顧問税理士や弁護士に経営の承継の話をしても無駄です。ごく一部のプロを除いて、基本的に彼らは経営に口を出しません。事業売却が上手く行けば自分たちの仕事がなくなる可能性があり、失敗すると責任問題になるからです。

最近の銀行にはまったく融資判断能力はありません。当社は銀行の研修材料も作っているため、先日某銀行に事業再生のテキスト企画を持ち込みましたが、「そんな能力がある社員もいないし、教育をする暇もない」と却下されました。

投信等の金融商品で手数料を稼ぐビジネスがメインで、中小企業と向き合って融資をしている暇はないようです。

一方でM&Aには非常に積極的です。ビジネスマッチングと称して顧客同士を合わせ、うまく行けばM&A仲介会社につないで、成功報酬の10~30%を紹介手数料として受け取ります。M&Aビジネスは、リスクがなく手数料が稼げる良い商売という認識のようです。

事業承継に関する問題のほとんどは事業が儲かっていないことです。大抵の中小企業はP/LかB/Sが傷んでいるため、そこに事業再生ニーズがあります。

当社では業務委託契約をしている中小企業診断士等が、銀行や債務者と一緒になって事業計画を策定し、自ら経営再建を行います。彼らの報酬は月額分に加え、Exit時に計画が上振れた場合のボーナスです。

完全成功報酬型を謳う企業もありますが、当社は必ず毎月の報酬を戴きます。その理由は、成功報酬型だと経営者が本気にならないからです。また、期間は3年です。3年でExitできない案件は請け負いません。

当社のような企業に銀行が依頼をするのは出資をしないからです。銀行はPEファンドが融資先に出資することを恐れています。

その理由は、PEファンドが株を押さえて経営権を握ってしまうと、取引が他行に移ってしまう可能性があるからです。そのため、当社は銀行に警戒心を持たれないよう株式は取得しない方針です。

中小企業の事業再生は大企業の再生とは少し異なります。その大きな違いは人材です。地方の中堅・中小企業の従業員は、地域で適度な生活が出来れば十分という地元の人が大多数です。

これは都会のサラリーマンには理解できない生き方かもしれません。ただ、それでもインセンティブ制度を作ると張り切って仕事をする若者もいます。そういう人たちを如何にやる気にさせて動かすかがターンアラウンドマネージャーには求められます。

本来、地方案件は事業引き継ぎ支援センターにたくさん話が来ているはずですが、センターは右から左に案件を流すだけで何もしていません。結果的に案件のほとんどが書類に埋もれることになっています。

センターが持っている膨大なM&A情報を外部の人間は殆ど見ることはできません。最近では、米国のようなM&A専門のWEBサイトが増えてきていますが、掲載されている企業をサポートする仕組みや企業がまだ少ないのが現実です。

これだけITが発達しているのですから、情報をもっとオープンにすれば、全国各地でマッチングできる数が増えるはずだと思うのですが、話をしても中々前には進みません。

⇨ M&A仲介会社とファンドビジネスの違い

⇦ M&Aアドバイザーが語る中小企業の事業売却

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